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乳癌の術後放射線による生存率の改善

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乳癌の術後放射線による生存率の改善

Survival Improved by Radiation After Breast Cancer Surgery
(Posted: 01/17/2006) 78のランダム化臨床試験の集約データにより、乳癌患者の術後放射線療法が局所再発のリスクを下げることに加えて、延命にも有効であることを示した初めてのエビデンスが提供された。


キーワード 乳癌・放射線療法

要約
78のランダム化臨床試験の集約データによれば、初期乳癌患者の乳房温存手術(BCS)、あるいは乳房切除術後の放射線療法によって、5年再発率と15死亡率に有意な低下が見られます。これは、このグループの症例における術後の放射線療法が、局所再発のリスクの低下に加えて生存期間の延長をもたらすことを示す初めての研究です。

出典   The Lancet 2005年12月17日号 (ジャーナル要旨参照)

背景
手術単独療法(乳房温存手術、あるいは乳房切除手術)を受けた早期乳癌患者において、顕微鏡的な残存腫瘍は根絶されないかもしれず、それは最終的に生命を脅かす転移性再発の原因となる可能性があります。局所再発(残存乳腺組織、手術瘢痕、胸壁あるいは隣接するリンパ節での再発)のリスクを下げるということを示した臨床試験の結果に基づいて、術後放射線療法は、再発リスクの高い患者に広く推奨されてきました。

しかし、同じ臨床試験を個々に取ってみると、補助放射線療法によって実際に生存期間の延長があったかどうかを示すことはできませんでした。

この理由により術後放射線療法の推奨は、幅広く支持されているものの常に遵守されているとは言えません。かなり早い段階で検出されれば、局所再発は再手術だけで治療できるケースが多く、一部の医師や患者は放射線療法とそれに伴う副作用を避ける選択をしています。

試験
1958年から1991年の間に開始された78のランダム化臨床試験から収集された42,000症例の集約データ(メタ分析と呼ばれています)は、Early Breast Cancer Trialists’? Collaborative Group(EBCTCG)によって行われました。多くの試験で15年生存率のデータが収集できたので、研究者たちは、局所制御の成功と長期生存の関係を確実に定量化することが可能でした。

個々の試験は、さまざまなタイプの局所制御を比較していました。
・乳房温存手術後の放射線療法 vs.術後放射線治療を施行しない場合
・乳房切除手術後の放射線療法 vs.術後放射線治療を施行しない場合
・広範囲にわたる手術 vs.より限局した手術
・広範囲にわたる手術 vs.限局手術 双方とも術後放射線治療を施行した場合
・広範囲にわたる手術 vs.限局手術、限局手術後のみ放射線治療を施行した場合

EBCTCGは臨床試験の結果を再検討し、乳癌再発までの期間、局所再発あるいは遠隔再発であるか、死亡率(乳癌によるものか、あるいは他の原因によるものか)、そして乳癌再発前の二次原発癌の発症などについて調べました。

結果
乳房温存手術後の放射線治療は、統計的に極めて有意な局所再発の低下をもたらしました。結果を統合すると、データは治療5年後の再発のリスクは19%絶対減少することを示しています。個々に解析すると15年死亡率の減少を示した臨床試験は1つもありませんが、メタ分析では、5.4%というきわめて有意な絶対減少を明らかにしています。

リンパ節まで広がっており(節陽性)、完全な乳房切除術を受けた女性では、術後放射線治療が、再発率や死亡率において同様にリスクを減少させていることも示しています。すなわち、治療後5年後の再発のリスクが17%絶対減少、15年後の死亡率が5.4%絶対減少しています。

サブグループを分析したところ、研究者達は、再発のリスクが高いほど、手術後の放射線治療の恩恵が高くなることを発見しました。研究者たちは早期段階の乳癌のどのグループでも、5年局所再発のリスクを20%減少させた局所治療の差が、乳癌患者の15年死亡率を5.2%減少させたであろうと結論づけました。

国立癌研究所の癌治療評価プログラムのJeff Abrams医師は、「言い換えれば、放射線治療を追加することによって避けられた局所再発4人あたり、1人の乳癌死亡がその後の15年間で避けられるということです。」と述べました。

制限事項
EBCTCGのメタ分析の指摘によれば放射線治療の1つの障害は二次発癌(もとの乳癌に関係しない新しい癌)の可能性が増すことと、心臓病や肺癌による死亡率が上昇することです。しかし、研究者たちは、最新の放射線治療技術は、これらの臨床試験が行われた当時の放射線量に比べて、心臓、肺や対側の乳房に照射される放射線量を最少に抑えていると強調します。??

コメント
「この長く待ち望まれていたEBCTCGの総括解析の結果は、原発性乳癌における補助放射線治療法の重大な影響を実証しています。」と、Abrams医師は言います。乳房温存手術を受けた患者とリンパ節陽性で乳房切除手術を受けた患者の双方とも生存率の恩恵が明らかであるとも述べています。

論文執筆者は、併用療法と関連付けて結論を出しました。「優れた局所制御によってもたらされる15年乳癌死亡率の僅かな相違が、化学療法やホルモン療法による僅かな相違と結びつくことにより、15年乳癌死亡率において合計するときわめて大きな効果をもたらすことになる」と書いています。

(Sugiura 訳・Dr.榎本 裕(泌尿器科) 監修)

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