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進行前立腺癌の術後放射線療法はある程度有益

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進行前立腺癌の術後放射線療法はある程度有益

Post-Surgery Radiation of Some Benefit in Advanced Prostate Cancer
(Posted: 12/06/2006) – Journal of the American Medical Association誌2006年11月15日号によると、進行した前立腺癌男性において、手術後放射線治療を行うと、再発リスクを約50%低下させることが可能である。ただし、延命には役立たない。


 

キーワード
前立腺癌、放射線療法

要約
患部の腺以外に拡がった前立腺癌は、手術後に再発する可能性が高い。今回の試験が、手術後の放射線療法により再発のリスクを約50%減少できることを示している。しかし、このような治療法は患者の生存期間を延ばすことはできず、多くの患者が放射線による重篤な副作用を経験する。

出典
Journal of the American Medical Association(ジャーナル要旨参照
(JAMA. 2006 Nov 15;296(19):2329-35)

背景
年間約230,000人の米国人男性が、前立腺癌と診断される。それらの男性のうちおおよそ3分の1が、根治的前立腺全摘出術と呼ばれる前立腺癌および周辺組織を切除するための手術を受けることを選ぶ。

根治的前立腺全摘出術の結果は、患部が前立腺のみに限局している場合に、最も良好である。しかし、手術を選んだ患者の約10人に4人において、医師は、リンパ節の近傍ではないが、前立腺以外の部位への腫瘍の転移を発見する。このような病態は、病理学的進行性前立腺癌と呼ばれ、再発のリスクを顕著に増大させる。

長年の間、医師はこのような患者に、癌の再発のリスクを減少させるため、手術後放射線による追加の(補助的な)治療を行ってきた。しかし、現在までに、補助放射線療法が前立腺癌の他の器官への転移予防や患者の生存期間延長をもたらすことを示した臨床試験はない。

試験
今回の第3相試験に参加した425人の男性は全員、病理学的進行性前立腺癌患者であり、根治的前立腺全摘出術を受けた。平均年齢は65歳であった。試験への登録は1988年から1997年の間に行われた。患者男性は、放射線療法を受ける群と、疾患の経過観察を行う群とに、ランダムに割り付けられた。患者男性は全員、中央値10.6年間のフォーローアップを受けた。

本試験の主要目的は、死亡患者数(前立腺癌によるのか、その他の原因によるのか)および腫瘍が他の臓器へ広がった(転移性疾患)患者数を調べることであった。付随する目的としては、以下の項目の比較であった。

・PSAレベルが上昇し始めた患者数-PSA(前立腺特異的抗原)レベルの上昇は、PSA再発と呼ばれ、疾患進行の徴候とみなされる。
・PSA再発以外で、再発した患者数
・疾患進行のため、最終的にホルモン療法が必要となった患者数
・患者の全生存率

本試験の試験責任医師は、サンアントニオにあるテキサス大学健康科学センターのIan M. Thompson博士であった。

結果
放射線療法群では、35.5%の患者が死亡もしくは転移性疾患を発症した。これに対し、経過観察群では43.1%であった。これは統計的に有意な差ではなかった。つまり、偶然の結果である可能性もある。

2つの患者群間の全生存率における差もまた、統計的に有意なものではなかった。放射線療法群では、33.2%の患者が死亡したのに対し、経過観察群では39.3%であった。

研究者らは、PSA再発、PSA再発以外の再発、ホルモン療法の必要性に関して、2群間に有意な差を見出さなかった。

PSA再発は、試験に参加した時点では検出不能なPSAレベルであった249人の患者群において計測された。放射線療法を受けた患者では、34.9%がPSA再発に至ったのに対し、経過観察のみの患者では64.0%であった。

PSA再発以外の再発は、放射線療法を受けた患者では39.3%であり、経過観察を受けた患者では52.6%であった。放射線療法群では10%の患者が、5年以内にホルモン療法を受けたのに対し、経過観察群では21%の患者が受けた。

治療による合併症は、経過観察群(11.9%)よりも放射線療法群(23.8%)の方に頻発した。この合併症は、直腸の炎症および出血、尿道の縮小による排尿困難、尿失禁などであった。

コメント
本結果は、病理学的進行性前立腺癌に対する治療法を検討している医師や患者にとってガイダンスとなる、と著者は述べている。放射線療法に好意的な根拠としては、PSA再発やそれ以外の再発のリスクが約50%減少したことなどがある。放射線療法に反対する根拠としては、他の臓器への転移を減少させ、全生存期間を延長させる点に関しては放射線療法を受けた群で良好な傾向はあったにせよ、どちらも統計学的に有意な差では無かった事を言わなければならない。

本試験が開始された1988年以来、医師は、手術前に患者男性の癌が本当に前立腺に限局したものであるかどうかを見極めるためのかなり改良された技術を開発してきた、とNCIの放射線研究プログラムのBhadrasain Vikram博士は言う。

「今日、手術前に(現在)入手可能なあらゆる情報を調べたうえで、自分の癌が前立腺以外の部位に拡がっていると知らされる男性が、ごく少数であることが望ましいです。実際に癌が前立腺以外の部位に拡がった患者やその主治医にとっては、今回の試験結果が最良の治療法を決定する手助けとなるでしょう。」とVikram博士は付け加えた。

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(Oonishi 訳・平 栄(放射線腫瘍科) 監修)

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