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術前化学療法は胃癌の生存を延長する

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術前化学療法は胃癌の生存を延長する

Chemotherapy Before Surgery May Increase Survival in Stomach Cancer
(Posted: 07/09/2007) シカゴで行われた2007年ASCO年次総会での報告によると、食道下部および胃癌の患者において外科手術の前に化学療法を行うと、外科手術のみの患者に比べて5年後の生存者数が増加した

 


 

要約
下部食道癌と胃癌に対する手術前に化学療法を行なうことにより、手術単独での治療と比較して5年生存者数が増加し、これは初期の臨床試験の結果を裏付けるものでした。術前化学療法により無病生存率が改善し、治療による副作用は対処可能と判断されるものでした。

出典 2007年6月3日シカゴで行なわれた米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会(会議抄録参照)

背景
胃と胃までつながる下部食道、そして胃と食道が接合する部分( 食道胃接合部)を含む消化器系にできた腺癌の第一治療は通常手術です。しかし大多数の患者で病気が診断されるまでに、すぐそばの組織や器官あるいは遠隔部位にすでに癌が広がっているので、手術だけで治癒しない場合も多くあります。術後5年生存の可能性は5%から30%であることから研究者らはさらなる治療戦略を積極的に模索しています。

2001年米国で行なわれた大規模な、U.S.Intergroupランダム化比較第3相試験は術後に補助療法として放射線療法と併用して化学療法を受けた胃癌患者で死亡のリスクを有意に減少したことを示しました。

2006年にヨーロッパで行なわれたMAGIC第3相試験
は、術前及び術後にエピルビシン、シスプラチン、5-FU(ECF)の併用化学療法を受けた場合でも手術単独より死亡のリスクが減少したことを示しました。
以下に記すフランスの臨床試験は、患者が手術単独または術前化学療法を併用するかの群にランダムに割り振られたこと、および併用する化学療法はCFのみでエピルビシンを含まない点以外はMAGICに類似していました。

試験
1995年から2003年の間に研究者らはこの第3相試験にフランス全土の25センターから224人の胃癌患者を登録しました。全患者が腺癌でステージ2以上でした。癌は食道下部3分の1の部位(11%)、食道胃接合部(64%)、胃(25%)で患者の平均年齢は63歳、大部分は男性でした。胃癌は多くの場合男性の方が女性より2倍多く発現します。

患者たちはランダムに手術単独または手術前に化学療法を受けた後手術を受ける群に割り振られました。術前化学療法+手術グループは5-FU(フルオロウラシル)の持続静注と併用してシスプラチンを投与されました。手術はその後4~6週間以内に行なわれました。
術前化学療法を受けたグループの約半数(主として癌が術前化学療法に奏効または安定を維持し、忍容性に優れていた患者)は術後にも同じ療法をさらに4サイクルまで受けました。(術後化学療法)。手術単独群では術後療法を受けませんでした。

Valerie Boige医師が、パリに拠点をおく Federale Nationale des Centres de Lutte Contre Le Cancer(FNLCC)によって調整されたこの試験(Accord 07 –FFCD9707 試験)の主著者でした。

結果
患者らの追跡調査の中央値は5.7年でした。手術単独の治療を受けた患者の5年全生存率は24%でした。それに対し術前化学療法+手術を受けた患者の5年全生存率は38%でリスク減少は31%でした。5年後、手術単独群の21パーセントが無病生存であったのに対して、術前化学療法 + 手術群では34パーセントの無病生存であり、リスク減少は35%でした)。

術前化学療法の副作用は治療関連死一例と20%の患者で著しい白血球数の低下およびきわめて重度の吐き気または嘔吐が9%でありました。全体でそれらの術前化学療法を受けた患者の37%に少なくとも1つの重度の副作用がありました。

コメント
下部食道癌と胃癌に対して手術前に化学療法を行なうことにより、手術単独での治療と比較して5年生存者数が増加し、これは初期の臨床試験の結果を裏付けるものでした。MAGIC試験結果を確認することで、このフランスの臨床試験は「これらの患者に手術単独では十分ではないことを明白に」しましたとASCO会議における結果の討論でMemorial Sloan-Kettering Cancer CenterのDavid H.Ilson医学博士は述べました。彼は手術前に化学療法を受けた患者のほうが有意に多く手術がうまくいったということを指摘しました。

制限事項
ここで述べられたフランスの試験は術前化学療法の効果を試験するためにデザインされましたが、かなりの人数の患者は術後化学療法も受けました。以前のMAGIC試験は術前術後の両方で化学療法を受けた場合の効果を試験するためにデザインされました。

「このフランスの臨床試験とMAGICのデザインでは、術前化学療法が臨床結果にどの程度寄与しているかを正確に読み取ることが困難です。」とNCIの癌療法評価プログラムのMargaret Mooney 医師は指摘しました。彼女とIlson氏は現在ヨーロッパで行なわれている、全要素間のより明白な比較を可能にするであろう試験に期待しています。

さらに術前と術後の両方の化学療法(ヨーロッパのアプローチ)または術後の化学療法+放射線療法(米国のアプローチ)のどちらが奏効するかもっと学んでいかなければならないと彼らは付け加えました。

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内村美里人 訳
平 栄 (放射線腫瘍医)監修

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