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75~79歳の早期乳がん患者では70~74歳と比較して、競合死亡率ならびに再発リスクが高い

  • 2019年5月27日
  • 発信元:欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

高齢(70歳以上)の早期乳がん患者を対象とした研究で、75-79歳の患者は70-74歳の患者と比較して、競合死亡リスク(乳がんが再発する前に別の原因で亡くなる割合)がより高いにもかかわらず、遠隔再発のリスクが高い

5月2~4日にドイツのベルリンで開催された欧州臨床腫瘍学会乳がん学会議(ESMO Breast Cancer 2019) で発表された大規模集団ベースの研究結果により、早期乳がん手術の成功後、75〜79歳の患者は70〜74歳の患者と比較して遠隔再発のリスクが高かったことが明らかになった。

併存疾患またはその他の高齢者パラメータを含めることにより、競合死亡率を考慮に入れた予測ツールは、高齢患者の乳がん管理を改善する上で重要な役割を果たす可能性がある。 

オランダ、ライデンにあるライデン大学医療センター外科のAnna Z. de Boer氏らは、2003~2009年に早期乳がんと診断され、手術を受けた70歳以上のがん患者をオランダがん登録で特定した。

研究者らは、累積発生割合競合リスク(CIRC)の方法を使用して、年齢区分に応じて局所領域再発および遠隔再発の累積発生割合を計算した。さらに、Fine-Grayモデルを使用して再発に対する年齢の影響を推定し、これを部分分布のハザード比(sHR)として表した。

75~79歳の患者は、遠隔再発のリスクが最も高かった

この解析の対象患者18,419人を年齢別に70~74歳(参照群)、75~79歳、80歳以上の3つのグループに分類した。9年間における局所領域再発の累積発生割合は、70~74歳、75~79歳および80歳以上の患者でそれぞれ2.5%、3.1%および2.9%であり、遠隔再発では、それぞれ10.9%、15.9%、12.7%であった。

単変量解析では、高年齢層2群(75~79歳および80歳以上)は、70~74歳の参照年齢群と比較すると、局所領域再発および遠隔再発のより高いリスクと関連していた。

腫瘍と治療の特徴に応じて調整した多変量解析では、遠隔再発のリスクは75~79歳の患者において依然として有意に高かった(sHR 1.25; 95% 信頼区間 [CI], 1.11-1.41; p < 0.001)。

しかしながら、このリスク増加は、80歳以上の患者では観察されなかった(sHR 1.03; 95% CI, 0.91-1.17; p = 0.606)。

多変量解析では、年齢と局所領域再発リスクとの間に有意な関連性はみられなかった。

結論
著者らは、この大集団ベースの研究によって、75~79歳の患者は、70~74歳の患者の参照群と比較して競合死亡リスクがより高いにもかかわらず、遠隔再発のリスクが高かったことが明らかになったと結論づけた。

また、年齢および過少治療により治療効果が低下した可能性があると説明し、高齢の乳がん患者に対する治療法を改善することが重要であると強調した。

情報開示
この研究の資金は、ZonMw社から提供された。

翻訳畔柳祐子

監修辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター) 

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原文掲載日

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