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大腸がん以外の進行MSI-H/ dMMR腫瘍にペムブロリズマブの臨床的有用性

KEYNOTE-158試験は、治療歴のある切除不能または転移性のMSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)/ dMMR(DNAミスマッチ修復機構欠損)非大腸がん患者におけるペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)による抗PD1抗体療法の臨床的有用性を実証している。毒性は以前のペムブロリズマブ単剤療法の試験結果と一致した。この研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌の2019年11月4日付け速報記事として公開された。

米国ニューヨーク州ニューヨークのスローンケタリング記念がんセンターのLuis A. Diaz Jr博士と研究者らは、DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)腫瘍のゲノムはマイクロサテライト不安定性が高く(MSI-H)、潜在的なネオアンチゲン(新抗原)をコードする数百から数千の体細胞変異を有していると研究の背景で述べている。したがって、そのような腫瘍は免疫反応を引き起こす可能性が高く、免疫チェックポイントタンパクの発現増加を引き起こす。

dMMR腫瘍は、診断されたすべてのがんの約2%〜4%に相当する。これらの腫瘍は、遺伝性がん症候群患者に生じるほか、孤発性症例としてもより多く見られる。dMMR腫瘍はさまざまながん種にわたり診断され、がん種によって変異頻度が異なる。がん種別頻度は、子宮内膜がん17%~33%、胃がん9%~22%、大腸がん6%~13%であり、他のがん(膀胱、前立腺、乳房、腎細胞、膵臓、肺小細胞、甲状腺、肉腫など)での頻度はより低い。

dMMR腫瘍には特徴的な遺伝子変異パターンがあり、ミスマッチ修復欠損のない腫瘍よりも10倍から100倍多くの遺伝子変異を有している。この変異パターンは、DNAミスマッチ修復をつかさどる遺伝子が両方とも欠損することで生じる。ミスマッチ修復をつかさどる遺伝子には、MLH1、MSH2、MSH6、およびPMS2が含まれる。

dMMR腫瘍の細胞は、細胞膜表面にPD-L1を発現している可能性がある。さらに、これらの腫瘍には多くのリンパ球が浸潤していることが顕微鏡観察により示されており、これら免疫細胞ではチェックポイントタンパクの発現が上昇していることが一般的である。腫瘍の遺伝子型によって免疫反応の起きやすさが決まるが、これらの腫瘍では、免疫チェックポイント遮断による治療で免疫細胞による抗腫瘍反応が強力に再活性化しやすくなる。

KEYNOTE-158、第2相試験では、治療歴のある進行した非大腸MSI-H / dMMRがん患者におけるペムブロリズマブの有効性が調査された。主要エンドポイントは、RECISTガイドライン v1.1による奏効率(ORR)であり、担当医から独立した放射線画像中央判定により評価された。

MSI-H / dMMRが組織学的および細胞学的に確認された切除不能または転移性の非大腸がんで前治療が奏効しなかった適格患者は、2年間、あるいは、病態進行、容認できない毒性、患者希望による中止のいずれかが起きるまで、3週間ごとにペムブロリズマブ200mgを投与された。放射線画像診断を治療の最初の1年間は9週間ごとに、その後は12週間ごとに行った。

この研究には27種類の腫瘍患者233人が登録された。最も多い腫瘍の種類は、子宮内膜がん、胃がん、胆管がん、膵臓がんであった。

腫瘍は、免疫組織化学法で4つのMMRタンパクのうち少なくとも1つが欠損していた場合、またはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)によるマイクロサテライトマーカー分析で、5つのうち少なくとも2つのマーカーでサイズシフトが検出された場合、MSI-H / dMMRと分類された。

追跡期間の中央値は13.4カ月であった。奏効率 は34.3%(95%信頼区間、28.3%から40.8%)であった。無増悪生存期間の中央値は4.1カ月(95%信頼区間、2.4〜4.9カ月)で、全生存期間の中央値は23.5カ月(95%信頼区間、13.5カ月から未達)であった。

治療関連の有害事象は151人の患者(64.8%)で発生した。 34人の患者(14.6%)にグレード3から5の治療関連の有害事象があった。 グレード5の肺炎は、患者1人が発症した。治療関連の致命的な有害事象は他にはなかった。

著者らは、以前の治療後に進行した、または忍容性がなかった転移性または切除不能のMSI-H / dMMR非大腸がん患者に対してペムブロリズマブ治療を行うことで、長期的に臨床的有用性が得られことを示した研究結果であると結論づけた。 さらに、この研究で観察された結果は、進行性MSI-H / dMMRがん治療を目的とする3週間ごと200mgの経静脈的ペムブロリズマブ投与について、臓器を限定しない薬事承認を裏づけている。

この研究は、ニュージャージー州ケニルワースのMerck&Co., Inc.社の子会社であるMerck Sharp&Dohme Corp.社によって資金提供された。

翻訳小澤弥生

監修泉谷昌志(消化器がん、がん生物学/東京大学医学部附属病院消化器内科)

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