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若年女性の乳がんは、ガイドライン治療で良好な転帰が得られる

若年女性の乳がんは、高齢者に発症した乳がんよりも侵襲的であるという生物学的特徴が認められているが、ガイドライン推奨治療を施行した場合の転帰は良好であると、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のスポークスマンMatteo Lambertini氏(イタリア-ジェノバ、Policlinico San Martino大学病院)が、2019年5月2~4日開催のESMO乳がん学会(ドイツ ベルリン)で発表される2つの研究結果に対するコメントとして述べた。

若年であるというだけで、より強度の高い治療を行う理由にはならないとLambertini博士は強調した。「40歳未満の女性は、悪性度の高いタイプの乳がんと診断される傾向があり、若い女性の乳がんはトリプルネガティブやHER2陽性である可能性が高いと言えます。しかし、適切な治療を受ければ、生存率や局所再発率は乳がん患者全体と同様となります」。

腫瘍の悪性度
35歳未満の患者207人が登録されたポルトガルの研究では、腫瘍の悪性度を説明している[1]。すべての乳がんのうち、5%は35歳未満の女性で発症し、この年齢層の女性では乳がんが最も頻度の高いがんである。腫瘍の分類については、20%がトリプルネガティブ、28%がHER2陽性、4%がルミナルA型、67%がルミナルB型であり、若年女性では悪性度の高い腫瘍タイプが高い割合を占めていることがわかる。追跡期間中央値の53.5カ月後、女性患者の85%が生存しており、患者26人には転移がみられ、3人に局所再発が認められた。

研究著者であるInes F. Eiriz氏(ポルトガル‐アマドラ、Hospital Prof. Doutor Fernando Fonseca)は次のように述べた。「無病生存期間はホルモン受容体陽性乳がん患者が最も長く、次いでHER2陽性乳がん患者、そして最も短いのがトリプルネガティブの乳がん患者です。転移を伴わない患者の生存期間中央値が130カ月であるのに対し、転移を伴う患者では37カ月でした」[2]。

腫瘍の再発
50歳以下の女性359人で乳がん再発を調べたスイスの研究によれば、追跡期間中央値45.6カ月において、患者14人に局所再発、6人に遠隔転移、9人に局所再発と遠隔転移の両方が認められた[3]。無再発期間中央値は31カ月であった。局所再発の3年リスクは4.7%、5年リスクは9.5%であった。無病生存率は3年で94.3%、5年で91.2%であった。5年全生存率は93%であった。

研究著者のSimona Cima氏(スイス‐ベリンツォーナ、南スイスがん研究所)は次のように述べた。「これらの患者における再発の大半は、転移よりもむしろ局所再発です。本研究は継続中であり、次のステップは局所再発の予測因子を特定することです。例えば、HER2およびトリプルネガティブかの分類に基づいて局所再発の可能性を検討する予定です」。

Lambertini氏は以下のように述べた。「若年齢での乳がん診断が、低い生存率またはがん再発の高リスクを意味するというのは真実ではありません。今回の研究がそのことを裏づけています。ガイドラインに基づく適正な治療は、年齢に関係なくすべての乳がん患者に対して実施されるべきです。これらの女性患者には不妊症リスクなど抗がん治療で起こりうる副作用について、特別な注意を払うべきです」。

翻訳 太田奈津美

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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