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非浸潤性乳管癌は手術のみでは不十分

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非浸潤性乳管癌は手術のみでは不十分

Surgery Alone Not Sufficient for Ductal Carcinoma in Situ of the Breast
(Posted: 02/22/2006)Journal of Clinical Oncology2006年3月1日号によると、研究者らは非浸潤性乳管癌女性が手術のみで安全に治療が可能かを調査した結果、放射線治療なしでは局所再発率は許容しがたいほど高いことを発見した。


キーワード 乳癌 非浸潤性乳管癌(DCIS)

要約
ハーバードメディカルスクールの研究者たちは、乳房の前癌症状である非浸潤性乳管癌(DCIS)の患者が手術のみで安全に治療可能かどうかを調べました。その結果、放射線療法なしでは局所再発率が許容しがたいほど高いことが分かりました。

出典 Journal of Clinical Oncology (オンライン版は2006年2月6日、書籍版は2006年3月1日)(ジャーナル要約参照)

背景 

非浸潤性乳管癌とは、非浸潤性で乳管上皮に異常細胞が見られる前癌病変のことです。症例によっては、DCISは、浸潤性癌となり乳管を越えて外側の組織に進展する可能性があります。しかも、どの病変が浸潤性となるのかよく分かっていません。

乳房温存手術と放射線療法との併用は、早期乳癌患者や前癌性腫瘤の治療法として広く受け入れられてきました。しかし、放射線治療には有害な副作用があり、非浸潤性乳管癌患者の生存期間の延長が明らかにされていなかったため、医師たちは手術単独療法で安全に患者を治療できるかどうかを知りたいと思っていました。

レトロスペクティブ試験(医療記録などの過去のデータを調べる試験)では、微小で低悪性度のDCISの患者や腫瘍周囲組織を少なくとも1cmは切除するDCIS切除手術を受けた患者は、追加の補助放射線療法なしでも局所再発率が低いことを示しています。ハーバードでの研究は、手術単独療法の信頼性の高いデータを得るために行われたプロスペクティブ臨床試験でした。

試験
腫瘍が2.5cm以下の低悪性度DCISの患者が臨床試験の対象となりました。すべての症例は、腫瘍と腫瘍周囲の正常組織を少なくとも1cm切除する切除手術を受けていました。

放射線治療、化学療法、タモキシフェン投与を受けた症例はありませんでした。術後の健康診断と同側の乳房撮影を5年間は6ヶ月毎、その後は1年に1度、行われるよう計画されました。また、対側乳房の撮影も1年に1度、行われました。

本試験の主任医師は、マサチューセッツ州ボストンのDana‐Faber Cancer Institute の放射線腫瘍学科Julia Wong医師です。

結果
研究者たちは、1995年5月から、2002年7月までに158症例を登録しました。もっと多数の登録が予定されていましたが、局所再発率が臨床検査開始当初の設定限度を超えたために、2002年7月に臨床試験は中止になりました。その時の経過観察期間の中央値は3.6年でした。

同側乳房での再発は13症例でした。そのうちの9症例は新たなDCISの再発で、4症例は浸潤性癌でした。これは、同側乳房での5年再発率12%に等しいものでした。

また、対側乳房での発症が8症例ありました。再発は転移性疾患ではありませんでした。追跡の結果、すべての症例において、手術、放射線療法、タモキシフェン投与およびその併用療法による補助療法後の再発はありませんでした。

制限事項
研究者たちによれば、今回の試験にはいくつかの制限事項があるとしています。第一に、この臨床試験は放射線療法を受けることなく手術単独療法を受けた症例の1グループだけを調査をしていることです。この臨床検査の症例と術後放射線療法を受けた症例との比較はできませんでした。

第二に、臨床検査が早い段階で中止されたために症例数が少なすぎて年齢別のようなサブグループの統計分析ができませんでした。

コメント
「私たちのプロスペクティブデータでは、放射線療法なしでの周囲1cm以上の切除は極低~中グレードのDCISの再発率を下げるには不十分だということを示しています。」と、研究者たちは述べています。

共著者であるペンシルバニア大学のLawrence Solin医師は、こうした結果を歴史的背景に入れました。「この臨床検査の意義は、切除手術だけで適切な治療が行えるかもしれないDCISの低悪性サブグループを明らかにしようとする最初に提出された報告であることです。」と著しています。

残念なことに「現在も近い将来においても、DCIS患者で、切除手術後に正当な理由をもって補助療法を受けずに済む低リスクのサブグループの明確な定義はありません。」と同医師は続けています。

米国国立癌研究所の癌研究センターの乳癌専門家であるJennifer Eng‐Wong医師も同じ見解で、「DCISの患者について、現時点では放射線療法を除外する症例を事前に明らかにすることはできない。」と述べています。

(Sugiura 訳・Snowberry 校正・平 栄(放射線腫瘍科) 監修)
米国国立衛生研究所(NIH) 非浸潤性乳管癌(DCIS)声明2009

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