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薬物有害反応の報告は男性より女性で多い

  • 2019年11月19日
  • 発信元:欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

重篤もしくは死に至るような薬物有害反応の報告は男性で多い

個別症例安全性報告に関する世界保健機関(WHO)のグローバルデータベースVigiBaseで得た1967年から2018年のデータを解析した結果、薬物有害反応(ADR)には、重要な性差が根底にあることが明らかになった。特に思春期以降の女性、とりわけ生殖適齢期にあたる女性では、薬物有害反応報告数が男性と比べて多くみられた。しかし、重篤また死に至る薬物有害反応報告の割合でいえば男性の方が高い。この知見はThe Lancet誌発行のEClinicalMedicine誌で報告されている。

薬物有害反応は疾患や死につながる重大な原因となる。そのため本研究の目的は、市販後の自発報告における薬物有害反応の男女間性差について、世界中のエビデンスを調べることであった。

VigiBaseには、WHO国際医薬品モニタリング制度に参加する131カ国から集まった1800万以上もの報告が集積されている。

性別が特定できる報告のうち、小児と成人を合わせて女性が9,056,566人 (60.1%)、男性が6,012,804人 (39.9%)であった。参加国の全地域で、全種別の報告者による薬物有害反応報告は、女性から多くあがっていた。特に12歳から17歳の年齢層、そしてそれ以降の全年齢層で女性からの報告割合が高かった。一番大きく性差がみられたのは、18歳から44歳までの年齢層であったが、この差はホルモン避妊薬の使用では説明がつかない。

一方、重篤また致命的症例の報告については、世界中の薬物有害反応自発報告データによれば、女性よりも男性の方が割合が高いことがわかった。

著者らは結論として、医薬品の開発とモニターにおける全過程を通して性別を考慮することと、薬物有害反応が報告される根底的な原因を解明することの重要性を強調している。例えば臨床試験の全フェーズにおいて、男女をバランスよく含め、報告されたあらゆる薬物有害反応を性別ごとに層別化した解析を行うことが必要である。今後さらに研究を進め、本研究によって確認された薬物有害反応報告における男女差の根底にある原因をさらに解明する必要がある。

参照
Watson S, Caster O, Rochon PA, et al. Reported adverse drug reactions in women and men: Aggregated evidence from globally collected individual case reports during half a century. EClinicalMedicine; Published 25 October 2019.https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2019.10. 001.

翻訳相澤里咲

監修太田真弓(精神科・児童精神科/クリニックおおた 院長)

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原文掲載日

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