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ゾレドロン酸は乳癌のエストロゲン抑制治療による骨量低下を予防する

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ゾレドロン酸は乳癌のエストロゲン抑制治療による骨量低下を予防する

Zoledronic Acid Prevents Bone Loss During Estrogen-Suppression Treatment of Breast Cancer
(Posted: 01/09/2007, Reviewed: 09/16/2008) Journal of Clinical Oncology誌2007年1月3日号オンライン版記事によると、ゾレドロン酸は、閉経前のホルモン感受性乳癌において行われる術後のエストロゲン枯渇療法による骨量低下を予防することが可能である。


キーワード 乳癌、骨量低下、ゾレドロン酸、アロマターゼ阻害剤、アナストロゾール(アリミデックス、タモキシフェン(ノルバデックス)、ゴセレリン(ゾラデックス)

要約
ゾレドロン酸は、ホルモン感受性乳癌に対する術後の完全エストロゲン抑制療法を受けている閉経前の患者で治療により誘発される骨量低下を防ぐことが可能です。エストロゲン不足が骨量低下を招くため、体内のエストロゲン量を減少させる薬剤を服用する患者には有効な手段が必要とされる。

出典 Journal of Clinical Oncology2007年1月3日号(ジャーナル要旨参照)

背景
一部の乳癌腫瘍はホルモンであるエストロゲンに反応して増殖し、そのような腫瘍はホルモン受容体陽性と呼ばれます。そのような乳癌を有する患者は術後しばしばエストロゲン産生を抑制する薬剤を服用し,再発のリスクを低下させます。

エストロゲン抑制薬剤はゴセレリン(Zolodex®)と、アナストロゾール(アリミデックスArimidex®)、レトロゾール(フェマーラFemara®)、エクセメスタン(アロマシン)のようなアロマターゼ阻害剤などです。タモキシフェン(ノルバデックス)は組織でエストロゲンの作用を妨げます。それぞれが幾分異なる作用を示し,異なる副作用を有します。アロマターゼ阻害剤は骨密度低下を招く可能性があり,骨粗しょう症をもたらし、骨折のリスクを増加する可能性があります。

試験
この第3相臨床試験は、ゾレドロン酸がホルモン受容体陽性の腫瘍の切除手術後、全エストロゲン抑制療法を受けている閉経前の患者において、治療によって誘発される骨量低下を防ぐことが出来るかどうかの試験です。ゾレドロン酸は骨折を防ぐビスフォスフォネートと呼ばれる薬剤クラスに属します。

401名の試験参加者は4つの治療投薬群のうちから無作為に割り付けられた。

・3年間のゴセレリンとタモキシフェン療法(103人)
・3年間のゴセレリンとタモキシフェン療法にゾレドロン酸を6カ月ごとに静注投与を加える(100人)
・3年間のゴセレリンとアナストロゾール療法(94人)
・3年間のゴセレリンとアナストロゾール療法にゾレドロン酸を6カ月ごとに静注投与を加える(104人)

研究者は特別のX線スキャンを使い、試験の開始時、6ヶ月、12ヶ月、36ヶ月目に骨密度を測定しました。腰椎(背部の下部)と転子部(大腿骨の一部分)の骨密度測定により研究者は骨減少症(骨量低下)と骨粗しょう症(重度の骨量低下)の症例を確認することができました。
試験はオーストリアの乳癌、結腸直腸癌研究グループの協同努力で行われました。研究責任著者はオーストリア、ウイ―ン医科大学のMichael F.X.Gnant医学博士です。

結果
ゾレドロン酸を受けなかった患者では、有意な程度まで骨密度が低下し、アナストロゾール/ゴセレリンの併用群がタモキシフェン/ゴセレリン併用群より減少が大きくなりました。

治療36ヶ月後ではゾレドロン酸なしのアナストロゾール/ゴセレリンを受けた患者は腰椎骨量の17.4%、転子部(大腿骨の一部)骨量の11.3%が低下したのに対し、ゾレドロン酸なしのタモキシフェン/ゴセレリンを受けた患者はそれぞれ腰椎と転子部で11.6%と5.1%の低下となりました。一方、ゾレドロン酸を受けた患者全員で骨密度は安定が保たれました。

ゾレドロン酸投与なしのアナストロゾール/ゴセレリンを受けた患者で背部下部の骨減少症のある患者数は試験開始時には24% 36ヶ月後には54%に上昇しました。このグループで骨粗鬆法に罹る患者数も1%から25%に上昇しました。

これに対しアナストロゾール/ゴセレリンにゾレドロン酸を併用した患者では一人も腰骨の骨粗しょう症が進行しなかったが骨減少症患者数は15%増加しました。

試験中どの参加者にも骨折は見られませんでした。それぞれの薬剤の併用で想定された副作用は見られましたが、ゾレドロン酸によって悪化することはありませんでした。

制限事項
ゾレドロン酸は骨密度を安定させる一方、長期的にそのような安定が骨折のリスクを減少させるかどうかの疑問は残るとNCIの Division of Cancer Treatment and Diagnosis(癌の治療、診断部門)の乳癌専門家であるAnne Zujewski医学博士は説明しました。「本当に注意しなければならないのは骨折です。」と彼女は述べています。

著者は「エストロゲン抑制薬剤を使った補助療法を受けている閉経前の患者において、その後の生活で骨折のより大きなリスクがあるかどうか」を調べ、どのビスフォスフォネート治療レジメンがもっと予防効果があるかを見つける追加的な試験が必要であると述べています。

コメント
「この試験結果はゾレドロン酸がタモキシフェンかアナストロゾールとゴセレリンの併用で治療した閉経前の患者の骨密度低下を効果的に安全に防ぐことを示している。」と、著者は述べました。「これはビスフォスフォネートとアロマターゼ阻害薬の併用が効果的かつ安全に閉経前初期乳癌患者の癌治療による骨量低下を防ぐことを示す初めての報告です。

もし本当にゾレドロン酸が骨密度の安定化に加えて骨折を防ぐならば「私たちは患者の骨粗しょう症をあまり心配しないで内分泌療法による治療が可能でしょう」と、Zujewski氏は述べています。

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(内村美里人 訳・瀬戸山修(薬学) 監修)

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