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進行乳がんおよびBRCA 変異陽性患者で、PARP阻害薬ベリパリブ併用療法は無増悪生存を有意に改善

カルボプラチン+パクリタキセルにベリパリブ追加で、カルボプラチン+パクリタキセルと比べて3年無増悪生存率が2倍に上昇

生殖細胞系列BRCA変異を有するHER2陰性進行乳がん患者は、PARP阻害剤ベリパリブと化学療法の併用により、プラセボと化学療法の併用と比べて無増悪生存期間(PFS)が有意に改善されたとの研究結果が、スペインのバルセロナで開催されたESMO 2019総会で発表された。

フランスのVéronique Diéras氏、キュリー研究所(パリ)、ユージーン・マルキース・センター(レンヌ)は、HER2陰性かつ生殖細胞系列BRCA変異を有する進行/転移乳がん患者におけるベリパリブ+化学療法併用の有効性を評価する二重盲検プラセボ対照第3相試験(NCT02163694)の結果を報告した。

Diéras教授らは、BRCA変異腫瘍は相同組換え修復が不全であるため、プラチナ製剤およびベリパリブなどのPARP 1/2 阻害剤の両方に感受性があると推論した。そこで彼らは、患者を2:1の割合でベリパリブ投与群とプラセボ群に無作為に割り付けた。両群に21日サイクルの1日目にカルボプラチンAUC 6を投与するとともに、1、8、15日目に(週1回)パクリタキセル80mg/m2を投与し、さらにベリパリブ群にはベリパリブ120mgを、プラセボ群にはプラセボを1日2回,2〜5日目に経口投与した。疾患の進行がなくカルボプラチンとパクリタキセルの両方を中止した患者には、盲検法により単剤ベリパリブ1日2回300〜400mg またはプラセボを投与した。患者の治療は、疾患の進行または許容できない毒性が現れるまで続けられた。

すべての患者は生殖細胞系列BRCA1/2変異があり、転移乳がんに対して2ライン以下の細胞毒性療法を受けていた。患者の8%はプラチナ療法、19%は転移性疾患に対する化学療法の治療歴があった。患者の年齢中央値は47歳(範囲、24〜82歳)で、患者の48%がER陰性/ PgR陰性であり、4%に中枢神経系(CNS)転移の既往歴があった。

試験担当医師による評価では、無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目とし、副次評価項目を全生存(OS)、臨床的有用率(CBR)、奏効率(ORR)、および二次治療までの無増悪生存期間(PFS2)とした。

試験の主要評価項目を達成
ベリパリブ+化学療法併用群の患者337人における試験担当医師あたりの無増悪生存期間中央値は14.5カ月(95%信頼区間[CI]、12.5-17.7)であったのに対して、プラセボ+化学療法併用群の患者172人では12.6カ月(95%CI、10.6-14.4)であった(ハザード比[HR] 0.71; 95%CI、0.57-0.88; p = 0.002)。独立審査委員会(IRC)による無増悪生存期間中央値はそれぞれ19.3カ月(95%CI、16.5-23.3)、13.5カ月(95%CI、12.5-16.3)であり、ベリパリブ併用群の方が長かった(HR 0.70; 95%CI、0.54-0.90 )。3年経過時点の無増悪生存率は26%対11%となり、ベリパリブ併用群で2倍となった。

中間解析では、全生存期間中央値はベリパリブ+化学療法併用群で33.5カ月(95%CI、27.6-37.9)であったのに対して、プラセボ+化学療法併用群では28.2カ月(95%CI、24.7-35.2)であった(HR 0.95; 95%CI 0.73-1.2; p = 0.67)。

臨床的有用率および客観的奏効率は両群とも高く同様であった。24週経過時点の臨床的有用率はベリパリブ群で90.7%、プラセボ群で93.2%であり、奏効率はそれぞれ75.8%、74.1%であった。

一方、一次+二次治療の無増悪生存(PFS)期間はベリパリブ群の方が長く21.3カ月(95%CI、19.8-25.1)であったのに対して、プラセボ群では17.4カ月(95%CI、16.0-20.0)であった(HR 0.76(95%CI、0.60-0.96))。

奏効期間中央値は、それぞれ14.7カ月(95%CI、12.1-18.7)、11.0カ月(95%CI、10.2-12.3)であった。

ベリパリブの追加によって、化学療法の毒性は実質的に変わることはなかった
各治療群の患者の大半で、特に注意すべき有害事象がみられた。全グレードの有害事象として、好中球減少が両群ともに91%、血小板減少がベリパリブ群とプラセボ群でそれぞれ82%対72%、貧血が81%対70%、吐き気と嘔吐がそれぞれ75%対68%の割合でみられた。

各群の患者の20%以上でみられた、試験薬関連で最も多いグレード3以上の有害事象は、貧血(27%対17%)、好中球減少(52%対50%)、および血小板減少(25%対15%)であった。

カルボプラチンの用量は、ベリパリブ+化学療法併用群患者の88%と、プラセボ+化学療法併用群患者の86%で減量され、パクリタキセルはそれぞれ74%と70%の患者で減量された。

結論
試験担当医師らは、今回の知見から、ベリパリブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用はプラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル併用と比較して無増悪生存を有意に延長することが示されたと結論づけた。両群の無増悪生存期間中央値は12カ月以上であった。さらに、ベリパリブを投与した患者では有益性が対照群より長く続き、3年経過時点での無増悪生存率はベリパリブ併用群で26%であったのに対して、プラセボ+化学療法併用群ではわずか11%であった。

情報開示  本試験はAbbVie社から資金提供を受けた。

参考文献
LBA9 – Diéras VC, Han HS, Kaufman B, et al. Phase 3 study of veliparib with carboplatin and paclitaxel in HER2-negative advanced/metastatic gBRCA-associated breast cancer.

翻訳山田登志子

監修原文堅(乳がん/がん研有明病院 乳腺センター 乳腺内科)

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原文掲載日

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