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2011/08/09号◆特集記事「放射線治療後の二次癌リスクと関連するゲノム領域を特定」

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2011/08/09号◆特集記事「放射線治療後の二次癌リスクと関連するゲノム領域を特定」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年8月09日号(Volume 8 / Number 16)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

放射線治療後の二次癌リスクと関連するゲノム領域を特定

治療の一環として放射線治療を受けたホジキンリンパ腫の小児における二次性原発癌の長期的リスクについて重要な鍵となるかもしれない新たな研究結果が発表された。この研究では、小児ホジキンリンパ腫のサバイバーにおける二次癌リスクの増大と強い関連のある一塩基多型(SNP)と呼ばれる遺伝子変異体が、6番染色体上に2カ所特定されたのである。

6月24日付Nature Medicine誌に発表されたこの研究は、二次癌リスクに焦点を合わせた初のゲノムワイド関連解析の一つである。また、特定の治療介入を受けた群に研究対象集団を限定している点で、現時点で稀少な研究の一つである。

ホジキンリンパ腫と診断された小児および思春期小児の約90%が治癒する。しかし、治癒は代償を伴う。つまり、サバイバーの20%近くが二次癌を発症し、それがこの集団における死因の第2位となっている。

どの患者において二次癌リスクが高いのか、したがって別の治療を行うべきか、あるいは成長の過程でより注意深く二次癌の発症を検査すべきであるかを特定しようと、懸命に研究した、と統括責任医師であるシカゴ大学のDr. Kenan Onel氏は説明する。

この研究結果が「興味をそそる」理由はそればかりではない、とOnel氏は述べる。「このような曝露という条件下で、〔これらの遺伝子変異〕は大きな影響力を持つように思われます」高リスクのSNPを持つサバイバーは、それらのSNPを持たないサバイバーに比べ、二次癌を発症する確率が高かった。

しかし、これは比較的小規模の試験であり、研究結果を検証するにはより大規模な試験が必要であると、彼は強調した。 「もっと多くの研究をして初めて、その結果をもとに医師や患者が治療法を選択できると言えるのです」。

関連する染色体領域を見つけるために、Onel氏らは放射線治療を受けた178人の小児ホジキンリンパ腫サバイバーのDNAを精査した。検査を行った患者のうち96人が、二次癌を発症した患者であった。3カ所の遺伝子変異(SNP)が、二次癌の高リスクと相関があった。

同様の治療を受けた別の集団(二次癌を発症した患者62人、発症しなかった対照71人)でこの結果の追試を行ったところ、6q21という染色体領域の2つのSNPが二次癌リスクの増大と統計的に有意な相関を示した。

これらの遺伝子変異が癌リスクを増大させる具体的な仕組みは明確でない。しかし、変異がみられる6番染色体の領域は、PRDM1という遺伝子の付近にある。最近の別の研究によれば(こちらこちらを参照)、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の一部のタイプにおいては、PRDM1が腫瘍抑制遺伝子である可能性が指摘されている。

細胞株で行った追加の実験で、Onel氏らは、リスク変異(アレル)の存在がPRDM1タンパクのレベルの低さと相関すること、また、放射線照射に応じてPRDM1タンパクの濃度が上昇するのは二次癌「保護的」アレルを有する細胞においてのみであることを示した。

しかしながら、それ以外の遺伝子も関与している可能性をOnel氏らは否定できなかった。

放射線治療と組み合わせたときに、二次癌を発症しやすくするうえで2つのリスク変異(アレル)が果たす役割を明らかにする一助として、放射線治療を受けなかったサバイバーを含む類似の解析を行う必要がある、とNCI癌疫学・遺伝学部門(DCEG)内、放射線疫学科のDr. Lindsay Morton氏は説明した。

この研究は「二次癌の発症に関する遺伝的傾向と環境曝露の間の複雑な相互作用についてのさらなる研究に向けて」先鞭をつけるものである、とMorton氏とDCEGのトランスレーショナル・ゲノム学研究室長のDr. Stephen Chanock氏は、論文と同時掲載の解説に記した。将来の研究では、放射線量の役割や、たとえばある種の化学療法など他の治療法の役割を評価する必要があると両氏は述べている。

今回の研究結果が、ホジキンリンパ腫以外の小児癌サバイバーにも当てはまるかどうかを調べることも、重要な将来プロジェクトとなろう、とOnel氏は述べた。

米国には1,200万人近い癌サバイバーがおり、今後、治療法や診断ツールの改善につれてその数は増え続ける。「この研究は、二次癌を後々発症するリスクが高いであろう患者の同定に向けた重要な第一歩です」とMorton氏は述べた。 「将来はサバイバーの医療をもっと効果的に一人ひとりに合わせ、二次癌の負荷を減らせることがわれわれの願いです」。

— Carmen Phillips and Edward R.Winstead

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盛井 有美子 訳
寺島 慶太(小児科/テキサス小児病院) 監修
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