化学療法は結腸直腸癌からの肝転移の再発を遅らせる | 海外がん医療情報リファレンス

化学療法は結腸直腸癌からの肝転移の再発を遅らせる

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

化学療法は結腸直腸癌からの肝転移の再発を遅らせる

Chemotherapy Delays Recurrence of Liver Metastases from Colorectal Cancer
(Posted: 12/06/2006) – Journal of Clinical Oncology誌2006年11月1日号によると、すでに肝臓に転移した結腸直腸癌患者において、手術後に化学療法を受けた患者は、手術のみの患者に比べ、より長期間、疾病の再発を遅らせる。


キーワード
結腸直腸癌、肝臓転移

要約
既に肝臓に転移した結腸直腸癌患者において、手術だけを受けた患者と比較して手術に加え、化学療法を受けた患者の方が、疾病の再発をより長期間遅らせることが、新しい試験によって認められました。しかし、手術に化学療法を加えることが全体的に患者の生存を延長させるのかについては、その研究では明確にされませんでした。

出典
Journal of Clinical Oncology 2006年11月1日号(ジャーナル要旨参照)(J Clin Oncol. 2006 Nov 1;24(31):4976-82)

背景
原発巣から他の臓器へ広がる癌性腫瘍のことを、転移と呼びます。結腸直腸癌が既に肝臓へ転移しているとき、その肝臓転移を完全に切除する手術が唯一、治癒の希望をもたらします。切除手術を受けた患者のうち約25%が5年生存します。追加的(術後補助)化学療法によって患者の生存が向上するかについては、明らかとされていません。

試験
本試験には結腸直腸癌から発生した肝臓転移を既に切除した、フランスおよびスイスの173人の患者が参加しました。ほとんどの患者は55歳かそれ以上であり、1991年から2001年の間に登録されました。

手術後にそれぞれ、フルオロウラシルおよびフォリン酸を用いた6ヶ月間の化学療法、または医師による経過観察のみに患者らをランダムに割り付けました。追跡期間中央値は7年でした。

本試験の責任医師はトゥールーズ大学病院(フランス)のGuillaume Portier医学博士でした。

結果
5年後、手術の後に化学療法を受けた患者の33.5%が、結腸直腸癌の再発なく生存していました。これに対し、手術のみを受けた患者群では26.7%でした。化学療法群の無病生存期間の利益は、統計学上有意でした(つまり、偶然による発生の可能性は低いということです)。

全体的な5年生存率は化学療法群で51.1%、観察群では41.1%でした。この差異によって化学療法を受けた患者の方がより長く生存する傾向があることが示唆されましたが、統計学的には有意ではありませんでした。

化学療法を受けた約4分の1の患者に重い副作用がみられました。最も代表的な副作用は、低血球値、口内炎、吐き気、下痢、および四肢の脱力感としびれでした。化学療法を受けた中、おおよそ3分の1の患者は低用量の投与に変更されるか、または初期の段階で治療を中止されました。そのほとんどは副作用が原因でした。

制限事項
患者を集めることが困難だったため、本試験を完了するまでに10年を要しました。化学療法に使用されたフルオロウラシルとフォリン酸は、本試験が始められた1991年当時では標準療法でした。しかしオキサリプラチンおよびベバシズマブのような新薬と比較すると、前者の薬剤は効果がそれほど大きくはなく、また多くの副作用があると著者は指摘しています。

コメント
古くて効果がそれほどみられない薬剤を使用したのにも関らず、補助化学療法によって、結腸直腸癌の肝臓転移を切除する手術を受けた患者らの疾病の再発を遅らせることができました、と著者は結論付けました。

付属する論説を記した、メイヨークリニック(ミネソタ州、ロチェスター)のSteven R. Alberts氏はその文中において、「手術に化学療法を加えることで成績が向上し、再発リスクが減少する可能性がある」と述べています。

国立癌研究所癌研究センターのJames F. Pingpank Jr.医学博士もこのことに同意しており、「化学療法とその副作用が患者にとって忍容性があれば、このアプローチよって患者は利益を得ることができるだろうという判断は合理的です。結腸直腸癌からの肝臓転移で外科的に切除可能な患者全てのために、このアプローチを検討する必要があります。」と述べています。

***

(佐々木了子 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3がんに対する標的光免疫療法の進展
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  6. 6「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10ASCO、がん臨床試験に対する適格基準の緩和を推奨

お勧め出版物

一覧

arrow_upward