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センチネルリンパ節生検によって一部のメラノーマ患者の生存期間が延長される

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センチネルリンパ節生検によって一部のメラノーマ患者の生存期間が延長される

Sentinel Node Biopsy Helps Some Melanoma Patients Live Longer
(Posted: 05/14/2005, Updated: 09/25/2006)) 2005年米国臨床腫瘍学会(ASCO)での報告によると、リンパ節転移のあるメラノーマ患者には経過観察によるアプローチよりも、リンパ節マッピングやセンチネルリンパ節生検(先に転移リンパ節を探し当てる)のほうが生存期間の延長に貢献する。


キーワード  皮膚癌、メラノーマ、リンパ節、センチネルリンパ節生検

要約
メラノーマは近接リンパ節まで拡散した場合、致命的な可能性が大きいです。しかし、実際のところ、リンパ節に癌があると判明するのはメラノーマ患者の20%にすぎません。癌のあるリンパ節を全摘除すれば当然ながら深刻な合併症を引き起こす可能性があります。本試験においては、癌がリンパ節に拡がった患者の生存期間延長のためには、はじめにいくつかのリンパ節において癌を探索するリンパ系マッピングおよびセンチネルリンパ節生検とよばれる手法のほうが、”watch and wait(経過観察)”手法よりも良好でした。

出典 2005年5月14日フロリダ州オーランド開催の米国臨床腫瘍学学会年次総会

背景
メラノーマはもっとも致命的な皮膚癌です。皮膚癌症例のわずか4%を占めるにすぎませんが、皮膚癌による死亡の最大原因になっています。メラノーマは早期、かつ、近接リンパ節や他の器官に拡散する前に発見され、外科手術で治療すれば治癒する可能性がもっとも高いのです。

癌がリンパ節に拡散している場合はそのリンパ節を切除することが重要です。しかし、リンパ節の全摘除は組織の膨脹や麻痺といった慢性的な合併症を引き起こす可能性があるうえ、実際には、リンパ節に癌のあることが判明するのはメラノーマ患者の20%にすぎません。こうした理由から、以前は、医師らは初回の外科手術後にリンパ節を経過観察し、膨大の徴候がみられる部位のみを切除する”経過観察”手法を主張していました。

1990年代初期、 カリフォルニア州サンタモニカにあるジョン・ウェイン癌研究所のDonald L. Morton医学博士は、リンパ節に癌のある早期メラノーマ患者を見分けるための新たな手法を提案しました。癌がリンパ節に転移する場合、通常、他のリンパ節に拡散する前に(センチネルリンパ節として知られる)一部のリンパ節に転移します。Morton医学博士の手法はリンパ系マッピングおよびセンチネルリンパ節生検(LM/SNB)として知られ、そのおかげで、医師らはセンチネルリンパ節を確認して切除し、切除したリンパ節における癌の有無を知ることが可能になりました。1992年に論文発表された研究は、センチネルリンパ節に癌がない場合には、ほとんど全ての患者で近接リンパ節がまったく癌に冒されていないことを明らかにしました。センチネルリンパ節に癌のあることがみとめられた場合のみ、近接リンパ節は全摘除すべきです。

その頃から、LM/SNBは診断時の患者の癌のステージを決定することや癌の再発の予測をすることに幅広く採用されてきました。しかし、LM/SNB手法は、癌のあるリンパ節を発見して、後から切除する手法(経過観察手法)よりも患者の生存期間を延長させるのかという中心課題は残っていました。本試験でMorton医学博士とその仲間の研究者らはその課題に答えようとしています。

試験
1994年~2002年の間、研究チームは米国、欧州、オーストラリア在住のステージ1メラノーマ患者2001人を登録しました。患者は2つの群のうち1つにランダムに割り付けられました。1つの群(”経過観察”群)ではメラノーマ切除手術を行い、癌の拡散の徴候の1つであるリンパ節の腫大の有無を定期検査で確かめました。拡散が発見された場合、患者の近接リンパ節を全摘除しました。

もう1つの群ではメラノーマ切除手術に加えてLM/SNBを行い、センチネルリンパ節における癌の有無を確かめました。センチネルリンパ節に癌がみとめられた患者に対しては、センチネルリンパ節の切除直後、近接リンパ節を全摘除しました。センチネルリンパ節に癌がみとめられなかった患者はそれ以上の治療は行いませんでした。現在に至るまで、全ての患者に対して中央値約5年の追跡調査を行ってきました。

結果
本試験に登録した患者全て、つまり、LM/SNB群患者とwatch and wait群患者を観察したところ、最終的にリンパ節に癌がみとめらかどうかに関わらず、 LM/SNBの治療を行った患者は”経過観察”手法の治療を行った患者よりもメラノーマの5年再発率が26%低いものでした。生存期間の点で2群に統計的に有意差があるのかどうか知るためには、本試験の患者を更に長期間追跡調査する必要があります。本試験の患者の追跡調査は更に5年間続ける予定です。

しかし、本試験においてリンパ節に癌がみとめられた、20%の患者のみをみれば、生存期間について有意な優位性が認められました。これら癌が発見された患者のうち、LM/SNBの直後にリンパ節切除を行った患者の5年生存率が71%であるのに対して、”経過観察”群患者の5年生存率は53%でした。

癌のあるリンパ節はLM/SNB群の患者(1.6)よりも”経過観察”群の患者(3.4)の方において平均的に多くみとめられ、経過観察期間中に癌がさらに拡散したことが示唆されるとMorton医学博士は語りました。

いかなるものでも癌のあるリンパ節を有することは、メラノーマによる患者の5年死亡率を予測する上でもっとも意味のある因子であると博士は語った。1つ以上の癌のあるリンパ節を有した患者は癌のあるリンパ節を有さない患者に比べてメラノーマで死亡する率が2.6倍高いものでした。

注意:これらの所見はその後Annals of Surgery 誌の2005年9月号で発表された。(ジャーナル要旨参照)。

コメント

本試験は(最初に一部のセンチネルリンパ節で癌が発見された場合に限り、近接リンパ節を切除することにより)早期メラノーマを治療するLM/SNB手法が癌再発を予防し、リンパ節に癌が拡散した患者がメラノーマで死亡するのを減少させる上で”経過観察”手法よりも優れた治療法であることを明らかにした初の臨床試験である、とMorton医学博士は語りました。

またMorton医学博士は次のように付け加えました。全ての患者に関して、LM/SNBはリンパ節における癌再発を観察する定期検査の必要性を除外し、メラノーマが再発する可能性に対する不安を減少させます。

「センチネルリンパ節生検が早期メラノーマ患者のステージ決定および治療の標準構成要素として必須である根拠を、この重要な臨床試験は更に立証している」、と米国国立癌研究所癌治療評価プログラムのScott Saxman医学博士は語りました。

(有田香名実 訳・Dr.榎本 裕(泌尿器科) 監修)

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