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食道癌患者は外科手術を回避できるかもしれない

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食道癌患者は外科手術を回避できるかもしれない

Patients With Esophageal Cancer May Be Able to Avoid Surgery
(Posted: 04/16/2007) – Journal of Clinical Oncology誌2007年4月1日号によると、化学放射線療法のみを受けた食道癌の患者は、化学放射線療法後に外科手術を受けた患者と生存は同等であった。


出典
Journal of Clinical Oncology、2007年4月1日(ジャーナル要旨参照)
(J Clin Oncol 2007 April 1; 25(10): 1160-1168)
背景
食道に生じる癌(食道癌)は2つの異なるタイプの細胞から生じます。扁平上皮癌は食道の内側を覆う細胞から生じ、腺癌は粘液および他の液体を分泌する細胞から生じます。両タイプの食道癌ともに、可能な患者に対しては従来外科手術が行われてきましたが、頸部および胸部の繊細な臓器の切除および処置が必要であり治療関連死の危険があります。
外科手術の前に化学放射線療法とよばれている化学療法と放射線療法を併用する治療により、食道癌患者の生存率が伸びる可能性が過去10年にわたる研究から示されてきました。近年、食道癌の治療に危険性の高い外科手術をせずに化学放射線療法のみで認容できる治療が行えるか否かを研究者らは思案してきました。

試験
1993年から2000年の間に444例の食道癌患者が本第III相臨床試験に登録されました。患者の90%近くが扁平上皮癌、残りは腺癌でした。いずれの患者も放射線療法とフルオロウラシル、シスプラチンによる化学療法を2クール受けました。

放射線療法では、患者は通常照射法(週5回、4.5週間照射)または分離照射法(治療開始1日目~5日目および22日目~26日目に照射)のいずれかを受け、その選択は患者および医師が行いました。このように2つに分けて試験を行った結果、通常照射法のほうが分離照射法よりも効果が高いことが分かりました。この時点から、新規登録患者は通常照射法を受けることとしました。

患者の化学放射線療法への反応が観察され、腫瘍が縮小した患者のみ(259例)が外科手術群(129例)または治療開始後約3ヶ月で終了する化学放射線療法継続群(130例)に無作為に割り付けられました。

追跡期間の中央値は47.4カ月でした。治験責任医師らは画像撮影および生検によって腫瘍の進行を記録しました。化学放射線療法後に外科手術を受けた患者と化学放射線療法のみを受けた患者の嚥下障害(嚥下困難)の重症度、必要来院回数、癌の再発部位、生活の質および全生存率を比較しました。

本試験はフランスのFederation Francophone de Cancerologie Digestive(FFCD)により調整されました。本報告の主執筆者はFFCDのLaurent Bedenne医学博士でした。

結果
2000年11月に実施した中間解析から2つの群間の生存率に統計的有意な差はないことが分かり、その後の被験者登録は中止されました。追跡期間の評価から生存率には依然として差がないことが示されました。化学放射療法に加えて外科手術を受けた患者の試験開始2年後の生存率は33.6%、化学放射線療法のみを受けた患者の生存率は39.8%であり、この差は偶然に生じたと考えることもできます。

治療関連の合併症は外科手術群の患者でより多く、食道または食道付近の腫瘍の再発(局所領域再発と呼ばれている)は化学放射線療法群でより多く認められました。外科手術群の患者は治療期間中病院で過ごす時間が有意に多くなり、化学放射線療法群では嚥下困難の症状を緩和するために処置を受けた患者の数が有意に多くなりました。生活の質(QOL)については、2年後も両群で同等の結果が示されました。

制限事項
分離照射法を受けた患者は“後に従来の放射線療法よりも劣ることが分かる治療”を受けていたことになります、と著者らは述べました。このことが結果にバイアスをもたらしている可能性があります。さらに、通常照射法を受けた患者は無作為化のための評価時点で分離照射法を受けた患者と比べて放射線療法を受けた時期に2週間の差がありました。

しかし、米国国立癌研究所臨床放射線腫瘍科(Clinical Radiation Oncology Branch)長のBhadrasain Vikram医師は「放射線療法も数例では最適とはいえない結果でしたが、外科手術で効果が得られなかったことから事実上外科手術は生存期間にそれほど効果がないという結論を強める結果となりました。放射線療法のほうが優れているのなら、化学放射線療法のみでさらに効果のある腫瘍のコントロールができると考えられます。」と説明しました。

コメント
「外科手術を治療方針に加えるか否かにかかわらず、化学放射線療法に反応を示す胸部の局所進行食道癌患者では同等の生存率が得られることが本試験から示唆されました。」と著者らは結論しました。
「化学放射線療法に反応性を示す患者、少なくとも被験者の90%の扁平上皮癌患者にとっては外科手術からは意味のある効果が得られないということが本エビデンスから強く示唆されます。」とVikramも述べ、「腺癌は異なる疾患であり米国ではこの癌が多いため、腺癌患者を対象に同様の試験を実施する必要があります。」とつけ加えました。

(South 訳・平 栄(放射線腫瘍科) 監修)

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