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リツキシマブは予後の良好なびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の若年患者に有益

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リツキシマブは予後の良好なびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の若年患者に有益

Rituximab Benefits Younger Patients with Good-Prognosis Diffuse Large-B-Cell Lymphoma
(Posted: 05/03/2006) Lancet Oncology2006年5月号によると、リツキシマブ(リツキサン)をびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の標準化学療法レジメンに加えることで、60歳未満の予後良好な患者の生存を有意に延長する。


全文
キーワード  非ホジキンリンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、CHOP、リツキシマブ(Rituxan®)、モノクローナル抗体、標的療法
要約
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫へのリツキシマブ(Rituxan®、モノクローナル抗体)を併用した標準的化学療法は、60歳未満で予後の良好な患者の生存率を有意に上げます。
出典 The Lancet(オンライン版は2006年4月5日、書籍版は2006年5月) (ジャーナル要旨参照)

背景
B細胞リンパ腫は、白血球細胞の一種であるB細胞に発症する癌です。免疫システムの一部分として、正常なB細胞は抗体を作り感染を防ぎます。B細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の最もよく見られるタイプです。
最近、CHOPとして知られている、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンによる化学療法は、B細胞リンパ腫の標準的治療です。エトポシドを加えたCHOP(CHOEP)は、生存率を上げますが、CHOPのみの場合より、副作用が強いので米国では一般的に施行されていません。
リツキシマブは、多くのB細胞表面の特殊なタンパク質(CD20抗原)と結びつくモノクローナル抗体のことです。結びつくことで、患者自身の免疫システムによる分解が行われるよう印を付けます。リツキシマブのような標的療法は様々な正常組織に影響を与える全身療法などの方法に比べて有害性が少ない傾向があります。
最近の研究によれば、CHOPにリツキシマブを併用した治療は、高齢患者の生存率を高めます。本臨床試験では、CHOP、 CHOEPや、それに類似した化学療法にリツキシマブを併用した治療が予後の良好な若年患者に同様に有益性があったかどうかの評価について述べています。

臨床試験
この第Ⅲ相臨床試験において、CD20抗原(リツキシマブの標的)が陽性であると診断された、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の、未治療症例で、治療後再発の可能性が低い、あるいは中程度という分類に属する患者が登録されました。。症例の年齢は、16歳から60歳まで様々でした。
臨床試験を行った研究者達は、リツキシマブを加えたCHOP類似の化学療法の6周期か、CHOP類似化学療法だけの6周期を受けるかを無作為に患者に振り分けました。両方のグループの中には巨大病変に必要とされる放射線治療を、それぞれの国の基準に従って受けた人たちもいました。
研究者たちは、患者の病気の進行までの時間(無イベント生存率とよばれています)や全生存率、治療法の有害性を評価しました。患者は最初の2年間は3ヶ月毎、その後は6ヶ月に一度、経過観察されました。
臨床試験はヨーロッパ、ラテンアメリカ、オーストラリアやイスラエルにあるMabThera International Trial (MinT) Groupの協力の下に行われました。研究主任は、ドイツ、ハンブルグにあるSaarland大学病院のMichael Pfreundschuh医師です。

結果
2000年から2003年の間に、18カ国の研究者達は、824症例を登録しました。2003年の11月、研究が終了する前に最初に予定されていたデータ分析における2つのグループでの無再発生存率の差は十分に有意であったため、臨床試験を観察していた研究者達は、臨床試験を早い段階で中止し、全ての患者にリツキシマブの投与を行うことを推奨しました。
治療をはじめてからの5ヶ月間で、リツキシマブを併用したCHOP類似化学療法を受けた症例の86パーセントは癌の完全な寛解を経験しました。CHOP類似化学療法のみを受けた患者では68パーセントにとどまりました。
約3年間経過の時点で、リツキシマブを受けた患者の79パーセントは生存し、病状の進行は見られませんでした。化学療法のみを受けた患者では、59パーセントでした。3年間の全生存率もリツキシマブとCHOP類似療法の併用療法での化学療法を受けた患者では大きな差がありました。(93パーセント対84パーセントでした。)
化学療法のみを受けた患者のうち、CHOEP療法はCHOP療法に比べて3年間無再発生存率がかなり高かったのです。しかし、CHOPに対するCHOEPの有利性は、リツキシマブを加えることにより消失してしまいました。
最後に、有害事象は治療に関わらず、全てのグループにおいて同様に低かったのです。

コメント
「この結果は、癌の生態について知っていることから予測できたでしょう。」、と語るのは米国国立癌研究所の臨床試験チームの共同ディレクターであるJohn Janik 医師です。「リツキシマブは、高齢の患者たちに効果があると同様に若年の患者たちにも効果がある。」と、医師たちははっきりと知ることができました。
MinTの研究者達は、「私たちの知る限りでは、これらの知見はこの患者グループにおいて、無作為化臨床試験で今までで一番よい結果です。救済治療―通常は造血性幹細胞移植による高用量化学治療のことですが― を必要とする若年患者の割合はリツキシマブとの併用により半減することになるでしょう。」と、著しています。
Janik医師はまた、EPOCHとよばれる新しい化学療法(アルキル化薬とアルキル化薬の大量瞬時投与量を伴うエトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン)にリツキシマブを併用する治療法とCHOP療法にリツキシマブを併用した治療法との比較臨床試験が行われているとも付け加えました。予備調査研究において、EPOCH療法は、CHOP化学療法よりよい効果が見られ、巨大病変の患者において放射線療法の必要性を一般的に無くすることができる。」と、述べています。

(Sugiura 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

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