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BRAF変異陽性メラノーマにおける3剤併用療法

免疫チェックポイント阻害薬と標的治療の併用は忍容性と有望な有効性を示す
2019年6月6日にNature Medicineに掲載された3つの論文の知見によれば、免疫チェックポイント阻害薬とBRAFおよびMEK阻害薬の併用療法には忍容性があり、BRAF変異陽性メラノーマに対する有効性が期待される。このような三剤併用療法はさらなる研究が必要である。

BRAFおよびMEK阻害薬による分子標的治療は、BRAFV600変異陽性メラノーマ患者に対し、高い投与初期の奏効率をもたらし、奏効期間の中央値は約1年である。抗PD-1療法は、奏効率は低いが奏効期間が長い。BRAF/MEK併用療法は、PD-1 /PD-L1阻害薬との併用を支持する腫瘍微小環境に効果を示す。

一つ目の論文は、ヒトに対する初めての投与の臨床試験として、免疫チェックポイント阻害薬とBRAFおよびMEK阻害薬を組み合わせた三剤併用療法がBRAFV600変異陽性転移性メラノーマ患者集団に利益をもたらす可能性があることを報告している。二つ目の論文は、BRAF変異陽性メラノーマ患者における初回治療としてBRAF、MEKおよびPD-1阻害薬の三剤併用を検討した第2相ランダム化試験の報告であり、長期間の有効性および無増悪生存期間(PFS)の延長を示した。三つ目の論文は、BRAF変異陽性メラノーマ患者を対象としたBRAF阻害薬単剤もしくはBRAF/MEK阻害薬併用に続いて抗PD-L1抗体を追加した治療に関するもので、安全性と有望な抗腫瘍効果を有することを示している。

BRAF変異陽性メラノーマにおけるダブラフェニブおよびトラメチニブならびにペムブロリズマブの併用試験
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAntoni Ribas氏と共同研究者らは、BRAFおよびMEK阻害薬ならびにPD-1阻害薬の三剤併用による抗腫瘍活性の改善について、臨床導入前の基礎実験モデルで示唆されている、と研究背景で説明している。PD-1阻害薬もしくはBRAF/MEK阻害薬のいずれがの治療法単独では長期的な奏効を示す可能性が低い患者には、この三者併用療法がさらなる治療選択肢として提供される可能性がある。このような理論的根拠により、研究チームはダブラフェニブ、トラメチニブおよびぺムブロリズマブのヒトへの初めての臨床試験(NCT02130466)を開始した。

研究チームはBRAFV600変異陽性転移性メラノーマ患者15人を登録したが、そのうち11人の患者(73%)がグレード3/4の治療関連有害事象を呈した。最も一般的なものは肝機能検査値上昇と発熱であり、そのほとんどは抗PD-1療法または分子標的療法(BRAF/MEK阻害薬)のいずれかの投与中断または中止によって解決した。

11人の患者(73%)が奏効を示し、追跡期間中央値27カ月で6人(40%)が奏効を維持した。

イタリアナポリのIstituto Nazionale Tumori IRCCS財団法人「G. Pascale」のPaolo Antonio Ascierto氏、ミラノのヨーロッパがん研究所IRCCSのPier Francesco Ferrucci氏、およびカリフォルニア大学ロサンゼルス校のAntoni Ribas氏は、同試験内の第2相ランダム化試験パートにおける新知見について二つ目の論文で報告した。未治療のBRAFV600E/K変異陽性進行性メラノーマの患者を対象に、ダブラフェニブ+トラメチニブ+ペムブロリズマブ(三剤併用療法、n=60)またはダブラフェニブ+トラメチニブ+プラセボ(二剤併用療法、n=60)を投与した。

主要評価項目であるPFSは、二剤併用療法群の10.3カ月と比較して、三剤併用療法群では16.0カ月と数字上は改善された(ハザード比、0.66、p=0.043)ものの、試験前に設定された統計学的に有意な改善と判断される条件(数値)は満たさなかった。

三剤併用療法および二剤併用療法における奏効期間中央値は18.7カ月と12.5カ月であった。それぞれで奏効した患者は、59.8%および27.8%であり、18カ月以上効果が持続したと推定された。

グレード3~5の治療関連有害事象は、三剤併用療法および二剤併用療法患者でそれぞれ58.3%および26.7%で発生し、これらのうち最も多い有害事象は、発熱、トランスアミナーゼ(肝酵素)上昇および発疹であった。三剤併用療法を受けた患者のうち1人は肺炎により死亡した。

NCT02130466試験は、米国ニュージャージー州ケニルワースのメルク・アンド・カンパニー子会社であるMerck Sharp & Dohme社の資金提供により実施された。

BRAF変異陽性メラノーマ患者に対するコビメチニブおよびベムラフェニブにアテゾリズマブを加えた三剤併用療法試験
米国マサチューセッツ州ボストンのマサチューセッツ総合病院がんセンターのRyan J. Sullivan氏および共同研究者らは、第1b相試験の結果を報告した(NCT01656642)。この試験は、BRAFV600変異陽性転移性メラノーマ患者において、抗PD-L1抗体アテゾリズマブおよびBRAF阻害薬ベムラフェニブ、またはアテゾリズマブにMEK阻害薬コビメチニブとベムラフェニブを加えた三剤併用療法の安全性および抗腫瘍活性を評価した。

アテゾリズマブ+コビメチニブ+ベムラフェニブの三剤併用療法(コビメチニブ+ベムラフェニブの28日間の導入期間後にアテゾリズマブを追加するレジメン)は、相当数の毒性を示したが、管理可能であった。

探索的バイオマーカー試験のデータは、コビメチニブ+ベムラフェニブの導入は、ベムラフェニブ単剤の導入期間で観察されたように、増殖性CD4陽性ヘルパーT細胞の増殖と関連したが、制御T細胞の増加とは関連しなかったことを示した。

奏効率は71.8%であった。奏効期間中央値は17.4カ月で、追跡期間29.9カ月後の患者の39.3%に持続して奏効が認められた。

現在第3相試験にてさらなる研究が進行中である。

NCT01656642試験はF. Hoffmann-La Roche Ltd社の資金提供により実施された。

参考文献
Ribas A, Lawrence D, Atkinson V, et al. Combined BRAF and MEK inhibition with PD-1 blockade immunotherapy in BRAF-mutant melanoma. Nature Medicine; Published online 6 June 2019. doi: 10.1038/s41591-019-0476-5.
Ascierto PA, Ferrucci PF, Fisher R, et al. Dabrafenib, trametinib and pembrolizumab or placebo in BRAF-mutant melanoma. Nature Medicine; Published online 6 June 2019. doi: 10.1038/s41591-019-0448-9.
Sullivan RJ, Hamid O, Gonzalez R, et al. Atezolizumab plus cobimetinib and vemurafenib in BRAF-mutated melanoma patients. Nature Medicine; Published online 6 June 2019. doi: 10.1038/s41591-019-0474-7

翻訳中野駿介

監修中村泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター 皮膚腫瘍科・皮膚科)

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