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リンパ腫に対する化学療法前の分子標的薬3剤併用は有効

特定種類のリンパ腫患者は将来的に化学療法を回避できる可能性があることを、MDアンダーソン第2相試験は示唆する

アブストラクト#7508

特定種類のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と新たに診断された患者において、化学療法前に行うリツキシマブ(R)、レナリドミド(L)およびイブルチニブ(I)から成る3種(RLI)分子標的薬併用療法は、全奏効率(ORR)84.6%、完全奏効率(CRR)38.5%を示したことが、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターで実施された第2相臨床試験結果からわかった。

この種では初となる本研究は、非胚中心(非GCB)DLBCL患者に対して化学療法を行わない治療レジメンを試験したのもので、検証的試験が必要な段階ではあるが、病初で分子標的療法に奏効を示す患者は現在の標準治療である化学療法を受けずにすむ可能性があることを示唆する試験結果であった。

本試験の結果は本日、2019米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、MDアンダーソンリンパ腫・骨髄腫部門助教である本試験の臨床試験責任医師Jason Westin氏により口頭発表で報告される。

「試験で確認された奏効は驚くべきものでした。化学療法を受ける前に患者の80%以上が奏効を示し、40%近くはがんの徴候がない完全奏効を示しました」と、Westin氏は言う。「すべての試験参加患者は続いて、プロトコルに従ってこれらの分子標的療法と並行して標準的化学療法を受けており、現時点で100%の奏効率を達成しています」。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含む大細胞リンパ腫は、米国では年間約3万人が診断を受けており、その中で非胚中心(非GCB)は約30〜40%を占める。大細胞リンパ腫に対する標準治療法は化学療法であるが、非GCB患者では奏効がさほど良好でなく、推定治癒率は50〜60%程度に過ぎないとWestinは説明する。

この臨床試験ではMDアンダーソンで非GCBのDLBCL患者60人を登録し、リツキシマブ+レナリドミド+イブルチニブ(RLI)投与を2サイクル行い、続いてRLI+化学療法薬投与を6サイクル行った。Westin氏のチームは、基礎研究での有望な知見に基づいて、これらの患者に新しい治療選択肢をもたらすべく試験を設計した。

「この病気の患者さんの治療を開始する際のより賢い(smart)方法となると考え、この試験を『Smart Start(スマート・スタート)』と名付けました」とWestin氏は言う。「大細胞リンパ腫に対する理解が深まり、新薬が多数あるにもかかわらず、この疾患の標準治療は40年近くほぼ変わっていません。素晴らしいことに、基礎研究でうまくいったアイデアから今、結果が出始めており、これがこの病気と闘う新たな方法となる可能性を示しています」。

Westin氏によると、試験参加患者の90%以上が試験から1年後もなお寛解状態にあるという。 また、この試験に伴う副作用は軽度であり、その大半が化学療法によるものである。

Westin氏らはさらに、RLIによる先行治療に奏効を示した患者が化学療法をほとんど、あるいはまったく受けなくても長期寛解を得られるかどうかを調べる臨床試験を開始する予定である。

本研究は、Conquer Cancer Foundation、Celgene社、Janssen Pharmaceuticals社の支援を受けた。共著者一覧と彼らが報告した開示内容は、こちらのアブストラクトに記載されている。

翻訳山田登志子

監修吉原哲(血液内科/兵庫医科大学病院)

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