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年齢、化学療法の種類が乳癌治療後の女性の月経の再開率に影響する

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年齢、化学療法の種類が乳癌治療後の女性の月経の再開率に影響する

Age, Type of Chemotherapy Affect Women’s Chances of Menstruating after Breast Cancer Treatment(Posted: 02/27/2006) Journal of Clinical Oncology2006年3月1日号によると、閉経前の乳癌患者が、年齢35歳未満であった場合、そして化学療法がアントラサイクリンベースのレジメンであった場合、化学療法による無月経後に正常な月経周期が戻る可能性がより高い。


要約
本観察研究によれば、閉経前乳癌患者が35歳未満でアントラサイクリンをベースとする化学療法レジメンを使用していた場合、月経周期が正常に戻る確率が高くなりました。乳癌ホルモン療法であるタモキシフェンも月経を阻害しましたが、影響はわずかであり、3年後に消失しました。

出典  Journal of Clinical Oncology、2006年2月13日オンラインで発表、2006年3月1日に出版(ジャーナル要旨参照)。

(J Clin Oncol. 2006 Feb 13; [出版前にオンラインで発表])

背景
もっともよく行われる乳癌の治療法は、手術施行後に化学療法にて残存する癌細胞を死滅させ、再発リスクを減少させることです。しかし、化学療法は月経周期を乱し、少なくとも一時的に中断させることがあります(無月経)。これは依然妊娠を望んでいる若年患者にとっては深刻な問題となり得ます。
この領域の問題については十分に解明されていません。化学療法を起因とする無月経発生率は、試験により21%~100%と広範に及びます。ここで報告されている研究は、乳癌に関する薬剤およびホルモン療法が月経周期に対して及ぼす影響について、これまででもっとも信頼性が高いものです。

試験
本多施設共同観察研究の研究者らは、1998年1月~2002年7月に、最近8ヵ月以内に乳癌と診断された女性595名を組み入れました。全員が閉経前女性でしたが、診断時点では10%に月経が認められませんでした。年齢は全員が18~45歳の範囲であり、癌切除手術を受けていました。

通常の治療コース期間中、主治医が決めたとおりに患者に対して経過観察が実施されました。術後、523名(87%)に対し、通常併用投与にて化学療法が施行されました。これらの薬剤は、ドキソルビシン(アドリアマイシン®)、シクロホスファミド、パクリタキセル(タキソール®)その他でした。同じレジメンが用いられた患者は、同じスケジュールで同じ用量にて投与を受けました。

340名(57%)に対しては、ホルモン療法も施行されました。この大半(329名)がタモキシフェンの投与を受けました。

研究者らは患者に対し、投与期間中の月経出血について記録をとり、医学的状態について継続的に確認するように指示しました。患者に対して、中央値で45ヵ月間の追跡調査が実施されました。

本研究の主執筆者は、ニューヨーク市Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのJeanne A. Petrek医師でした。

結果
全体的に、化学療法が開始されると、年齢が40未満の女性では割合はより少なかったものの、月経周期が劇的に減少しました。化学療法終了後、月経周期が再開した患者数は15ヵ月間で約55%まで増加し、最終的に診断から5年後には約35%まで低下しました(診断時の平均年齢が39.5歳であり、本研究の追跡調査期間が5年間継続されたため、癌治療とは無関係に患者の多くがこの期間に自然な閉経を経験しました)。

35歳未満の女性がもっとも早く回復し、85%について化学療法終了後6ヵ月以内に月経周期が再開し、追跡調査期間全体を通して月経出血が持続しました。

年齢がもっとも大きな因子でしたが、結果は患者が選択した化学療法薬剤によっても異なりました。化学療法が終了した翌月に月経出血が認められたのは、ACをベースとする3種類のレジメン(アドリアマイシンおよびシクロホスファミド。投与後パクリタキセルまたはドセタキセル投与をしたかどうかに関わらず)中1種類の投与を受けた307名では16%であったのに対し、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル)レジメンの投与を受けた83名では約半数(48%)でした。

しかし、月経があるCMF投与患者数が時とともに減少し続ける(試験終了までに約18%)一方、ACをベースとする治療を受けた患者の多くの月経周期が回復し始めました。試験終了までにACベース群患者の約半数に月経が認められました。

ホルモン療法に関しては、タモキシフェン投与患者の約15%が、投与開始から概ね1~2年後に無月経を来たしました。これはどの(なんらかの)化学療法を施行されたかとは関係ありませんでした。投与開始から3年後、タモキシフェン投与患者にはタモキシフェンの投与を受けなかった患者と同様の確率で月経が認められました。著者らは、「[タモキシフェンが]卵巣に対して及ぼす影響は可逆性かつ一時的なものと考えられます」と述べました。

コメント
著者らは、乳癌治療後の「月経出血減少は高齢と強く関連することが本研究で再確認された。その他の主な知見は、年齢とは関係なく、投与された化学療法レジメンの種類が月経周期に対して及ぼす影響はさまざまである」と記しました。

著者らによれば、本研究およびその他の試験により、「無月経はシクロホスファミドの累積投与量ともっとも関連が強いと考えられる。アントラサイクリン系[アドリアマイシンなど]に基づくほぼすべてのプログラムでは早発性卵巣障害はさほど認められなかった」ことが示されました。

「これらは非常に歓迎すべき結果です」と、National Cancer Institute’s Center for Cancer Researchの臨床医Jennifer Eng-Wong, M.D氏は述べました。化学療法に関する閉経前女性との話し合いの大半は、生殖能を失う危険についてです。30年前と比較して、このような女性の多くは高齢化し、妊娠に対する願望と計画を持っています。本研究では何をすべきかについて厳密には示されていませんが、生殖能に対する危険について重大な科学に基づくエビデンスが得られました」

制限事項
研究者らは、血液または尿中のホルモンを分析することによって女性の実際の卵巣機能を分類したのではありません。著者らは、「化学療法と関連のある無月経を規定する臨床的パラメータはない。閉経状態を直接評価することは困難なことが多い」と述べています。

NCIのEng-Wong氏によれば、これは重要な制限事項となります。「出血そのものは生殖能の代理ではないからです」つまり、月経周期が乱れていても妊娠可能な女性もいれば、依然月経は認められるが妊娠できない女性もいるということです。

また、本研究の女性は、とりわけ人種および教育面で一般集団ではなかったため、知見の適用範囲が広いとは言えません。

(Oyoyo 訳・野中希 編集)

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