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継続的化学療法は進行乳がんの転帰とQOLを改善

Stop&Go(休薬/再導入)試験の解析の結果、進行乳がん患者において、継続的スケージュールによる化学療法は、間欠的スケジュールに沿った化学療法と比較して、生存率の向上とQOL維持の両方で患者により大きな利益をもたらすことが明らかになった。本結果は、2019年5月2日-4日、ドイツのベルリンで開催された2019年度欧州臨床腫瘍学会(ESMO)乳がん学術集会で発表された。[1,2]

この第3相臨床試験では、進行したHER2陰性乳がん患者420人を無作為に間欠的スケジュール(4サイクル +「治療休止期間」+4サイクル)、または同じく8サイクルを連続で投与する継続的スケジュールのいずれかに割り付けた。一次治療(パクリタキセル+ベバシズマブ)および二次治療(カペシタビンまたは非ペグ化リポソームドキソルビシン)をこれらのスケジュールに従って実施した。今回の解析では、Stop&Go試験の副次的評価項目と合わせて、二次治療の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)について報告している。

ズイダーランド医療センター(オランダ、シッタート・ヘレーン)のFrans Erdkamp医師は、一次化学療法と二次化学療法の両方における継続的スケジュールの延命効果を間欠的治療と比較した研究結果を発表した。Erdkamp医師は、次のように述べている。「私たちの最大の焦点は、二次治療の有効性の解析でしたが、興味深いことに、最新の全生存期間の結果から、全集団(一次治療のみ、または一次治療と二次治療を受けた人)でも、継続的治療で生存期間(OS)が上回っていたことが明らかになりました」。

二次治療を開始した患者(n=270;間欠群131人、継続群139人)は、無増悪生存期間(PFS)中央値がそれぞれ3.5カ月、5.0カ月で、ハザード比(HR)は1.04(95%信頼区間 0.69-1.57)であった。この集団の一次および二次治療後の無増悪生存期間中央値の合計は間欠群14.6カ月、継続群16.6カ月で、HRは1.59であった(95%信頼区間 1.04-2.45)。

QOLの結果は、ズイダーランド医療センター(オランダ、シッタート・ヘレーン)のAnouk Claessens医師によって発表された。「臨床診療では、治療戦略にかなりのばらつきがあるため、最新の薬剤を用いて、治療スケジュールがQOLに及ぼす影響を調査する試験を実施することが有益であると感じました」。Claessens医師は、治療休止期間をスケジュールに組み込むことがQOLの向上に繋がると仮説を立てた。

治療中および追跡調査期間中、12週間ごとにQOLが測定された。その際に、使用されたのは、普段の生活に特に関連した質問が選択された質問票RAND-36である。両群の身体的および精神的なQOLのスコアの推移をモニターし、群間の推移差を推定した。追跡期間の中央値は11.3カ月であった。

「身体的なQOLを図るスコアで、間欠的治療群に線形下降が確認されました。これにより、24カ月時点で、臨床的に意味のある5.68ポイントの差が生じたのです (p <0.001)。その一方で、継続的治療群のスコアは12カ月時点で±3.5ポイント減少した後、安定しました」と、 Claessens 博士は報告した。

研究者らはさらに付け加えた。「治療群間でのQOLの推移を比較すると、最大スコア差は統計的に有意な差ではありませんでしたが、継続的治療群でより好ましいスコアの傾向がありました」。

「私たちの研究結果に基づくと、継続的治療アプローチの利点は、今回調査した治療法とは無関係で、他の治療法にも応用できる可能性があるという仮説を立てることができます」と、 Claessens医師は述べた。さらに「臨床診療における課題は、忍容性が良好で、中断することなく長期間継続できる薬剤を使用することです」と付け加えた。

エラスムス大学医療センター(オランダ、ロッテルダム)在籍の共同研究者Monique Bos 医師は、次のように述べている。「研究結果が仮説に反していることに多少驚きました。患者に治療スケジュールを説明する際に、『休薬』はその言葉の性質上、有益である可能性があると示唆する傾向にありますが、そうではありませんでした」。

結果についてコメントする形で、ドイツのミュンヘン大学(LMU)のNadia Harbeck教授は、次のように述べている。「どちらの研究も、現在の国内および国際ガイドラインを裏づけています。これらのガイドラインでは、化学療法を、少なくとも一次治療後は単剤療法を優先して、忍容性が良好で効果的である限り継続的に投与するべきであると定めています。これまでは、過去の研究からの根拠しかなく、現在すでに使用されていない投薬計画で得られた結果しかありませんでした。それらの研究では、転移性疾患への継続的な化学療法が短期間の化学療法よりも良いと示されています。今回の新たなStop&Go試験データは、古いデータを最新の投薬計画で再検討して得られたデータです」。

Harbeck 医師は、「継続的な化学療法がQOLの悪化と一切関連なしという結果は、臨床的に意味があることです」と述べている。「そして、この結果は、疾患が進行した患者が最大の利益を得られるように化学療法の継続的投与を選択することの重要性を強調しています」。

参考文献

  1. Abstract 158P_PR ‘Intermittent versus continuous chemotherapy beyond first-line for patients with HER2-negative advanced breast cancer (BOOG 2010-02)’ will be presented by Anouk Claessens during the Poster Display session on Friday 3 May, 12:15 to 13:00 (CEST) in the Exhibition area. Annals of Oncology, Volume 30, 2019 Supplement 3, doi:10.1093/annonc/mdz095
  2. Abstract 159P_PR ‘Influence on quality of life of chemotherapy scheduling for patients with advanced HER2-negative breast cancer’ will be presented by Anouk Claessens during the Poster Display session on Friday 3 May, 12:15 to 13:00 (CEST) in the Exhibition area. Annals of Oncology, Volume 30, 2019 Supplement 3, doi:10.1093/annonc/mdz095

翻訳水町敦子

監修尾崎由記範(臨床腫瘍科/虎の門病院)

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