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胸部X線により早期肺癌が発見されるが、偽陽性の結果も多い

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胸部X線により早期肺癌が発見されるが、偽陽性の結果も多い

Chest X-Rays Can Detect Early Lung Cancer But Also Can Produce Many False-Positive Results
(Posted: 12/20/2005) 新しいNCI試験によると、胸部X線により早期肺癌が発見されるが、偽陽性のテスト結果も多いため、不必要なさらなる検査が行われることになる。この報告は、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌(PLCO)スクリーニング試験の予備結果をまとめたものである。

                                                                                                                                           

国立衛生研究所の一部である国立癌研究所による研究の結果、胸部X線検査による肺癌のスクリーニングを行うことで早期肺癌の発見が可能であるが、同時に多くの偽陽性の結果を示し、その結果必要のない余分な検査を実施していることが新たにわかりました。この報告は膀胱、肺、直腸・結腸、卵巣癌のスクリーニング試験(PLCO)の結果をまとめたもので、2005年12月21日付けのJournal of National Cancer Instituteに掲載されています。

現在、アメリカに在住する約170,000人が毎年肺癌と診断されていますが、その大半は病状が進行してから肺癌であることが判明しており、その90パーセントが2年以内に死亡しています。しかし、肺癌を早期(手術可能な段階)に発見することで、生存率が大幅に上昇し、早期に癌を発見された患者の70パーセントが少なくとも5年は生存可能であるといわれています。

1993年から2001年にかけて、PLCO試験の担当医師らは154,942人の男女(年齢は55歳~74歳)を被験者として登録しました。この試験に参加した被験者の中には喫煙中または過去に喫煙していた人、さらに喫煙歴がない患者も含まれていました。PLCO試験によって得られ、初めて発表された上記肺癌のスクリーニング結果は、被験者が最初にうけた胸部X線結果の分析にもとづいています。

このPLCO試験は、近年喫煙率が上昇している女性を対象とし、肺癌のスクリーニング試験を評価することを目的とした最初の大規模比較試験です。

「肺癌に対して早期にスクリーニングを行う推奨される方法はありません」、とこのPLCO試験を実施したNCIのChristine Berg医師は述べています。「今回のPLCO試験は、手術可能な段階で肺癌を発見すれば、胸部X線によって肺癌の死亡率を低下させることができるかどうかを示してくれるでしょう」

この試験へ参加するにあたってベースラインの胸部X線検査を受けた67,038人の男女のうち、5991人(8.9%)の患者が追加調査を要する異常な結果を示しました。

追加の試験を実施した後、126人(異常な胸部X線結果を示した5991人の2.1%)の患者が最初の胸部X線検査から12ヶ月以内に肺癌と診断されました。

「陽性適中率は低い」とBerg医師は話します。「これは、最初の胸部X線結果に多くの偽陽性の結果が含まれていたことを意味しています。

「もし、胸部X線検査を受けて陽性と診断された場合でもパニックに陥らないことです。」Berg医師はまた、「組織上の変化や他の良性病変もX線では腫瘍のように写ることがある」とも述べています。

しかし、肺癌と診断された患者の内44%はStageⅠで、手術可能な段階でした。「胸部X線における癌の早期発見率は一般的な数値よりも高い」とBerg医師は述べています。

「しかし、死亡率に対して有効性があるかどうかは現時点では不明です。一般の患者集団に対する肺癌のスクリーニング方法として胸部X線検査を推奨することは時期尚早だと考えます。」

過去に実施された研究の結果では、胸部X線は肺癌による死亡率を低下するとは考えられていません。しかしながら、これらの試験の被験者数が少なかったために、年1回実施の胸部X線検査の小さいが重要な効果を見落としているかもしれません。PLCO試験の長期的目標のひとつは胸部X線を受けることで55歳~74歳の男女における肺癌の死亡率を低下させることができるかどうかを決定することなのです。

今回のPLCO試験における治療群の被験者、つまり肺癌のスクリーニングのために最初の(ベースラインの)胸部X線検査を受けた患者については比較対照群の患者とともに追跡調査が実施されています。尚、比較対照群の患者は治療群と同じ人数ですが胸部X線によるスクリーニングは受けていません。今後の分析により、検査群では対照群より肺癌による死亡率が低くなるのかどうかが明らかになるでしょう。

現在の研究では、喫煙が肺癌になるリスクを大幅に増加させることが確認されています。今回の試験に参加した喫煙中の被験者では、スクリーニングを受けた1000人に6.3人の割合の被験者が肺がんと診断されました。 過去に喫煙していた被験者については(喫煙をやめてから15年以内の人)、肺癌の検出率は1000人中4.9人の割合でした。タバコを吸わない人で肺癌と診断されたのは、1000人中0.4人の割合でした。喫煙者における肺癌の発症率は男女ともほぼ同等ですが、ただ、理由は不明ですが、男性の方が女性よりもX線結果に陽性が出た人が多いという結果になりました。(男性:9.6%、女性:8.2%)

「こちらがお伝えできることは決してタバコを吸わないということです。また、現在吸っている人はやめてください。」とBerg医師は話します。

NCIが実施している別の試験、the National Lung Screening Trial (NLST)では肺がんを検出する二つの方法を比較しています。その二つの方法とは、スパイラルCTと通常の胸部X線です。胸部X線とスパイラルCTスキャンの双方が肺がんを早期に発見するために用いられています。これまでは、胸部X線及びスパイラルCTスキャンのいずれも、肺癌による死亡率を低下させることができるとは示されていません。このNLST試験については、どちらの方法が肺癌による死亡率の低下により効果を発揮するのかを示すことが目的となるでしょう。
(てらしま 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

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