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強度の低い化学療法が中程度のリスクの小児神経芽細胞腫に有効

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強度の低い化学療法が中程度のリスクの小児神経芽細胞腫に有効

Less-Intense Chemo Effective in Children with Intermediate-Risk Neuroblastoma
(Posted: 06/13/2007) シカゴで開催された2007年ASCO会議での発表によると、強度の低い化学療法レジメンで治療を受けた中程度のリスクの神経芽細胞腫の小児および幼児の3年後の全生存率は、過去の試験で強度が高く、毒性の強い治療を受けた患者と同等に良好であった。


要約
中程度の再発リスクのある神経芽細胞腫を持ち、より強度の低い化学療法を受けている乳児および小児患者は、過去の臨床試験結果の、より強度が高く毒性の強い治療を受けた患者と比較すると、3年全生存率は同等でした。

出典 2007年6月4日シカゴでの米国臨床腫瘍学会(ASCO) 年次総会(学会抄録参照)。

背景
16歳未満の小児において4番目に多くみられる固形癌である神経芽細胞腫は、主に副腎や頸部、胸部、脊椎などの未成熟な神経細胞で発生します。患者の年齢や転移の度合い、腫瘍にみられる遺伝子変異などに応じて、神経芽細胞腫の治療後の再発リスクは低・中・高に分類されます。

診断時、すでに限られた範囲内に転移のみられる神経芽細胞腫瘍については、医師は外科手術と化学療法を併用して、もとの腫瘍と他の箇所の転移細胞を除去します。中程度の再発リスクのある神経芽細胞腫においては、この治療法は再発防止にたいへん効果的で、生存率も上昇させます。

しかし効果のある一方で、この治療が完了するのには何ヶ月も要し、また腎臓や心臓、聴力へのダメージや、一時的な白血球数の減少と、それにともなって患者が感染症の危険にさらされるという、深刻な副作用を引き起こす可能性もあります。

以下に述べる臨床試験では、中程度の再発リスクの神経芽細胞腫をもつ小児患者において、より短期かつ強度の低い化学療法が、より強い薬剤での治療と同じくらい再発を防ぎ、また生存率を上昇させることが可能かどうかを検討しています。

試験
1997年3月から2005年5月の間、この一群のみの第3相臨床試験(以下、A3961とする)では、オーストラリア、ニュージーランド、北米の病院から、中程度の再発リスクの神経芽細胞腫を持つ該当患者を467名登録しました。この試験は、対照として過去の患者群での結果を用いています。つまり、Children’s Cancer Groupによって行われた、1989年から1996年の間、より強度の高い化学療法薬剤を投与された、A3961とよく似た構成の神経芽細胞腫の患者群(以下、CCG3881)での試験結果と比較しました。

A3961群のすべての患者は初期に外科手術を受けており、腫瘍の再発の相対的な可能性に応じて予後良好群と、予後不良群の、2つに分けられました。

予後良好群の乳児および小児は4サイクル、予後不良群は8サイクルの化学療法を受けるよう予定されました。予後良好群の患者が最初の治療で満足のいく腫瘍反応がみられなかった場合は、8サイクルの化学療法を受けました。各サイクルはカルボプラチン、エトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシンといった薬剤の異なる組み合わせで構成されていました。

以前のCCG3881の試験にもとづき、A3691の患者の90%以上が3年のフォローアップ後も生存していた場合、より強度の低い療法でも効果があると判断することとしました。

この試験はChildren’s Oncology Groupによって組織されました。筆頭著者はオーストラリア、パースのPrincess Margaret病院における、小児および青少年の血液学・腫瘍学プログラムの責任者であるDavid L. Baker医師です。

結果
467名の該当患者のうち、362名が乳児(1歳未満)で、105名が小児でした。71%(330名)が予後良好群で、29%(137名)が予後不良群でした。合計192名の患者が4サイクルのみの治療を受け、残りの275名(「好ましい」グループの42%を含む)が8サイクルの治療を受けました。

3年のフォローアップの後、96%の患者が生存しており、88%では癌の進行がみられませんでした。この結果は、この治療が実際に効果があることを示しています。さらに、患者の全治療期間や実際に治療を受けた日数は、過去のCCG-3881群と比べるとかなり短くなりました。

より強い薬剤を用いた過去の試験では、全268日の治療期間のうち、71日の間治療を受けました。A3961のより強度の低い薬剤での試験では、予後不良群では168日(40%減少)の治療期間中、18日(75%減少)の間、治療を受けました。予後良好群では、94日(70%減少)の治療期間中、10日(85%減少)の間、治療を受けました。

腎臓や心臓、聴力へのダメージはそれぞれ2%以下の患者でみられました。70%近くの患者で白血球数が減少しましたが、この副作用は治療の終了後に消失しました。試験中、467名中4名の患者が治療に関係した感染症によって死亡しました。2名の患者では二次癌として急性骨髄白血病を発症しました。

制限事項
3年後のフォローアップの副作用が容認可能な程度である一方、「長期的な毒性に関してはわかっていない」と、英国サリーのRoyal Marsden病院の小児腫瘍医であるAndrew Pearson氏はASCO会議で発言しました。というのも、予後不良群の患者はまだ多量のドキソルビシン(これは心臓に永続的にダメージを与えうる)の投与を受けており、またいくつかのケースでは二次癌も見つかっているからです。彼は、「このグループの患者に対しては、より薬剤を減らすべきだ」と説明しました。

コメント
毒性を減らす余地はまだ残されているものの、「大きな成功であることは疑いの余地がない」とPearson氏は述べました。

「彼らの目標は、(過去の対照患者群と比較して)より少ない治療で同じ生存率の結果を得ることで、それが可能であった。半分程度のサイクル数で同じ結果を得られたことは、意義のあることだ。」と、米国国立癌研究所(NCI)、癌治療評価プログラムのBarry Anderson医学博士は同意しました。

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水向絢子 訳
林 正樹(血液・腫瘍医)監修

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