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初期ステージの乳癌に追加照射が有益である

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初期ステージの乳癌に追加照射が有益である

Boost Radiation Beneficial in Early-Stage Breast Cancer
(Posted: 07/11/2007) Journal of Clinical Oncology誌2007年8月1日号によると、乳房温存腫瘍摘出術と放射線治療を受けた初期ステージの乳癌の女性に、原発部位に’追加(ブースト)’照射を行うと同側乳房への再発が減少した。しかし、生存期間の延長には貢献しなかった。

 


 

キーワード 乳癌、ブースト照射(追加放射線治療)、乳房温存療法、腫瘍摘出手術、乳腺切除術

要約
乳房温存腫瘍摘出術と放射線治療を行った初期ステージの乳癌女性患者に原発腫瘍の部位への追加放射線治療を行うことで、同側乳房に癌が再発するリスクは減少させましたが、生存期間の延長には結びつきませんでした。

出典 2007年6月18日オンライン発表、2007年8月1日出版のJournal of Clinical Oncology(ジャーナル要旨参照(日本語訳)
(2007年6月18日付J Clin Oncol. [オンライン版])

背景
ステージ1およびステージ2の乳癌患者に対しては腫瘍摘出手術(腫瘍およびその周囲の組織のみを切除する手術)または乳腺切除術(乳房全体を切除する手術)を行っても長期生存期間が変わらないことが複数の臨床試験で示されています。腫瘍摘出手術によって乳房は温存できますが、同側乳房に癌が再発する可能性が残ります。

腫瘍摘出手術後の放射線治療は同側乳房に癌が再発するリスクを大幅に減少させます。このような放射線治療は多くの場合乳房全体に行います。欧州の研究者らは、乳房全体に一連の放射線治療を行った後、腫瘍床(腫瘍があった部位)に直接、追加放射線照射を行うことが同側乳房に癌が再発するリスクをさらに減少させるか否かを試験することにしました。

試験
1989年から1996年にかけて欧州9カ国から5300人以上の女性患者がこの試験に登録されました。腫瘍摘出手術を受けたすべての女性患者に対して、引き続いて乳房全体に5週間の放射線治療が行われました。その後患者は、追加の治療を行わない群か腫瘍床に一箇所の追加放射線照射を行う群のいずれかに無作為に割り付けられました。

追跡期間の中央値が5年間となった2001年に公開された中間集計では、同側乳房に癌が再発するリスクが、追加照射を行った女性患者の方が、行わなかった女性患者よりも41%減少したことが示されました(ジャーナル要旨参照)。しかし、追加照射が患者の長期生存期間を延長させるか否かはその時点では分りませんでした。現在の研究は追跡期間中央値10.8年の後、これらの知見を更新するものです。

これらの臨床試験の試験責任医師はともにオランダ癌研究所(アムステルダム)のHarry Bartelink医師でした。

結果
追加照射は同側乳房に癌が再発するリスクを減少させましたが、患者の全生存期間の延長には貢献しませんでした。

追跡10年後でも、追加照射を行った群および行わなかった群双方の女性患者81.7%が生存していました。また、二次癌を発症した患者の数、ないしほかの臓器に癌が転移した患者の数は両群とも同じでした。

中等度~重度の乳房の瘢痕化(はんこん化 *注:化傷跡が残る)は追加照射を行わなかった女性患者13.2%に対して追加照射を行った女性患者は28.1%に認められました。

同側乳房での癌再発率は、追加照射を行わなかった女性患者10.2%に対して、追加照射を行った女性患者は6.2%でした。前回の報告と同様、治療時期に40歳以下であった女性患者に最も追加照射は有益でした。

同側乳房に癌が再発した女性患者のほとんどは乳房切除術による治療がなされました。追加照射を行った患者群で乳腺切除術を要する患者数が41%減少したのは、同患者群の方が行わなかった群よりも癌再発率が低かったからでした。

コメント
追加照射を行った患者群と行わなかった患者群との間に生存期間の差が生じなかったのは、同側乳房に癌が再発した女性患者が乳腺切除術によって命が救われたためかもしれないと著者らは述べています。

米国国立癌研究所放射線腫瘍学部門のDeborah E. Citrin医師は、それでもなお、追加照射はこのような患者集団には幾つかの重要な利益をもたらしますと、認めています。

「同側乳房での癌再発防止は乳房温存療法後の非常に重要な目標です」と同医師は述べています。追加放射線照射を行うことは、同側乳房再発のために乳腺切除術が必要となる患者が減少することを意味し、それゆえ、乳房を失うことにともなう肉体的・精神的な有害事象を避けうるということになります。

放射線治療によって、二次発癌や他臓器への転移が減少するとは思えません、とCitrin医師は述べています。追加放射線照射によって乳房の瘢痕化のリスクがわずかに上昇することを、同治療によって癌再発率が低下して乳腺切除術が不要になることと天秤にかけて考える必要があります、と同医師は付け加えています。

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有田香名美 訳
平 栄(放射線腫瘍医)監修

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