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セレコキシブ、ロフェコキシブ心血管系事象と関連

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セレコキシブ、ロフェコキシブ心血管系事象と関連

Celecoxib, Rofecoxib Associated With Risk of Cardiovascular Events
(Posted: 02/15/2005, Updated: 04/04/2006) New England Journal of Medicine2005年2月15日発行前にオンライン版で発表された2つの試験によると、ロフェコキシブrofecoxib (VioxxR)とセレコキシブ(セレブレックスR)によって結腸直腸癌のリスクが減少するかを調べる臨床試験参加患者は、死亡を含む重篤な心血管系事象がプラセボ服用患者より多かった。


要約
rofecoxib(VioxxR)とcelecoxib(CelebrexR)が直腸結腸癌を減らすかどうかを確かめる臨床試験で、これらの薬を服用していた参加者らはプラセボ(偽薬)服用者に比べ、死亡を含む重篤な心血管系障害がより多くみられることが示されました。

これらの薬を服用中に深刻な心血管系障害を発症した実際の数はわずかではありましたが、リスクの増加は、結腸直腸癌のハイリスク患者がその病気のリスクを減少させる可能性とのバランスで決定される必要があります。

出典  New England Journal of Medicine, early online publication, February 15, 2005.

背景
いくつかの観察研究によって、リウマチなどの治療にアスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を服用していた人々は、結腸直腸癌や結腸直腸ポリープ(前癌症状で腺腫とも呼ばれる)ができる割合が低く、結腸直腸癌で死亡する確率が少ないことがわかりました。

NSAIDsは、炎症に伴い体が生産する物質で、前癌組織もこれを生産するCox1とCox-2という酵素をブロックします。しかしながら、NSAIDsの定期的な長期服用でCox-1をブロックすることは胃の出血などの医学的障害を発症します。

1990年代に米国ではCox-1酵素は阻害せずCox-2のみを阻害する新しいNsaidsが流通し始めました。Cox-1、Cox-2ともにブロックした場合に起こる胃に関連する副作用を起こさないだけでなく、科学的研究によりこれら選択的Cox-2阻害剤の癌の予防と治療への可能性が示唆されました。

膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、頭頸部癌、皮膚癌、肺癌、口腔癌、前立腺癌、また多発性骨髄腫に対する抗癌作用の可能性を試験するよう計画された数多くの臨床試験が行われました。ここで議論される試験の対象者とは、その家族の既往歴がある人や、すでに前癌症状である大腸ポリープ切除手術を受けた結腸直腸癌のハイリスク患者です。

すでに発表された一部の試験で、ある腫のCox-2阻害剤を服用した患者は心臓発作や脳卒中のリスクが増加することがわかりました。また、別の試験では、リスクの増加はみられませんでした。

試験1 (Vioxxの腺腫性ポリポーシス試験 省略)

試験1の結果  (省略)

試験2 (NCIとファイザー社)

試験1と同様に、この試験の主な目的は、Cox-2阻害剤-今回の場合はCelecoxib(セレブレックス)-が、すでに結腸直腸ポリープを切除し、結腸直腸癌のハイリスク患者と考えられる人々を対象として、結腸直腸ポリープ再発の減少に効果があるかどうかを試験することでした。米国、カナダ、オーストラリア、イギリスで、合計2035人の患者が、celecoxib200mgまたは400mgと、プラセボを1日2回3年間服用するよう割り付けられました。

Adenoma Prevention with Celecoxib (APC) として知られるこの試験は、NCIとcelecoxib製造元であるファイザー社によって行われました。

APPROVe(試験1のVioxxの試験)試験の結果が発表されたとき、NCIは、APC試験においても心臓、脳卒中の発症をさらに注意深く分析するよう独立したの委員会を設けました。委員長はボストンHarvard Medical School のScott D. Solomon, M.D.氏であり、彼は現在のこのレポートの主導的執筆者でもあります。

試験2の結果

2.8年以上のフォローアップを経て、用量の少ないcelecoxibを服用した患者685人中16人(2.3%)が、心血管系障害で死亡したか、または心臓発作、脳卒中、心不全を起こしました。用量の多いcelecoxibを服用した患者671人中23人(3.4%)で同様の結果が得られました。反対にプラセボ群では679人のうち7人(1%)が心血管系障害で死亡したか、または心臓発作、脳卒中、心不全を起こしていました。

NCIは、これらの結果が発表された2004年12月17日に残りのAPC試験でのcelecoxibの使用を中止としました。この薬が結腸直腸ポリープを減少させたかどうかの追跡調査は続けられています。米国では、家族性腺腫性ポリポーシス(この病気において大腸ポリープを減少させる)の通常治療への追加治療として、またリウマチ、他の慢性疼痛症状の治療にcelecoxibは流通販売されています。

コメント
我々の試験結果は、このクラスの薬が心血管系リスクの増加と関連付けられるであろうという懸念を大きくしたと、APC試験の著者は書いています。celecoxibの結腸直腸[癌]予防のベネフィットの可能性は、これらのリスクを上回らなければならないと、APPROVe試験の著者も同様の結論に導いています。

APC試験において、プラセボに比べcelecoxib服用者のあいだで心臓、血管障害が高かったけれども、このリスクはある種の臨床条件においてはベネフィットの可能性により償われうると知ることも重要であると、NCI癌予防部門のJaye Viner, M.D., M.P.H.氏は言っています。もし、celecoxibが結腸直腸ポリープの再発予防に有効であるという最終結果が出れば、結腸直腸癌のリスクが非常に高い患者は、癌に罹らないという確率に賭けて、心臓疾患や脳卒中のリスクの低率の増加をあえて受け入れることを希望するでしょうと、Viner氏は述べています。「どんな薬もそのベネフィットの可能性とのバランスを取る必要があるのです。」と、彼女は付け加えました。

アメリカでは心血管系の障害が多いので、ある薬がこの状態(心血管系障害)の増加に関連していると示すことは簡単ではないと、Viner氏は言います。APC臨床試験でcelecoxibの使用に関連する心臓と脳卒中リスクが脚光を浴びたのは、調査員らによってこの臨床試験が高度に精査される対象となったためでもあるとViner氏は述べました。
(野中希 訳・林 正樹(血液・腫瘍科)監修)

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