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切除可能肺がんに術前免疫チェックポイント阻害剤の臨床的有用性は不明

最適なバイオマーカーを特定するためにもさらなる研究が必要

切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)における術前補助免疫チェックポイント阻害剤を研究したNEOSTARおよびLCMC3試験の結果が、2019年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。術前補助免疫療法が、一定の効果を有することが示され、病理学的奏効(MPR)および低い毒性が認められた。病理学的奏効は免疫療法における有効と確認されている評価項目ではないが、この報告をもとに医薬品承認が加速する可能性がある。病理学的奏効に達した患者の割合をみると、免疫療法に化学療法を加えることが最も効果的なアプローチであることが示唆される。

しかしながら、現在のところ、術前補助免疫療法の臨床的有用性は不明のままであり、さらなる試験結果が必要とされている。加えて、術前補助治療のアプローチを個別化するための最適なバイオマーカーを同定するには、さらなる研究が必要である。

NEOSTARの結果
切除可能NSCLCにおける術前ニボルマブまたはニボルマブ+イピリムマブ補助療法の第II相試験の結果が、NEOSTAR研究グループを代表して、米国テキサス州ヒューストンのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone医師より発表された。

Cascone医師は手術可能非小細胞肺がん(NSCLC)における術前補助免疫療法の理論的根拠を説明した。I期からIII期の切除可能NSCLC患者においては、50%以上が再発する。周術期の化学療法は、手術単独と比較して5年生存率の5%改善をもたらす。切除標本の残存腫瘍が10%以下と定義される病理学的奏効は、非小細胞肺がんの術前補助試験の代替エンドポイントとして採用されている。NSCLCのマウスモデルにおける腫瘍PD-L1量の増加は、がんの転移および生存上重要である。術前補助免疫チェックポイント阻害剤単独療法では、病理学的奏効率22~45%、化学療法との併用療法では病理学的奏効率50~83%という結果をもたらす。

NEOSTAR試験では、ステージI-IIIA(シングルN2)の切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)で、パフォーマンスステータス0-1の患者を、ニボルマブ群(3 mg / kg iv、1日、15日、29日目に投与)またはニボルマブ+イピリムマブ群(1 mg / kg iv、1日目に投与)に無作為に割り付け、その後手術を施行した。主要評価項目は病理学的奏効(10%以下の残存腫瘍)であり、過去のコントロールデータで得られている導入化学療法による病理学的奏効より高くなると仮定した。腫瘍免疫浸潤および免疫チェックポイント阻害剤前後の腫瘍PD-L1の割合をフローサイトメトリーおよび免疫組織化学的検査により評価した。

53人のスクリーニング患者から、44人の適格患者を無作為化し、23人のニボルマブ群、21人のニボルマブ群+イピリムマブ群が治療を受けた。

試験研究者らは、ニボルマブとニボルマブ+イピリムマブ併用療法が、治療意図による集団(ITT)において、それぞれ病理学的奏効(MPR)率が17%、33%となることを見出した。ニボルマブ+イピリムマブ群の切除患者の病理学的奏効率(MPR)は44%となり、試験で事前に規定された下限を満たし(ITTで6 MPR以上)、切除を受けた患者の38%において病理学的完全奏効(pCR)が得られた。

忍容できない毒性または周術期の障害発生率または死亡率の増加は認められなかった。

結節免疫フレアは、術前補助免疫チェックポイント阻害剤後の明らかなX線画像上の進行を意味するため、根治を見込んでの手術を回避する前に病理学的評価を行う必要がある。

ニボルマブ+イピリムマブは、T細胞浸潤、多様性および反応性の増加ならびに切除腫瘍内の組織浸潤T細胞およびエフェクターメモリーT細胞の頻度の増加と関連していた。

本研究はブリストルマイヤーズスクイブ社によって支援された。

LCMC3試験の結果
切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にアテゾリズマブを用いた術前補助療法の有用性を評価した大規模多施設研究であるLCMC3試験の中間解析およびバイオマーカーのデータが、米国マサチューセッツ州ボストンのダナファーバーがん研究所のDavid J. Kwiatkowski医師により発表された。

LCMC3試験は、ステージIB、II、IIIAまたは選択されたIIIBの切除可能かつ未治療NSCLCにおけるアテゾリズマブの第II相試験で180人の患者登録が予定されている。37人の患者による安全性に関する以前の中間解析では、未成熟なデータではありながら有効性と安全性が示されていた。2019年米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で、研究者らは101人の患者を含む中間解析結果に基づき、有効性のデータを発表した。

本試験では、患者は、1日目および22日目にアテゾリズマブ1200mgの投与を2クール受け、その後手術を施行する。原発腫瘍(リンパ節生検+/-)および血液サンプルがバイオマーカーの研究目的に、アテゾリズマブの治療前および手術時に採取される。主要評価項目は病理学的奏効(MPR)で、切除標本中の残存腫瘍が10%以下と定義される。副次的評価項目には、安全性およびPD-L1発現、腫瘍遺伝子変異量(TMB)および遺伝子発現状況と効果との相関が含まれる。

研究者らは、術前補助療法におけるアテゾリズマブ単独療法は忍容性が高く、新たな安全性シグナルは検出されなかったことを見出した。

病理学的完全奏効(pCR)率5%と病理学的奏効(MPR)率19%は、患者の46%がステージIIIA / Bであったこの大規模試験において有望であった。病理学的退縮は、RECISTによる標的病変の測定と中程度の相関があった。病理学的奏効(MPR)はPD-L1発現に関係なく観察された。腫瘍遺伝子変異量(TMB)はMPRまたは病理学的退縮と相関しない。遺伝子変化とMPRとの間には有意な関連は観察されなかった。

有効性に関する本中間解析が、無益性の限界を越えたため(臨床試験の継続を支持する結果が得られたため)、研究の登録は続けられている。アテゾリズマブとプラチナベースの化学療法を併用したプラセボ対照第III相試験(IMpower030)が現在進行中である。

本研究はジェネンテック社によって支援された。

参考文献

Cascone T, William WN, Weissferdt A, et al. Neoadjuvant nivolumab (N) or nivolumab plus ipilimumab (NI) for resectable non-small cell lung cancer (NSCLC): Clinical and correlative results from the NEOSTAR study. J Clin Oncol 37, 2019 (suppl; abstr 8504). 

Kwiatkowski DJ, Rusch VW, Chaft JE, et al. Neoadjuvant atezolizumab in resectable non-small cell lung cancer (NSCLC): Interim analysis and biomarker data from a multicenter study (LCMC3). J Clin Oncol 37, 2019 (suppl; abstr 8503).

翻訳橋本奈美

監修田中 謙太郎(呼吸器内科、腫瘍内科、免疫/九州大学病院 呼吸器科)

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