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高齢の予後の良好な非ホジキンリンパ腫患者では放射線治療は回避することが可能

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高齢の予後の良好な非ホジキンリンパ腫患者では放射線治療は回避することが可能

Radiation Might be Avoided for Older Patients with Good Prognosis Non-Hodgkin’s Lymphoma
(Posted: 02/14/2007) Journal of Clinical Oncology誌2007年3月1日号によると、60歳以上のある種のリンパ腫患者の生存率向上において、化学療法単独は化学放射線療法と同等の効果があり、同患者らは放射線療法の毒性を回避することが可能であると思われる。


キーワード 非ホジキンリンパ腫、放射線療法、CHOP

要約
病変が限局している早期の悪性非ホジキンリンパ腫の治療に対する現在の標準療法は、化学療法に加えて放射線療法を必要とします。しかしこの試験によると、60歳以上の患者では化学療法単独でも生存の延長において同様の効果があったため、同患者に対しては、放射線療法によるさらなる毒性を避けることができるかもしれないということが示唆されました。

出典 Journal of Clinical Oncology、2007年1月16日オンライン版、2007年3月1日出版(ジャーナル要旨参照)J Clin Oncol. 2007 Jan 16; (出版前のオンライン版)

背景
びまん性悪性非ホジキンリンパ腫と診断された患者のステージがIおよびIIである場合、予後はかなり良く、5年生存率は70%以上です。30年以上の間、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンとプレドニゾンによる併用化学療法(CHOP)が、標準療法として用いられています。

ここに挙げられている試験は、GELA NHL 93-4として知られ、限局性悪性リンパ腫の治療法についての2つの疑問、すなわちCHOPに放射線療法を加えるべきかどうか、またCHOPのサイクルはいくつが最適か、に対する答えを得るため、1990年代に行われた4つの大きな臨床試験のうちの1つでした。

試験
GELA NHL 93-4第3相試験には、576人のびまん性でない(限局性)早期の悪性リンパ腫と新たに診断された患者が参加しました。患者は、主にフランスとベルギーで、65ヶ所の異なる施設から1993年3月から2002年6月の間に登録されました。すべての患者は60歳以上で、年齢の中央値は68歳でした。患者は2つのグループに無作為に割り付けられ、そのうち1つでは299人が4サイクルの21日間のCHOPを受け、CHOPに奏効を示したした患者はその後、限局した病変の部分に放射線療法を受けました。その他の277人の患者は、4サイクルのCHOPを単独で受けました。

この研究は、Group d’Études de Lymphomes de l’Adulte (GELA)によって行われ、主任研究員はLeige(ベルギー)のCentre Hospitalier Universitaireの Christophe Bonnet医師でした。

結果

治療が完了した1ヵ月後に、両方のグループの大部分の患者は、完全緩解を示しました。中央値で7年後の時点でも、病気の進行(無再発生存)または全生存率に関して、2つのグループに違いはありませんでした。

特に、化学療法を単独で行った群の79人の患者に病気の再発が起こりましたが、それは61%が無再発で5年間生存する可能性を意味します。化学療法後に放射線療法を受けた患者でも、66人で病気が再発し、無再発5年生存率は64%でした。5年全生存率は、化学療法単独の患者群では72%、化学療法と放射線療法を受けた患者群では68%でした。この違いは、統計学的に有意なものではありませんでした。

制限事項
この試験は、病気以外の点で予後が良い思われるがあった高齢の患者で実施されたものなので、より多くの危険因子を持つ患者や、同型の悪性リンパ腫を持つ若い患者にはあてはまらないかもしれません、と国立癌研究所癌研究センターリンパ腫部門のWhyndham Wilson博士は述べています。

この研究のより重要な制限事項は、リツキシマブ(商品名リツキサン®)と呼ばれるモノクローナル抗体が、いろいろなリンパ腫の治療の効果的な併用薬(R-CHOPと呼ばれる)であることが示されている今日、現在CHOP単独で治療される患者はほとんどいないということです。

コメント
これらと他の試験結果に基づき、GELAの研究者らのグループは「限局性悪性リンパ腫の第一次選択の治療としての放射線療法を断念する」ことを決めた、と述べました。「米国でも類似した治療傾向である」そして「私は、放射線療法がステージIの患者に必要であるとは思っていません」とWilson博士は述べています。

しかしこれは、放射線療法がいくつかの種類のリンパ腫において、局所病変をコントロールするための役割がないということを意味するものではありません、、この問題を研究するためには、R-CHOPのような新しい化学療法と最新の放射線療技術を用いた他の臨床試験を実施しなければなりません、とハーバードダナファーバー癌研究所のAndrea K. 医師とPeter M. Mauch医師は、同号の論説に書いています。

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(大澤敬子 訳・島村義樹(薬学) 監修)

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