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ヒ素化合物が、一般的でないタイプの成人白血病において生存を改善する

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ヒ素化合物が、一般的でないタイプの成人白血病において生存を改善する

Arsenic Compound Improves Survival of Adults with Uncommon Form of Leukemia
(Posted: 01/24/2007) 一般的でないタイプの白血病の第3相臨床試験の良好な結果が本日発表された。結果によると、未治療の急性前骨髄性白血病の成人患者が、病勢寛解への導入のため標準化学療法を受けたあと、続いて寛解の維持療法として化学療法剤である亜ヒ酸を受けた患者は、標準療法のみの患者に比べて有意に良好なイベントフリー生存率(より多くの患者で白血病がみられなくなる)と、良好な全生存率を有した。試験はNCIによって支援され、共同臨床試験グループCancer and Leukemia Group Bのもとで行われた。


比較的少数のタイプ白血病での第3相癌臨床試験の良好な結果が、本日発表されました。この結果は,寛解導入のために標準的化学療法を受け、その後、寛解維持のために化学療法剤である亜ヒ酸の投与を受けた、これまでに治療を受けていない成人の急性前骨髄球性白血病(APL)患者は、標準的な化学療法だけを受けた患者より明らかに長い無病生存期間(より多くの患者が白血病の無症状)及び長い全生存期間があることを示しました。試験は国立衛生研究所の一部である国立癌研究所(NCI)が支援し、その共同臨床試験グループの一つであるCancer and Leukemia Group B(CALGB)によって行われました。

「この一般的でない疾患が非常に長期間にわたる寛解を維持しているという共通要素の臨床試験で良好な結果が見られたことは非常に勇気づけられます」と、NIHディレクターエリアスA.ゼルーニ医学博士は述べています。

急性前骨髄球性白血病(APL)は、急性脊髄性白血病(AML)の数少ないタイプで,AML症例のおよそ10%を占め、または1年間で1,500の症例がアメリカで報告されています。この疾患は若者や中年層で最もよく診断されますが、子供や高齢者にも発生します。標準化学療法レジメンではおよそ70%の完全寛解率で、患者の35%から45%で疾患の再発なく5年間の生存期間が示されています。

「試験に参加できる患者数が限られてくるため、稀な癌の臨床試験を上手く行うことは難しい仕事です。 従って、これはこの型の白血病の全患者のために非常に励みになるニュースです」と、NCIディレクターJohn E. Niederhuber医学博士は述べています、「この良好な結果は、またもや臨床試験の有用性を実証し、できれば他の患者がそのような試験に参加する励みにもなります。」

、このタイプの白血病は、診断時に、しばしば致命的な出血を伴い,最初の治療が行われたとしても,悪化することが多いです。治療は、化学療法にオールトランス型レチノイン酸(ATRAまたはトレチノイン)の追加で、近年は驚くほど改善されました。最近では、亜ヒ酸(Trisenox)は初回治療後、APLの再燃・再発がみられた患者で2回目の寛解を導入するために効果的な薬剤であることが示されています。ATRAと亜ヒ酸ともに、APLの治療に米国食品医薬品局から承認を得ています。

CALGBが組織した試験では、ATRAと化学療法の併用療法に、亜ヒ酸の25日間の静脈内投与を2コースを加え、その有効性と副作用を調べました。新たに診断されたAPLの患者は、次の(1)あるいは(2)のいずれかの療法群に無作為に割付けされました。

(1)この疾患の標準化学療法薬であるダウノルビシン(4日間)とのシタラビン(7日間)に1日2回ATRAを併用した標準寛解治療後、ATRAとダウノルビシンの2コースを追加したの標準的な寛解後のレジメン

(2)実験的な治療は,同じ標準治療を行い,患者が完全寛解もしくは部分寛解がみられたらすぐに,標準寛解後レジメンの前に、亜ヒ酸を使った2コースを追加するレジメン

亜ヒ酸は2時間の点滴注入され、月曜日から金曜日まで5週間の外来患者としての治療予定で行われました。寛解療法終了後、肉眼観察にて白血病の無病症状を維持している患者は、白血病の再発を防ぐために、経口化学療法薬での治療をその後1年間受けました。

1999年6月から2005年3月までに、582人の患者が、この試験に組み込まれました。患者は、CALGB、 Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG)、 Southwest Oncology Group (SWOG)、 Children’s Oncology Group (COG)といったNCI支援North American Cooperative Oncology Groupsの1つ、またはNational Cancer Institute of Canada、 Clinical Trials Group (NCIC-CTG)に参加しました。試験デザインによって、15才未満の患者(全グループの11%)は、亜ヒ酸を含んだ治療に割り当てられませんでした。

生存し,寛解を維持している(白血病の再燃がない)患者の成人患者の割合は、診断から3年後では、標準的な治療のみの群の59%と比較して亜ヒ酸を含んだ治療群は77%でした。この差は、統計学的に非常に有意でした。実験的な併用投与による高い有効性も3年後の全生存率に良い結果をみせ、標準治療群の患者の77%と比較して、亜ヒ酸を受けた患者は86%となりました。

患者は、29ヵ月間(中央値)追跡されました。試験結果を検討後、データ安全性監視委員会は試験担当医師らとNCIに見込みのある結果を知らせ、全てのAPL患者がこの治療で恩恵を得られる機会があるようこの結果を発表しました。

ノ-スキャロライナ州のウィンストンセーラムにあるウエイクフォレスト大学のこの試験の主任担当医師であるバイアードパウエル医学博士は次のように述べています、「この重要な臨床試験に参加したいという白血病患者とその主治医の意欲は、APLの白血病患者と将来の患者の転帰を著しく改善しました。」

治療による副作用は、2006年12月にフロリダのオーランドで、米国血液学会の年次総会で報告されました。血液学的(血球数)毒性の違いはヒ素を受けた群と受けなかった群の間にみられませんでしたが、亜ヒ酸を受けたグループに頭痛と感染の頻度がわずかに高いことが認められています。これらの試験結果のすべての科学的な発表が、2007年6月にイリノイ州のシカゴにおいて、米国臨床腫瘍学会の年次総会で予定されています。

試験の共同責任医師である、イリノイ州シカゴ大学のリチャードラーソン医学博士は述べています。「これらの結果は、亜ヒ酸を急性前骨髄球性白血病患者の最初の治療の一部として考慮しなければならないことを示しています。」

試験はDCTD、NCIとペンシルベニア州フレーザーにあるCephalon社(Trisenoxのマーケッティング担当と販売)間の臨床試験合意書の下でNCIの癌診断治療部門(DCTD)が後援し、成績の公開を推薦した独立データ及び安全性モニタリング委員会によりモニターされました。

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(HAJI 訳・瀬戸山修(薬学) 監修)

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