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放射線同時併用化学療法は上咽頭癌の治療効果を改善する

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放射線同時併用化学療法は上咽頭癌の治療効果を改善する

Chemotherapy During Radiation Treatment Improves Outcomes in Nasopharyngeal Cancer
(Posted: 02/15/2006) International Journal of Radiation Oncology, Biology, Physicsの2006年1月1日号によると、メタアナリシスで、上咽頭癌の標準的放射線治療期間中に化学療法を施行すると死亡率、そして癌の再発が減少した。


要約
研究者たちが多くの国際的な臨床試験を解析した結果、上咽頭癌に対する標準的な放射線治療に化学療法を加えることで死亡や癌の再発の危険性を減らすことがわかりました。主として化学療法が放射線治療前や治療後ではなく、放射線治療期間中に施行された場合に、小幅ではありますが確実な恩恵があることが明らかとなったのです。

出典 International Journal of Radiation Oncology、Biology、Physicsの2006年1月版ジャーナル要旨日本語訳参照)

      
(上記ジャーナル2006年1月版の64(1):47-56)

背景
上咽頭癌は、頭頸部癌の一種で、米国および西欧では頻度の低い癌ですが、その他の国々では非常に頻繁に見られます。

鼻咽頭と頚部リンパ節に限局した癌(局所進行癌とよばれます)は、通常、多くの場合に有効である放射線療法で治療します。米国で実施された(INT-0099と呼ばれる)第3相臨床試験は、1998年に、放射線療法に加えシスプラチンと5-フルオロウラシルとの併用化学療法を受けた患者が、放射線療法のみの患者と比較して、生存する可能性が約30%高いことが確認されたので早期に中断されました。

上咽頭癌治療における併用レジメンの臨床試験の多くは比較的小規模だったため、この治療法の役割をより明確にするためには、さらに情報が必要でした。

試験
研究者らは、Meta-Analysis of Chemotherapy in Nasopharyngeal Cancer(MACH-NPC:上咽頭癌における化学療法のメタ解析)研究で、局部進行上咽頭癌治療において放射線療法に化学療法を追加することに注目したランダム化臨床試験のデータを集約して再評価しました。(メタ分析で、研究者らは、1つの臨床試験だけでは明らかでない可能性のある統計的に有効な結果を探すために、複数の類似した臨床試験のデータをプールします。)

研究者らは該当する臨床試験99件の既報結果を見つけましたが、8つの臨床試験だけが、最終分析に加える上で、十分に比較可能で信頼性があることが明らかになりました。INT-0099を含む8つの臨床試験により患者1,753例の情報が得られました。また医師たちは、情報が有効な場合に、これら臨床試験の最新データを追加しました。医師たちは、どの段階で化学療法を実施したのか、すなわち、放射線療法の前(導入化学療法)か、同時(併用化学療法)か、もしくは後(術後化学療法)なのか、またどの薬剤を投与するのか、さらに患者の局所進行癌はどの病期だったのかを調査しました。

臨床試験の責任医師は、フランスのビルジュイフ市にあるInstitut Gustave-RoussyのBertrand Baujat医師です。

結果
概して、化学療法を受けた患者は、放射線治療のみの患者と比較して、中央値6年後の死亡率が18%低いことが分かりました。放射線治療単独群の5年生存率が56%であったのに対して、併用療法群では62%でした。また、化学療法を受けた患者は癌の進行する可能性が24%低いことが分かりました。

シスプラチンを中心とした併用化学療法は、全臨床試験で同一というわけではありませんでしたが、その差異が問題であると思われませんでした。問題なのは時期でした。すなわち、全生存率の延長が見られたのは、化学療法が、放射線治療の前でも後でもなく、放射線治療の期間中に実施された場合のみでした。

コメント
本離床試験は、「放射線療法に化学療法を加えるという意義を実証することに成功しています。」と米国立癌研究所のDivision of Cancer Treatment and Diagnosis(癌の治療診断部門)のRadiation Research Program(放射線研究プログラム)の責任者であるNorman Coleman医師は語りました。臨床試験医師たちは、情報を更新し、シスプラチンベースを中心とした化学療法の時期が重要かどうかを慎重に確認しようとする上で、「非常に厳格」であったと、Coleman医師は語りました。

臨床試験の医師たちはINT-0099を解析に加えた一方で、「有力な結果のないデータも慎重に分析して、この治療法が局所進行上咽頭癌に対して正当で一般的なものであることを実証した」とColeman医師は語りました。

制限事項
放射線療法と同時に化学療法を実施した場合、わずかだが有意な効果があることが臨床試験で立証されたという、臨床試験の責任医師であるBaujat医師のコメントにColeman医師は同意しましたが、「単独で実施される導入化学療法および術後化学療法、もしくは同時併用化学療法に追加される導入化学療法および術後化学療法の役割はますます不確かであると忠告しています。治療成績のその他の改善は、放射線治療の新しい手法および薬剤の新しい組合わせを用いることによって得られる可能性があります。」    
(ポメラニアン 訳・平 栄(放射線腫瘍科) 監修)

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