Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)からのニュース:脂肪の総摂取量を減らしても乳癌リスクへの影響は小さく、結腸直腸癌、心臓病、脳卒中への影響はないかもしれない | 海外がん医療情報リファレンス

Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)からのニュース:脂肪の総摂取量を減らしても乳癌リスクへの影響は小さく、結腸直腸癌、心臓病、脳卒中への影響はないかもしれない

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Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)からのニュース:脂肪の総摂取量を減らしても乳癌リスクへの影響は小さく、結腸直腸癌、心臓病、脳卒中への影響はないかもしれない

News from the Women’s Health Initiative: Reducing Total Fat Intake May Have Small Effect on Risk of Breast Cancer, No Effect on Risk of Colorectal Cancer, Heart Disease, or Stroke
(Posted: 02/07/2006)Women’s Health Initiativeの最新の臨床試験結果によると、総脂肪量の低い食生活を実行しても、乳癌、心臓病、脳卒中の発症リスクの減少は有意でなかった。健康な閉経後女性における結腸直腸癌リスクは減少しなかった。


NIH News

Women’s Health Initiative(WHI:女性の健康イニシアティブ)からのニュース

「脂肪の総摂取量削減は乳癌罹患リスクにわずかに効果を及ぼすが、結腸直腸癌、心疾患、卒中に対する効果はない」原文へ

米国国立衛生研究所のWomen’s Health Initiative(WHI)から得られた最新の臨床試験結果によると、総脂質摂取量を減らす食事パターンに従っても、健康な閉経後女性における乳癌、心疾患、卒中に罹患する割合を有意に減らすことにはならず、結腸直腸癌についてはリスクを減らすことも認められなかった。

本試験は、低脂肪食事療法が癌に罹患するリスクに及ぼす影響について評価するようにデザインされたものであったが、臨床試験責任医師らは心血管系疾患に及ぼされる影響についても評価を行った。低脂肪食事療法に関する過去最大の同臨床試験から得られた結果はJournal of the American Medical Association (JAMA)の2月8日号で3つの論文として発表される。

試験に参加した48,835例の女性の中で、低脂肪食事療法を行った群と通常の食事を取った対照群について結腸直腸癌、心疾患、卒中の罹患率に関する有意な差は認められなかった。総脂肪摂取量を減らした女性では脂肪摂取量を変更しなかった女性に比べ乳癌に罹患するリスクが9%低かったが、これは統計的に有意であるといえるほど大きな差ではなかった。すなわち、偶然の結果によるものであるとも言えた。

1年目の終わりまでに低脂肪食事療法群は脂肪の平均総摂取量を総カロリーの24%まで削減したが、試験の目標数値である20%まで減らすことはできなかった。6年目には低脂肪食事療法群は総カロリーのうち29%を脂肪から摂取していた。対照群は1年目に総カロリーにおける脂肪摂取は平均35%、6年目では37%であった。両群の女性は総カロリーにおける脂肪摂取を共に35-38%から開始した。低脂肪食事療法群は野菜、果物、穀類の摂取を増やすことも行った。

1993年から1998年までに50歳から79歳までの女性が本試験に参加し、平均8.1年間の追跡調査を行った。試験で使われた食事療法は脂肪の総摂取量を減らすことに重点を置いており、心疾患リスクを減らすために用いられる食事療法とは異なり、魚類、ナッツ類、植物性油脂に見られる「良い脂肪」と、飽和脂肪や加工品、肉類、一部の乳製品に見られるトランスファットといった「悪い脂肪」との区別は行わなかった。試験デザインは、脂肪の総摂取量削減が乳癌あるいは結腸直腸癌のリスクを減らすであろうという広く信じられているが立証されていない理論を反映したものであった。心疾患に関しては、総脂肪摂取量を削減すれば、心疾患リスクに寄与するとされている飽和脂肪も削減されるであろうと予想されていた。

「本試験結果は、疾患予防に関してすでに確立された勧告を変更するものではない。女性は定期的にマンモグラムおよび結腸直腸癌のスクリーニングを受け続けるべきであるし、また飽和脂肪、トランスファット、コレステロールの少ない食事療法に従うことを含め、心疾患のリスクを減らすために主治医と相談すべきである。」と米国国立心肺血液研究所(NHLBI)所長のElizabeth G. Nabel医師は述べた。

アメリカ人のための米国食事指針では、成人は総脂肪摂取量をカロリーの20%から35%、飽和脂肪はカロリーの10%未満とし、また脂肪のほとんどを魚類、ナッツ類、植物性油脂といった多価不飽和脂肪や一価不飽和脂肪を中心に摂取すべきであると推奨している。心疾患患者あるいは心疾患リスクの高い患者については目標とする飽和脂肪の摂取量はさらに引き下げられる場合がある。

「本試験では総脂肪摂取量を単に減らすだけでは心疾患リスクに影響を与えるほどにはならないということが示された。試験参加者のLDL「悪玉」コレステロール値の全体的な変化は小さかったものの、飽和脂肪およびトランスファットの摂取が少なかった女性ではコレステロールおよび心疾患リスクの減少幅は大きくなる傾向が見られた」とWHIプロジェクト・オフィサーのJacques Rossouw医師は述べた。

同試験ではまた高炭水化物・低脂肪の食事療法に従った女性では体重増加は見られず、トリグリセリド値あるいは血糖値やインスリン量といった糖尿病リスクの指標は上昇しなかった。

「試験データによると、脂肪摂取量を最大からスタートして脂肪摂取量を大幅に減少した女性では乳癌のリスクが軽減されたというさらに強固なエビデンスが示された。長期にわたる癌リスクに対する食事の影響を示すためにはさらに長期間の追跡調査が必要になるだろう。」とNHIのLeslie G. Ford医師は述べた。

食事に関する同臨床試験では結腸直腸癌の全体的なリスクは変化しなかったものの、二次的分析によると、アスピリンまたは混合ホルモン療法(エストロゲン+プロゲスチン)の投与を受けている女性においてベネフィットがある可能性が示唆された。しかし、これらの結果は偶然起こったものである可能性もある。ポリープおよび腺腫(癌の前触れと考えられている)が9%減少しており、結腸直腸癌リスクに対するベネフィットは長い期間をかければ現れることが示唆されている。

WHIは、高齢女性の健康に影響を及ぼす主要疾患の原因と予防に関しては現在のところ最も総合的な研究機関である。心疾患、乳癌、結腸直腸癌や骨粗鬆症に関するWHIの15年間にわたる知見は、臨床の場において多くの変化をもたらしている。WHIはまた米国で実施されたこの種の試験では最大であり、女性の健康に関して将来行われる試験のモデルと見なされている。

低脂肪食事療法を用いた本試験はWHIを構成する3つの無作為化試験のひとつである。他の2試験はホルモン療法(エストロゲン+プロゲスチン療法およびエストロゲン単独療法が各1本)であった。いずれの試験も卒中、血栓、乳癌のリスクが高まったため、両方とも早期に中止された(エストロゲン+プロゲスチンは2002年、エストロゲン単独は2004年)。3つ目の臨床試験は、カルシウムとビタミンDの補充により骨粗鬆症関連の骨折および結腸直腸癌に与えられる影響について検討するもので、2006年2月に発表される予定である。


*[siteurl=modules/words_cancer/letter.php?init=]Women’s Health Initiative(Glossary)[/siteurl]参照

エリザベス 訳・Snowberry 校正

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