高用量化学療法と幹細胞移植によって多発性骨髄腫患者の生存は延長しない | 海外がん医療情報リファレンス

高用量化学療法と幹細胞移植によって多発性骨髄腫患者の生存は延長しない

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

高用量化学療法と幹細胞移植によって多発性骨髄腫患者の生存は延長しない

High-Dose Chemotherapy With Stem-Cell Transplantation Fails to Extend Survival in Multiple Myeloma Patients
(Posted: 02/15/2006)Journal of Clinical Oncology2006年2月20日号によると、幹細胞移植後、高用量化学療法と放射線療法(HDT)治療を受けた多発性骨髄腫の患者は、標準化学療法を受けた患者に比べ勝っていなかった。


要約
この無作為化試験では、高用量化学療法と放射線療法(HDT)に続く幹細胞移植で治療された多発性骨髄腫患者は、無進行生存または全体的な生存率に関して標準的な化学療法で治療された患者と同様でした。これらの試験結果は、以前の結果と矛盾します;この問題を解決するために今後の研究が要求されます。

出典  Journal of Clinical Oncology、 2006年1月23日にオンラインで発表、2006年2月20日に出版。(ジャ-ナル要旨参照)

(J Clin Oncol. 2006 Jan 23; [出版前にオンラインで発表された])

背景
多発性骨髄腫は、一種の白血球である形質細胞の癌です。異常な形質細胞が骨髄に蓄積し、体の多くの骨の中で、腫瘍を形成します。これらの腫瘍は、骨髄が健康な血球を充分に製造するのを妨げます。

骨髄は、化学療法と放射線療法に非常に敏感です。したがって、高用量の投与は骨髄を破壊し、新しい血球を作る能力が無くなります。化学療法または放射線療法の後健康な骨髄幹細胞の移植を行うことで、高用量の治療が可能になります。幹細胞は、患者(自家幹細胞)または提供者のいずれかから、治療の前に収集できます。

他の臨床試験は、HDTレジメンに続く自家幹細胞移植は治療の効果を増し、移植なしの標準的な化学療法と比較して、進行がない期間と、全体的な生存の期間を延長することを示していました。ここで記述される試験は、これらの試験結果を確かめる試みでした。

試験
この無作為化された第III相試験(S9321)に登録された全ての患者は、最初に化学療法薬ビンクリスチンとドキソルビシンにステロイドのデキサメタゾンを加えた導入療法(最初のステップ)を受けました。研究者はその後、すべての患者を、骨髄を刺激し血流に幹細胞を送る高用量シクロホスファミドで治療し、収集した幹細胞を後での移植時に患者へ戻すことができます。

患者は、それから、標準的な5-剤併用レジメン、またはHDTに続いて幹細胞移植を行うという2つの治療のうちの1つを受けるよう無作為に割付けされました。HDTレジメンは、全身照射と化学療法薬メルファランを含んでいます。

治療で効果のみられた両グループの患者は、その後インターフェロン薬による4年の維持療法、または経過観察の2つの追跡計画のうちの1つに無作為割付けされました。担当医師は、試験の各段階で、治療の効果、無進行生存と全体的な生存率を測定しました。

研究の主な著者は、リトルロックのUniversity of Arkansas for Medical Science のBart Barlogie医学博士です。

結果
導入療法後、255人の患者は標準的治療、261人の患者はHDTに続き幹細胞移植を受けるよう無作為に割付けされました。両方のグループの患者の反応は「殆ど同じでした」と、著者は述べており、無進行生存または全体的な生存のいずれでも違いは見られませんでした。治療に関連した死亡は、HDTグループで8例と標準的治療グループで1例起こりました。

加えて、追跡治療として、インターフェロン投与グループと経過観察を行っているグループの間で生存率の違いは見られませんでした。毒性は、インターフェロングループで見られました。1人の患者が死亡し、中央値4ヵ月の経過後、グループの32パーセントが重篤な副作用のため、薬を投与するのを止めました。

制限事項
試験は高用量療法レジメンに全身照射を含んでいました。このアプローチは患者の生存を延長することなく患者に害を与えることが後に示されました。

コメント
以前の数々の試験と対照的に、なぜ、この試験は、HDT+幹細胞移植の生存率が優れているかを証明できなかったのでしょうか。理由の1つとして、この試験の全ての患者が幹細胞収集を助けるために高用量シクロホスファミドを投与されたということであるかもしれませんと著者は言っています。この試験で使われたシクロホスファミドと標準的な化学療法5剤の組み合わせが「他の試験で使用された標準的な療法より効果的かもしれません」とも著者は示唆しています。

「この試験は、多発性骨髄腫の治療における、移植の役割を再び不明にします」と、NCIのExperimental Transplantation and Immunology Branch(試験的移植と免疫部門)のMichael Bishop医師が述べています。特にサリドマイドとボルテゾミブのような多発性骨髄腫の実験的な標的治療が研究の最前線へ移ってきていることから、今後の試験で、多発性骨髄腫の最初の治療における自家幹細胞移植を伴うHDTを使用することを再評価しますと、彼は説明しました。

薬の「かなりの毒性とその結果により高率の患者が中断」したため、多発性骨髄腫患者の追跡治療においてインターフェロンの使用を止めようと著者は提案しています。  (HAJI 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  4. 4コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  5. 5がんに対する標的光免疫療法の進展
  6. 6ニボルマブとISA101ワクチン併用療法が中咽頭がん...
  7. 7乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  8. 8がん領域におけるシームレス臨床試験数が近年増加
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward