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早期ステージのホジキンリンパ腫に毒性のより少ない治療が有効

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早期ステージのホジキンリンパ腫に毒性のより少ない治療が有効

Lower-Toxicity Treatment Effective in Some Cases of Early-Stage Hodgkin’s Lymphoma
(Posted: 07/10/2006) Journal of Clinical Oncology2006年7月1日号によると、研究的な低強度4剤併用化学療法レジメン+病変部位への区域放射線治療によって、予後の明るい早期ステージのホジキンリンパ腫患者の無病生存期間を改善する。


キーワード ホジキンリンパ腫、病変部位への区域照射、多剤併用化学療法

要約
研究中の低用量4剤化学療法と限局した放射線照射(病変部位への区域照射)との併用によって、予後が良好と思われる初期ホジキンリンパ腫患者における無癌生存率を改善しました。しかし、予後不良な患者には、標準的な6剤併用化学療法と限局放射線療法との併用で向上が見られました。

出典 Journal pf Clinical Oncology2006年6月5日オンライン発表、2006年7月1日発行(ジャーナルの抄録を参照)(J Clin Oncol. 2006 Jul 1;24(19):3128-35. Epub 2006 Jun 5)

背景
ホジキンリンパ腫は、白血球の産生,貯蔵,運搬する組織であるリンパ系に発生するまれな癌です。治療法の発達によって、ホジキンリンパ腫患者の予後は,特に早期に発見されれば,向上してきています。ホジキンリンパ腫と診断された患者の85%は、診断から5年経っても生存しています。
しかし、放射腺治療と多剤併用化学療法との併用により、心臓障害、肺臓障害、不妊、二次癌などの深刻な長期の有害事象を引き起こす可能性があります。研究者は,深刻な長期の副作用を引き起こすリスクを低減させながら、患者が可能な限り長期に生存できるようなチャンスを与えるために、化学療法と放射線療法をいかに組み合わせるかについてを研究しています。

試験
欧州の研究者は、治療による長期の副作用、特に二次癌の発生をできる限り減少させるために本研究を計画しました。1988年から1993年の間に、8ヶ国で722人の患者を集めました。すべての患者がステージI、またはステージIIのホジキンリンパ腫を有していました。
先行研究で示された予後良好または予後不良の因子に基づき,患者を二つのグループにわけました。予後良好と思われるグループの患者は、次の2種類の治療のうちのどちらかにランダムに割り当てました。

* 頸部および胸部、両腋下リンパ節、上腹部リンパ節、ならびに骨盤内リンパ節への放射線療法

*エピルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、プレドニゾン(EBVP)を用いた研究中の「低強度」4剤併用化学療法後、病変部位のみへの放射線療法(病変部位への区域照射として知られています)

放射線療法を病変部位に限定することにより、心臓や肺などの正常な臓器を放射毒性から更に保護できます。先行研究によれば、病変部位への区域照射などの焦点を絞ったアプローチにより、その後の二次癌を引き起こすリスクを減少できます。
予後不良と思われるグループの患者は、次の2種類の治療のうちのどちらかにランダムに割り当てました。

* メクロレタミン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン(MOPP/ABV)を用いた標準的な6剤併用化学療法と、病変部位への区域照射との併用

* 研究中の低強度EBVP療法と、病変部位への区域照射との併用
研究者は中央値で9年間、患者を追跡調査しました。

本研究の試験責任医師は、オランダのライデンにある、ライデン大学医療センターのEvert M. Noordijk医学博士でした。

結果
予後良好と思われる患者では、広範囲放射線療法単独の患者の78%が生存していたのに対し、EBVP療法と病変部位への区域照射の併用治療を受けた患者の88%が生存しており、ホジキンリンパ腫の再発も二次癌の発生も認められませんでした。広範囲放射線療法グループでは165人中6人(3.6%)が二次癌を有するのに対し、EBVP療法グループでは168人中3人(1.8%)でした。

全生存率は、予後良好と思われる患者の両治療群とも92%でした。
予後不良と思われる患者では、研究中のEBVP療法と放射線療法との併用を受けた患者の68%が生存していたのに対し、MOPP/ABV療法と病変部位への区域照射との併用治療を受けた患者の88%が生存し、ホジキンリンパ腫の再発も二次癌の発生も認められませんでした。
EBVP療法グループでは194人中16人(8.2%)が二次癌を有するのに対し、MOPP/ABV療法グループでは195人中8人(4.1%)でした。
全生存率は、MOPP/ABV療法群で88%、EBVP療法群で79%でした。

制限事項
本研究で研究中EBVP療法の一剤であるエピルビシンはホジキンリンパ腫の治療薬ですが、米国の医師は欧州の医師よりも本薬を使用しない傾向があります、と癌研究を行っている米国国立癌研究所(NCI)のMichael Bishop医学博士は述べています。
米国での標準診療は、ドキソルビシン(エピルビシンとお同類薬)に、ブレオマイシン、ビンクリスチン、またはダカルバジン(プレドニゾンと同類薬)を加える、ABVD療法として知られている併用療法です。ABVD療法とEBVP療法との違いは、「2種類のオレンジ間の違い」程度のものです、とBishop氏は述べています。

過去には、放射線療法が初期ホジキンリンパ腫に最良の治療であり、化学療法は毒性が強すぎると考えられていました、と本研究の執筆者は述べています。しかし、最近では、「治療戦略は劇的に変化しています。現在、限局した病巣しかなくてもすべてのホジキンリンパ腫患者は主に化学療法と病変部位のみの照射を併用すると述べています。

本研究での最も重要な所見は、予後不良の患者における研究中のEBVP薬併用よりも、標準的なMOPP/ABV化学療法が効果的であったことですとBishop氏はコメントしています。

予後不良と思われるホジキンリンパ腫患者にとって、「標準化学療法と病変部位への区域照射との併用は、今でも最良の方法です」と述べています。

予後良好と思われる患者に関して本研究の所見が示すことは、二次癌になる可能性を減少させるために、医師がABVD療法などの化学療法と病変部位への区域照射との併用を考慮しなければならないです、とBishop氏は付け足しています。

(早川康道 訳・瀬戸山修(薬学) 監修)

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