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子宮頸癌ウィルスに対するワクチンは4年間以上有効

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子宮頸癌ウィルスに対するワクチンは4年間以上有効

Vaccine Against Cervical Cancer Virus is Effective for More than Four Years
(Posted: 04/19/2006) Lanset2006年4月6日号の報告によると、子宮頸癌を引き起こしうる2種のウィルスから保護する試験的ワクチンは4年半の間は有害事象もほとんどなく、有効性が高く保たれる。


要約
子宮頸癌の原因といわれるウイルスの2種類に効果が認められる実験的ワクチンについて、最長4年半まで高い効果が持続し、副作用もほとんどないことが国際的研究者チームによって報告された。

出典 Lancet誌(2006年4月のオンライン発行)

背景
ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)は非常に多くみられる性感染症です。その感染のうち90%以上は無害で、治療をしなくても自然治癒します。しかし、ある種のHPVは女性における子宮頸癌のリスクを増大させます。2種類のタイプ(HPV-16とHPV-18)が子宮頚癌の原因の約70%を占めています。残りの30%のほとんどは、その他の10数種のHPVウィルスが原因とされています。

HPV感染症はほとんどの場合子宮頸癌に発展することはありませんが、感染が長年にわたって持続する場合は子宮頸癌に発展する可能性があります。
ほとんどの子宮頸癌は、頸部細胞における一連の異常な変化を通してゆっくりと進行してゆきます。定期的なパップスメア検査(子宮頸部細胞診)でこれらの変化を検出し、異常な組織は取り除くことができます。その結果、それらの細胞が癌に進展するのを防ぎます。しかしながら、パップスメア検査は100%正確ではありませんし、この検査を定期的に受けている女性は多くありません。

2006年にはアメリカ国内の9000人以上の女性が子宮頸癌と診断され、そのうち約3700人がこの疾患で死亡すると見られています。世界的には、約270,000人の女性が毎年子宮頸癌で死亡しています。

癌を引き起こすタイプのHPVウィルスによる感染を予防する、安全で効果のあるワクチンを開発する研究が進行中です。本研究は、現在開発中の2つの実験的ワクチンのひとつを利用しています。

試験
研究者らは、同じ研究者が行なっていた前回の臨床試験に参加していた2000から2003年の間に実験的なHPVワクチンまたはプラセボのどちらかを3回投与された若い女性(平均23歳)を追跡調査しました。前回の試験では実験的ワクチンによってHPV-16とHPV-18による感染症のほとんどを予防することが示されました。この2種類は子宮頸癌の原因の大半を占めています。
第1回目の試験では、1,113人の女性を2年間にわたって追跡調査しました。今回の追跡調査では、サブグループの776人の女性に対して追跡期間を4年6ヶ月に延長しました。
いずれの試験もこの試験的ワクチンの製造元であるグラクソスミスクライン社の支援を受けました。これらの試験はアメリカ、カナダ、ブラジルで実施されました。
これらの試験の責任医師はニューハンプシャー州、レバノンにあるダートマスメディカルスクールのDiane M. Harper医師です。

結果
ワクチン投与を受けていた女性の98%以上が、追跡調査期間を通じてHPV-16及びHPV-18に対する抗体が血液中に確認されました。抗体が確認されるということはワクチンが引き続き有効であり、それらのHPV株の感染を予防していることを示す強い徴候です。

さらに、ワクチン接種群ではHPV-16またはHPV-18による頸部細胞の異常病変を発現した患者はいませんでした。それとは対照的に、プラセボ群では頸部細胞に前癌性の異常が数多く確認されました。

また、このワクチンは、HPVのさらに別の2種類のタイプ(HPV-45とHPV-31)にも部分的に予防効果があります。これら2種のウィルスは子宮頸癌に関連性があるHPVウィルスの中でもそれぞれ3番目と4番目に多いウィルスです。ワクチン接種をした女性で、重篤な副作用を発現した患者はいませんでした。

コメント
本試験では、過去のHPVワクチンの試験と同様にワクチン接種によって子宮頸癌の発現が減少することを直接示すことはできませんでした。このような試験を完了するには10年から20年必要となり、非倫理的となるでしょう、と米国国立癌研究所(NCI)癌研究センターのJohn T. Schiller博士は説明します。

「子宮頸癌はパップスメア検査、HPVテスト、子宮頸部の異常を診断する追加テスト、前癌病変の切除といった現行の手段を利用すればほぼ完全に予防することが
できるため、子宮頸癌のエンドポイントを用いて追跡調査を実施する人はいないでしょう。」とSchiller博士は話します。

Harper医師と彼女の共同研究者らは、次のように発表しています。「我々の発見により子宮頸癌予防のためのHPVワクチン接種を大規模に受け入れる土俵が作られました」

現在アメリカで承認されているHPVワクチンはありません。グラクソスミスクライン社は本試験で使用されたワクチンの製造元ですが、2006年に米国食品医薬品局(FDA)への承認申請を予定しています。メルク社は、もう一方の実験的HPVワクチンを製造していますが、既にFDAに申請しています。

「HPVワクチンはパップスメア検査の代わりにはなりませんし、全てのHPV感染をなくすことはできないでしょう。」とSchiller博士は話します。また、ワクチンは新たなHPV感染症を予防することはできても、既存の持続的HPV感染を治療することはできないでしょう。

Schiller博士はさらに、女性はたいていの場合、性交渉を開始した直後にHPVに感染するため、ワクチンを接種するのは性交渉を開始する前の若い時期が最も効果的だと
いえるでしょう、と付け加えています。

(てらしま 訳・Dr.榎本 裕(泌尿器科) 監修)

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