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一部のB細胞非ホジキンリンパ腫小児は、より強度の低い化学療法によって恩恵を受ける

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一部のB細胞非ホジキンリンパ腫小児は、より強度の低い化学療法によって恩恵を受ける

Less-Intense Chemotherapy Benefits Some Children With B-Cell Non-Hodgkin Lymphoma
(Posted: 04/25/2008) Blood誌2007年4月1日号によると、進行したB細胞非ホジキンリンパ腫である小児および青少年に、現在の標準投与量より低用量の多剤化学療法で治療をした場合、同等の有効性が見られ、副作用がより少ない。


キーワード
B細胞非ホジキンリンパ腫、小児癌

要約
それほど進行していないB細胞非ホジキンリンパ腫の小児および青少年が、必要とされる現行の標準療法より低用量の多剤化学療法で治療を受けた結果、より少ない副作用で、その効果は同等でした。しかし、疾患がより進んだ年少者への低用量化学療法では、副作用の減少はみられましたが、癌の再発を防ぐ働きがわずかに弱まりました。

出典
Blood, 2006年11月28日(ジャーナル要旨参照)、2006年11月30日、(ジャーナル要旨参照)にオンライン掲載。両文献は、2007年4月1日に発行。

背景
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、小児の珍しい癌です。およそ800の新しい症例が毎年米国で診断されています。B細胞リンパ腫は、通常、バクテリアとウイルスによる感染から体を守る働きをする白血球のB細胞に起こるNHLの一種です。

NHLは、通常多剤化学療法で治療が行われます。手術は殆ど行われません。その理由はこの疾患が手術により治療できる可能性が少なく、正常な器官に損傷を与えるかもしれないからです。現在の治療では、NHLの小児および青少年およそ80%は5年以上生存します。この疾患が体の一部位に限定される場合(たとえば、胸または腹部以外の首、鼠径部、または腋下)、およそ90%の患者は5年以上生存します。

2001年に発表された大規模臨床試験では、それほど進行していないB細胞リンパ腫の小児において、さらに進行したB細胞リンパ腫の小児より低用量の化学療法薬の投与で治療できる可能性があると研究者らは確認しました。LMB-89として知られているその研究で使用された多剤レジメンは、小児のB細胞リンパ腫の標準治療になりました。しかし、これらのレジメンで治療を受けた大部分の患者は、感染や口内炎などの中程度から重度の副作用がみられました。そのうえ、レジメンは不妊性のおそれのある薬、シクロホスファミドの高用量を含んでいます。

国際的なグループの研究者ら(米国、英国、フランスから)は、さらに投与量を減量しても同等の効果があり、かつ副作用の減少につながるかどうかを調べたいと望んでいました。1996年から2001年の間に、まだそれほど進行していない、リスクが中程度のB細胞リンパ腫の小児および青少年、リスクが高い進行B細胞リンパ腫の小児および青少年における大規模な臨床試験が行われました。異なった治療レジメンがこれらの2つの患者グループに用いられ、異なった治療の疑問がグループ毎に評価されました。

リスクが中程度の患者
2歳から20歳までの657人の患者でこの研究が行われました。患者の癌については、ステージ1~4で、骨髄への限られた転移(25%未満の転移)があり、脳または髄液への転移がない、という範囲でした。

治療の2つの疑問に答えるため、患者は4つの治療レジメンに無作為に割付けされました:最初の疑問は、集中的な化学療法の4コース後、維持療法コースが必要だったかどうかでした。第2の疑問は、標準用量の半分のシクロホスファミドを含む、強度を弱めた薬剤治療が、標準的な強度の薬剤治療と同等に効果的かどうかでした。
この研究のこの部分の主任責任者は、フランスのVillejuifにあるInstitut Gustave RoussyのCatherine Patte医学博士でした。

リスクが中程度の患者での結果
追跡期間中央値4.5年の期間後、シクロホスファミドの標準用量の投与を受けた患者と比較して、シクロホスファミドの低用量の投与を受けた患者の全生存率と無進行生存率は同程度でした。
維持療法コースを受けた患者と維持療法コースを受けなかった患者と比較して、生存率と無進行生存率は同程度でした。用量の少ない投与を受けた患者は、シクロホスファミドの標準的な量か、維持療法、またはその両方を受けた患者より副作用が減少しました。

リスクの高い患者
1歳以下から19歳までの190人の患者でこの研究が行われました。全ての患者がステージ4でB細胞リンパ腫で、骨髄、脳または髄液、あるいはそれらの両部位に転移していました。
患者は、2つの治療群の1つに無作為に割付けられました。

•グループ1;シタラビンとエトポシドの標準用量の標準多剤化学療法+4コースの維持療法 
•グループ2;シタラビンとエトポシドの低用量の強度を減弱した治療+1コースの維持療法 

研究のこの主任責任者は、ニューヨークのMorgan Stanley小児病院のMitchell Cairo医学博士でした。

リスクの高い患者の結果
標準的治療を受けた患者と比較して、強度の低い治療を受けた患者は、感染、口内炎と入院などの副作用がより少なくみられました。しかし、4年後には、癌の無再発率は、標準的治療を受けた患者のほうが高く90%で、強度の低い治療を受けた患者では80%となりました。

コメント
これらの研究からの結論として、[予後の]良好な子供たちにとっては治療強度のわずかな減弱はおそらく安全であり、[予後]の劣る子供たちにとっては治療強度のさらにわずかな減弱でも、悪い結果となる可能性が高い。」と、付随の論評で英国ロンドンのRoyal Free and University College Medical SchoolのAdele K. Fielding医師は書いています。

この結果は、非常に良好な回帰を維持し、治療が短期長期共に副作用を減少させ、リスクが中程度のB細胞NHLの子供たちの新しい標準療法を確立します。このように国立癌研究所のCancer Therapy Evaluation Programの小児癌専門医のMalcolm Smith医学博士は述べています。

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HAJI 訳
林 正樹(血液・腫瘍医)監修

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