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HRR陽性去勢抵抗性前立腺がんへのオラパリブ療法はエンザルタミド、アビラテロンに優る

オラパリブは、新規ホルモン療法による前治療で進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん男性患者の画像上の無増悪生存に対して、臨床的に有意義なベネフィットをもたらす

DNA相同組換え修復(HRR)で直接的または間接的な役割を果たす遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)男性患者において、オラパリブによる治療は、エンザルタミド(イクスタンジ)またはアビラテロン+プレドニゾンよりも、画像診断による無増悪生存(rPFS)において統計学的に有意な改善を達成したと、スペインのバルセロナで開催された2019年欧州腫瘍臨床学会(ESMO)年次総会で報告された。

ESMOプレジデンシャル・シンポジウムで発表したのは、米国シカゴのノースウェスタン大学ロバートH.ルーリー総合がんセンターの副所長であるMaha Hussain氏で、多国間ランダム化非盲検、第3相PROfound試験(NCT02987543)の結果に基づき、研究グループを代表して試験結果を報告した。この試験では、前治療歴があり、オラパリブなどのPARP阻害薬の奏効に関与するDNA相同組換え修復(HRR)活性で直接的または間接的な役割を果たす15の事前に指定した遺伝子のいずれかの変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者における、オラパリブ対エンザルタミドまたはオラパリブ対アビラテロン+プレドニゾンの投与について調査した。

新規ホルモン療法(例えば、エンザルタミド、アビラテロン+プレドニゾン)を用いた前治療にも、がんが進行した患者を試験対象とした。患者は、DNA相同組換え修復(HRR)遺伝子変異の状態に基づいて2つのコホートに割り付けられた。Foundation Medicine社(FMI、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)と共同で開発したFoundationOne CDx次世代シーケンシング(NGS)検査に基づき、試験中のクリニカルトライアル・アッセイ(CTA)を用いて、腫瘍組織の適格なDNA相同組換え修復(HRR)遺伝子変異を集中的かつ前向きに特定した。コホートAを、BRCA1、BRCA2、またはATMの遺伝子変異を有する患者で構成した。これらが当時最も特徴的でよく見られる遺伝子変異であったため、このコホートを主要評価項目に使用した。コホートBは、同様に設計したが、探索的なものとし、BRIP1、BARD1、CDK12、CHEK1、CHEK2、FANCL、PALB2、PPP2R2A、RAD51B、RAD51C、RAD51D、またはRAD54Lなどの12のDNA相同組換え修復(HRR)遺伝子の変異のいずれかを有する患者を対象とした。

前向きの組織検査に基づいてDNA相同組換え修復(HRR)遺伝子変異のスクリーニングを受けた男性患者4,425人のうち、245人がコホートAに含まれ、142人がコホートBに含まれた。注目すべきは、全患者の65.6%が過去にタキサン療法を受けたことがある点である。各コホート患者を、1日2回300 mgのオラパリブ群と、1日1回160 mgのエンザルタミドまたは1日1回1000 mgの酢酸アビラテロン+1日2回5 mgのプレドニゾンの、医師が選択したホルモン療法群に、2:1に無作為に割り付けた。

PROfound試験の主要評価項目を、コホートAの患者の画像上の無増悪生存(rPFS)とし、盲検独立中央評価(BICR)により評価し、層別ログランク検定によって解析した。コホートAおよびBで医師が選択したホルモン療法に割り付けられ、BICRによりがんの進行が認められた患者のうち、それぞれ80.6%および84.6%がオラパリブ治療に移行した。

BRCA1、BRCA2、またはATMの遺伝子変異を有する患者コホートで、オラパリブに医師が選択したホルモン療法を上回る利益
コホートAでの評価により、主要評価項目が達成された。患者のrPFS中央値は、オラパリブでは7.39カ月であったのに対し、医師が選択したエンザルタミドまたはアビラテロン+プレドニゾンのいずれかでは3.55カ月であった(ハザード比[HR]0.34、95%信頼区間[CI]0.25-0.47、p<0.0001)。

評価可能な患者でBICRにより確認された奏効率(ORR)は、それぞれ33.3%対2.3%であった(オッズ比[OR]20.86、95%信頼区間[CI]4.18-379.18、p<0.0001)。コホートAにおいて、オラパリブ群では、医師が選択したホルモン療法よりも、疼痛増悪(Brief Pain Inventory-Short Form(BPI-SF)の最悪の疼痛[項目3]およびオピオイド使用に基づく)までの時間に、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある遅延が認められた(ハザード比[HR]0.44、95%信頼区間[CI]0.22-0.91、p=0.0192、中央値未到達対9.92か月)。

中間解析でのコホートAの全生存期間(OS)中央値は、オラパリブでは18.50カ月であったのに対し、医師が選択したホルモン療法では15.11カ月であった(ハザード比[HR]0.64、95%信頼区間[CI]0.43-0.97、p=0.0173)。

全集団の患者で、オラパリブには医師が選択したホルモン療法を上回る利益
全集団(コホートAおよびB)では、256人の男性患者にオラパリブを投与し、131人の患者に医師が選択したエンザルタミドまたはアビラテロン+プレドニゾンを投与した。rPFS中央値は、オラパリブでは5.82カ月であったのに対し、医師が選択したホルモン療法では3.52カ月、ハザード比[HR]は0.49であった(95%信頼区間[CI]0.38-0.63、p<0.0001)。12カ月PFS率は、オラパリブでは22.13%であったのに対し、医師が選択したホルモン療法では13.47%であった。

各コホートで確認された奏効率(ORR)は、4.5%対21.7%であった(オッズ比[OR]5.93、95%信頼区間[CI]2.01-25.40、名目上のp値0.0006)。

疼痛増悪までの時間の中央値は、全集団のいずれの群でも到達していなかった(NR)。全集団の中間解析でのOS中央値は、オラパリブ対医師が選択したホルモン療法でそれぞれ14.26カ月対17.51カ月であった(ハザード比[HR]0.67、95%信頼区間[CI]0.49-0.93、名目上のp値0.0063)。

全薬剤の安全性プロファイルが、過去の報告と一致
有害事象(AE)は、オラパリブで医師が選択したホルモン療法よりも頻度が高かった。最も頻度の高い報告されたAEは、貧血(46.1%対15.4%)、悪心(41.4%対19.2%)、疲労と無力症(41.0%対32.3%)、食欲減退(30.1%対17.7%)であった。AEによる患者の治療中止が、オラパリブでは16.4%であったのに対し、エンザルタミドまたはアビラテロン+プレドニゾンでは8.5%であった。注目すべきは、治療期間中央値がオラパリブ群の患者では7.4カ月で、医師が選択したホルモン療法群の3.9か月よりも長かった点である。

適格なDNA相同組換え修復(HRR)遺伝子変異を検出する目的で、4,000を超える組織サンプルを前向き検査

PROfound試験のためにスクリーニングされた集団のFoundationOne CDx次世代シーケンシング(NGS)の調査結果は、PARP阻害薬による治療の候補となる可能性のある前治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)男性患者の腫瘍組織のDNA相同組換え修復(HRR)遺伝子変異の集中的かつ前向きな検出で実施された最大のデータセットである。英国ロンドンの英国がん研究所およびThe Royal MarsdenのJohann S. de Bono氏らは、PROfound試験で調査した腫瘍組織のバイオマーカー解析を実施し、2019年欧州腫瘍臨床学会(ESMO)の年次総会のポスターディスカッション・セッションで発表した。

PROfound試験では、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者の患者数を判断し、試験治療の対象患者を前向きに選択するために、組織標本の適格なDNA相同組換え修復(HRR)遺伝所突然変異について患者をスクリーニングした。スクリーニングでは、Foundation Medicine社と共同で研究者らが開発したFoundationOne CDx NGS検査に基づいて、試験中のクリニカルトライアルアッセイ(CTA)を用いて、15の事前に指定したHRR遺伝子で有害または有害であることが疑われる遺伝子変異(「適格な遺伝子変異」)を特定した。これらの15の適格な遺伝子は、HRRにおける機構的役割、臨床的有効性データ、遺伝的がんリスクの関与、PARP阻害に対する感受性の前臨床エビデンス、固形がん種全体での患者数、およびPARP阻害薬に対する臨床的耐性を示した患者の腫瘍の遺伝子機能を回復する遺伝子復帰イベントに基づいて選択した。組織サンプルは臨床的に不均一であった。原発または転移腫瘍組織の保存または新鮮生検組織を許容した。適格要件を満たし、適格な遺伝子変異を有する患者を、2つの試験コホートのうちの1つに無作為に割り付けた。

スクリーニングを受けた男性のうち4,047患者に検査サンプルがあり、そのうちの2,792患者(69%)でシーケンシングに成功し、バイオマーカー状態を得た。スクリーニングを受けた患者のサンプルは主に保存組織に由来した(89.9%)。保存サンプルの大部分(79.7%)が原発腫瘍由来で、10.1%が転移組織由来であった。HRR遺伝子変異のさらなる高率発生が、保存組織(転移組織サンプルでは33.2%対原発組織サンプルでは27.1%)および新規採取組織(それぞれ29.5%対28.9%)に由来する転移腫瘍組織で認められ、同様の傾向がランダム化群でも観察された。

適格なHRR遺伝子変異が778患者(27.9%)で検出され、他の試験と一致していた。コホートAに含まれる遺伝子間でのHRR遺伝子変異の発生率が17.1%であった。BRCA2の遺伝子変異が最もよく見られ、スクリーニングを受けた患者の8.7%、続いてCDK12(6.3%)およびATM(5.9%)が検出された。1つ以上の遺伝子において同時発生している適格なHRR遺伝子変異が59患者(7.6%)から検出され、BRCA2が最も頻繁で30患者から検出され、CDK12が24患者、ATMが13患者から検出された。

議論のポイント
本試験の調査結果を検討した米国テキサス州ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターのEleni Efstathiou氏は、本試験が真に診療を変える試験で、満たされていなかったニーズに対処しているという点で真に「診療を変える」と定義されるべき試験結果の要件を満たしており、試験群を「標準」診療と比較する試験デザイン、臨床的に有意義で肯定的な結果、再現可能な結果、および地域社会で利用可能な診療を有していると述べた。試験報告は、前立腺がんの分子標的療法時代の開始を意味する。地域社会での教育は容易であり、したがって、新規分子標的治療薬による安全な診療には教育へのアクセスが必要である。

結論
前治療の新規ホルモン療法(例えば、アビラテロン+プレドニゾン、エンザルタミド)でがんが進行した、HRR遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、医師が選択したエンザルタミドまたはアビラテロン+プレドニゾンのいずれかと比較して、画像上の無増悪生存(rPFS)および奏効率(ORR)が有意に改善されたことを示した。さらに、コホートAと全集団の両方で、最初に医師が選択したホルモン療法で治療した患者の大部分がクロスオーバーしていたにもかかわらず、OSの良好な傾向が観察された。オラパリブは、一般的で通常管理可能な副作用プロファイルを示していた。研究者らによると、PROfound試験は転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者の分子標的治療を評価する、初めての肯定的な第3相バイオマーカー選択試験である。

PROfound試験のバイオマーカー解析は、前立腺がん患者を対象に実施された、HRR遺伝子変異の集中的な組織検査に関する、これまでで最大の前向き試験である。標的設定可能なHRR遺伝子変異は、BRCA2で最も頻繁に発生し、その後にATMおよびCDK12が続いた。HRR遺伝子変異と患者の臨床背景や人口統計学的特性との関連性を判断するには、さらなる解析が必要である。

試験では、HRR遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者のかなりの割合が組織検査により特定できる可能性があることを確認している。PROfound試験の結果は、日常臨床診療におけるHRR遺伝子変異の腫瘍検査の導入を後押しする。

情報開示
本試験は、AstraZeneca社およびMerck & Co社の子会社である、米国ニュージャージー州ケニルワースのMerck Sharp & Dohme(MSD)社による資金提供を受けた。

参考文献
LBA12_PR – Hussain M, Mateo J, Fizazi K, et al. PROfound: Phase 3 study of olaparib versus enzalutamide or abiraterone for metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC) with homologous recombination repair (HRR) gene alterations.

847PD – De Bono JS, Fizazi K, Saad F, et al. Central, prospective detection of homologous recombination repair gene mutations (HRRm) in tumour tissue from >4000 men with metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC) screened for the PROfound study.

翻訳会津麻美

監修下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立がん研究センター中央病院)

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