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卵巣がんオルガノイドのバイオバンクは研究とプレシジョン医療の 資源を提供する

2019年4月22日に掲載されたNature Medicine誌の記事に、オランダのユトレヒトにあるユトレヒト大学医療センター(UMC)分子医療センターのWigard P. Kloosterman氏およびオランダ王立芸術科学アカデミーのヒューブレヒト研究所およびUMCのHans Clevers氏が率いるオランダの研究者チームが、患者腫瘍の病理組織学的および分子特徴を再現し、臨床前研究の資源を提供する卵巣がんオルガノイドが確立されたバイオバンクから得た研究結果を報告している。

卵巣がんは通常、進行がんとなって診断されるさまざまな要素が混在(腫瘍不均一性)した疾患である。卵巣がんの特徴および腫瘍不均一性をとらえる生体外実験モデルの確立には限界があり困難であると著者らは研究の背景に記述した。

研究者らは卵巣がんオルガノイドを効率的に派生させ長期にわたり増殖することを可能にするプロトコルを確立した。このプロトコルを利用することにより、主要な卵巣がんの亜型すべてを示すオルガノイド株を32人の患者から56個樹立した。

卵巣がんオルガノイドから卵巣がんに由来する病変の組織学的およびゲノムの特徴が再現され、その結果、患者内および患者間の病態の不均一性が表現できることを研究チームは示唆している。また、卵巣がんオルガノイドは遺伝子操作が可能である。

さらに卵巣がんオルガノイドが有効な薬剤のスクリーニングに利用できることを示した。卵巣がんオルガノイドは異なる腫瘍亜型別に白金製剤を用いた標準化学療法への有効性を示すことができ、再発時の化学療法に対する獲得耐性を示すことも含む。最終的に卵巣がんオルガノイドは異種移植が可能で、生体内での薬剤感受性試験が可能になる。

この研究結果により、研究チームは研究および個別化医療に卵巣がんオルガノイドを適用できるという結論を導き出した。

著者らは、医療倫理支援、臨床データ提供、DNA単離の支援、オルガノイド培養など異なる領域で本研究を支援した多くの仲間の尽力およびユトレヒトのUMCで患者選定および組織入手を実施したUtrecht Platform for Organoid Technologyに対し謝意を表した。NKI(オランダがん研究所)the Mouse Clinic for Cancer and Ageingの前臨床研究部門による介入研究が実施された。筆頭著者はMarie Skłodowska-Curie IFの助成金よる支援を受けており、本研究の資金はGravitationプログラムである CancerGenomiCs.nl、オランダ化学研究組織の助成金、Stand Up to Cancer International Translational Cancer Research Grant、AACRが運営するEntertainment Industry Foundationのプログラム、オランダがん研究資金、Gieskes Strijbis Foundationの助成金によるものである。

参考文献

Kopper O, de Witte CJ, Lõhmussaar K, et al. An organoid platform for ovarian cancer captures intra- and interpatient heterogeneity. Nature Medicine; Published online 22 April 2019

翻訳松長愛美

監修喜多川亮(産婦人科/東北医科薬科大学病院)

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