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新たなトラスツズマブ療法で心臓の副作用が減少

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新たなトラスツズマブ療法で心臓の副作用が減少

New Trastuzumab Regimen Lessens Cardiac Side Effects
(Posted: 03/01/2006) New England Journal of Medicine2006年2月23日号によると、フィンランドからの早期乳癌療法の試験でトラスツズマブ(ハーセプチン)の標準的なコースより短期間の治療を受けた女性では心臓の副作用が少ないことが報告された。


2006年2月28日NCI Cancer Bulletin、第3巻/9号より別刷(最新号参照)。

2006年2月23日に発表されたNew England Journal of Medicine (NEJM) (ジャ-ナル要約参照)の研究によると、初期乳癌治療に関するフィンランドの試験で、トラスツズマブ ( ハーセプチン®)による標準治療より短い期間治療を受けた女性では心臓の副作用が減少することを報告しています。

今日まで、トラスツズマブの投与を受けている女性の1.7%から4.1%には心不全が伴い、患者の10%には心機能にかなりの低下がみられています。
フィンランドのハーセプチン試験では、HER2(上皮増殖因子受容体の構造に類似した受容体型の癌遺伝子)陽性腫瘍を有する116人の女性に、『他の心毒性のある治療を行う前に、相乗効果の可能性のある化学療法併用で9週間のみトラスツズマブを投与し、こうした投与スケジュールが心毒性を制限し、有効性を維持するという仮説を検証しました。』これは以前に発表されたアントラサイクリンをトラスツズマブの前に投与した補助試験とは異なります。今回の患者は、トラスツズマブの追加投与なしで化学療法のみを9週間行ったHER2陽性患者の対照群116人と比較しました。

トラスツズマブ群は3年間の無再発生存期間が良好(89%対対照群78%)だったと研究者らは報告しています。他の化学療法と同時期にトラスツズマブで治療を受けた女性に心不全がなく、予想に反し、こうした女性には対照群よりも心機能低下も少なかったと研究者らは加えました。

「我々の結果は、9週間のトラスツズマブ投与がHER2/neu (HER2 erbB2遺伝子)陽性の乳癌の女性に効果的なことを示しています」と、ヘルシンキ大学セントラル病院のHeikki Joensuu医師が率いる研究者達チームは述べています。「化学療法と並行してわずか2、3サイクルのトラスツズマブを投与するレジメンは、患者の通院回数を減らし、12ヵ月から24ヵ月間の投与が必要なレジメンより費用の面でずっと有効かもしれません。加えて、こうしたレジメンは、心臓の副作用減少につながります。」

フィンランドの試験では、232人のHER2患者のサブグループを含む1,010人の乳癌患者で、ビノレルビンとドセタキセルの比較も行われました。ドセタキセルはビノレルビンより無再発生存率が高い(91%対86%)ことがわかりましたが、ドセタキセルにはビノレルビンより多くの有害事象がありました。

NEJM論説では、ハーバード・メディカル・スクールのKenneth R. Chien教授が、同試験のHER2群での結果についてコメントしています。教授は、「長年の問題は、有害な作用と有益な作用を分離する薬剤デザインへのアプローチを示すために、トラスツズマブと心毒性影響の発現を結ぶ生物学的経路を明らかにできるかどうかということです」と述べています。Chien教授は、フィンランドの試験がアントラサイクリン化学療法の短期間コースによって『心臓ストレス信号が活性化しなかったので、心不全の危険性とトラスツズマブが関連することは否定された」ことを示していると言います。

同試験は、トラスツズマブを「心臓の副作用はほとんどなしに、治療に有効な投与量を用いることができる」ことを証明しています」と、Chien教授は続けています。「しかし、さらに多数の患者や、すでに心疾患を有する女性から同様の結果が得られるかどうかは、現在緊急の課題です。」

NCIのMedical Oncology Branchの上級臨床試験責任医師であるSandra M. Swain医師もまた、フィンランドの研究の試験結果を「さらに多数のHER2陽性患者が評価される無作為化試験で」確認する必要性を強調しました。「そうは言っても」、と同医師は加えています。「同試験は非常に興味深く、うまく設計された試験で、化学療法より有効性が向上し、心毒性の発現がないトラスツズマブ治療の短期間コースを行える可能性には大変興味をそそられます」。

フィンランドの研究者らは、「このサブグループの人数が少なく、フォローアップ期間も短いことはこの試験の制限事項」であることを認めています。トラスツズマブによる術後補助治療の最適期間は不明で、無作為化された今後の試験で明確になるかもしれませんと、研究者は加えています。

(HAJI 訳・Snowberry 校正・野中希 編集)

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