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子宮頸癌にシスプラチンベースの化学放射線療法の有用性が長期データにより確認

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子宮頸癌にシスプラチンベースの化学放射線療法の有用性が長期データにより確認

Long-Term Data Support Cisplatin-Based Chemoradiation for Cervical Cancer
(Posted: 05/29/2007) Journal of Clinical Oncology2007年7月1日号によると、放射線治療に加えて化学療法剤シスプラチンの投与を受けた限局性子宮頸癌女性は、別な化学放射線療法を受けた女性より有意に長く生存した。


キーワード
子宮頸癌、シスプラチン(プラチノール®)ヒドロキシウレア

要約
局所的または限局的に広がった子宮頸癌に対して放射線治療と化学療法剤シスプラチンの投与を受けた女性は、放射線療法とヒドロキシウレアの併用治療を受けた女性より有意に長く生存した。

出典
Journal of Clinical Oncology誌 May 14, 2007(ジャーナル要旨参照

背景
1999年、5つのランダム化試験の結果は局所的に(子宮頚部または近くの組織)、または限局的に(骨盤内)拡がった子宮頸癌の治療に関し、放射線療法にシスプラチンベースの化学療法を加える(化学放射線療法)ことで生存期間が放射線治療単独より延長することを示した。これらの結果に従って,米国国立癌研究所(NCI)は局所的または限局的に進行した子宮頸癌の女性に化学放射線療法の使用を推奨するclinical announcement(臨床的告示)を発表した。

Clinical announcementの発表により、子宮頸癌に対する化学放射線療法を受ける女性が非常に増加した。しかしこの治療レジメンについて複数の疑問が残った。1999年に実施された臨床試験は2、3年の追跡期間しかなかったため、化学療法を放射線療法に加えることにより長期的な副作用が悪化するのではないかと疑問に持つ医師もいた。さらに、その初期の結果は,限局的に進行した子宮頸癌の女性に対する長期にわたる化学放射線療法の恩恵がより局所的な子宮頸癌の女性に対するものと同程度であるのかどうかについて決定的に示さなかった。

この問題の回答のため、1999年に実施された5つの臨床試験の1つを担った医師らは参加女性を平均約9年間追跡調査したデータに基づく分析を行った。

試験
Gynecologic Oncology Groupが最初に実施したランダム化臨床試験(GOG120)には限局的または局所的に進行した子宮頸癌の女性が登録された。参加女性は3群の中の1つの群に無作為に割り当てられた。うち1群は化学療法剤シスプラチン単独、2群は化学療法薬ヒドロキシウレア単独、3群はシスプラチン、ヒドロキシウレアと5-フルオロウラシルを併用群とした。

全ての薬剤は,放射線療法中に投与し、3群の女性は,同タイプ・同じ線量の放射線照射を受けた。臨床試験責任医師らは早期または晩期の副作用の発生を記録し、全群の無増悪生存期間(腫瘍の増殖のエビデンスを伴わない生存期間)および全生存期間を比較した。

本試験の執筆責任者はオハイオ州クリーブランドのCleveland Clinic Foundation のPeter G. Rose医師であった。

結果
1992年から1997年に、176例がシスプラチン単独、177例がヒドロキシウレア単独、173例がシスプラチン、5-フルオロウラシル、ヒドロキシウレアを投与された。この長期分析では患者を平均約9年間追跡調査した。

シスプラチン投与群およびシスプラチン、5-フルオロウラシル、ヒドロキシウレアの併用投与群はヒドロキシウレア単独投与群より無増悪期間が有意に長かった。

•追跡調査30ヶ月の時点で、ヒドロキシウレア投与群の女性が42%生存していたのに対し、シスプラチン投与群の女性の63%とシスプラチン併用投与群の女性の62%が病勢の進行なく生存していた。

•追跡調査5年目時点で、ヒドロキシウレア投与群の女性の35%が生存していたのに対し、シスプラチン投与群の女性の58%とシスプラチン併用投与群の57%の女性が病勢の進行なく生存していた。

•追跡調査10年の時点で、ヒドロキシウレア単独投与群の26%が生存していたのに対し、シスプラチン単独投与群の46%と併用投与群の43%が病勢の進行なく生存していた。

シスプラチン投与群およびシスプラチン、5-フルオロウラシル、ヒドロキシウレアの併用投与群は全生存期間も長かった。

•追跡調査30ヶ月の時点で、ヒドロキシウレア単独投与群の53%が生存していたのに対し、シスプラチン単独投与群の70%と併用投与群の70%が生存していた。

•追跡調査5年の時点で、ヒドロキシウレア単独投与群の40%が生存していたのに対し、シスプラチン投与群の60%と併用投与群の61%が生存していた。

•追跡調査10年目で、ヒドロキシウレア投与群の34%が生存していたのに対し、シスプラチン単独投与群の53%と併用投与群の53%が生存していた。

シスプラチンベースの化学放射線療法は局部的または限局的に(腫瘍がより進行している) 拡がっているかに関係なく無増悪期間および全生存率を改善した。

シスプラチン単剤またはシスプラチン、5-フルオロウラシル、ヒドロキシウレアを投与された患者が副作用の長期的解析のために生存した事実を調整後、試験の担当医師は両群に後に起きる副作用の統計学的に有意な差をみとめなかった。

コメント
「総じて、この追跡解析は局所進行した子宮頸癌に対する骨盤部照射療法とシスプラチンベースの同時化学療法の使用を支持するために継続している。」と著者はまとめた。

「この臨床試験では,毒性の増悪がないこと、より初期癌と同様に進行癌でも化学療法を実施すべきであるという2点を示している。」「現在、シスプラチンは他の新しい治療と比較される標準的なものである。」と米国国立癌研究所Medical Oncology Branchの試験分担医師Herbert Kotz医師は説明した。

この臨床試験では小線源治療(内部照射; 内部照射では放射性物質が子宮頸癌付近の膣内に置かれる)を加えた全骨盤照射とよばれる放射線治療手法のみが用いられた。しかし、体の主要動脈である大動脈近くのリンパ節に転移した子宮頸癌のある患者では拡大照射野への照射から恩恵を受けるかもしれないとKotz医師は述べた。拡大照射野への照射を伴う化学放射線療法が子宮頸癌の患者にとって忍容性があり、最も効果的であるかを決定するためには多くの研究が必要とされる。

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吉村祐美 訳
瀬戸山修 監修

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