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乳がん骨転移に対する骨修飾薬の減弱投与は合理的選択肢

骨を標的とした治療薬(骨修飾薬)として一般に使用される薬剤において、De-escalation(減弱)投与は乳がん由来の骨転移患者に合理的治療選択肢に

骨修飾薬の投与頻度はQOL転帰に影響を及ぼさない

デノスマブ、ゾレドロン酸、およびパミドロン酸などの骨修飾薬は広く使用されているが、この骨修飾薬の減弱投与は乳がん患者にとって合理的な治療選択肢である。この結果は、2019年5月2~4日にドイツで開催されたESMO Breast Cancer 2019で発表された。

REaCT-BTAランダム化試験では、乳がん患者および前立腺患者を対象とし、骨修飾薬のスケジュールについて12週間投与を4週間投与と比較した場合の非劣性について検討した。

当試験は、デノスマブおよびビスフォスフォネート製剤などの骨修飾薬に関し、最適な投与間隔を明らかにする目的でデザインされた。この試験の乳がん患者コホートからの知見に関してオタワ病院地域がんセンター(オタワ、カナダ)の内科部門腫瘍内科のMark Clemons氏が発表した。

骨修飾薬による治療歴がない乳がん女性患者、もしくは、デノスマブ、ゾレドロン酸、あるいはパミドロン酸による治療歴がある乳がん女性患者が適格とされた。患者160人各自で選択した骨修飾薬について、12週ごとあるいは4週ごとの投薬スケジュールに1:1で無作為に割り付けられ、そのスケジュールを1年間実施した。

主要評価項目は健康面に関する生活の質(HRQoL)であり、’欧州がん研究・治療機構が開発した核となる30項目のQOL質問票(EORTC-QLQ-C30) 機能ドメイン-身体的サブドメイン’を用いて評価した。副次的評価項目は疼痛(EORTC-QLQ-BM22-疼痛ドメインに基づく)、全般的健康状態(EORTC-QLQ-C30による)、および症候性骨関連事象(SSE)の発生率とした。症候性骨関連事象発生率は、競合リスクとしての死亡を考慮に入れており、症候性骨関連事象の累積発生率として計算した。骨修飾薬の12週間および4週間の投薬スケジュールに関する有害事象および毒性についても比較された。

両方のスケジュールで同様のQOL、全般的健康状態、および疼痛スコアが認められる

12週間の骨修飾薬投与スケジュール群は患者79名(49.4%)、4週間の骨修飾薬投与スケジュールは患者81名(50.6%)で実施した。両群で骨修飾薬投与歴のない患者は64人(40%)であった。患者60人(37.5%)はデノスマブ、48人(30%)はゾレドロン酸、および52人(32.5%)はパミドロン酸による治療を受けた。

12週ごとおよび4週ごとの投与スケジュールで報告された健康関連QoL、疼痛、全般的健康状態に関する開始時からの転帰の変化について有意差は認められなかった。

健康関連QoLの身体的ドメインスコアの中央値の変化は、12週間の投与スケジュール群では0(範囲=-87~20)であったのに対し4週間投与スケジュール群でも0(範囲=-60~60)であり、QLQ-BMの疼痛スコアの中央値は12週間の投与スケジュール群では0(範囲=-80~33)であったのに対し4週間投与スケジュール群でも0(範囲=-27~20)であった。また、全般的健康状態スコアの変化の中央値は各治療群で同じであり、QLQ-C30の中央値は12週間の投与スケジュール群では0(範囲=-67~50)であったのに対し4週間投与スケジュール群でも0(範囲=-50~50)であった。

症候性骨関連事象(SSE)発生率に関して群間差は報告されていない。

48週の時点での症候性骨関連事象発生率については、症候性骨関連事象は12週間の投与スケジュール群の患者9人(11%)で認められたのに対し、4週間投与スケジュール群では患者7人(9%)で認められた(P=0.42)。

投与スケジュールの変更は、12週間の投与スケジュール群では患者の17%で、4週間の投与スケジュール群では患者の31%で実施され、12週間の投与スケジュール群の方が4週間の投与スケジュール群よりも頻度は少なかった。

また、骨修飾薬治療歴のない群、および前治療歴のある群全体でのサブグループ解析による結果はほぼ同じであり、およびデノスマブ、ゾレドロン酸、あるいはパミドロン酸投与を受けた患者群でも同様の結果が認められた。

結論

これらの知見に基づき、著者らは、本試験もデノスマブおよびパミドロン酸の減弱投与を受けた患者を対象としていたものの、本試験結果はこれまで報告されたゾレドロン酸の減弱投与に関する結果と一致していたことを認めた。

REaCT-BTA試験の総合的な結果はまだ出されていないが、ESMO Breast Cancer 2019で発表された当データから、一般に使用される骨修飾薬の減弱投与は合理的な治療選択肢である事が示唆される。

開示

本研究の資金は、カナダ国立衛生研究所のSPOR基金、Cancer Care Ontario(オンタリオ州政府)、およびオタワ病院基金による提供を受けた。

グラフ脚注(原文参照)SSE発生率は死亡を競合リスクとした場合のSSEの累積発生率とした。

翻訳三浦恵子

監修尾崎由記範(臨床腫瘍科/虎ノ門病院)

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原文掲載日

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