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免疫療法薬による維持療法は進展型小細胞肺がんの生存を改善しない

進展型小細胞肺がん(SCLC)に対する維持療法としての免疫療法薬の使用は生存を改善しなかったことが、CheckMate 451試験の最新結果から明らかとなった(1)。この結果は2019年欧州肺がん学会(ELCC)で本日発表された。

小細胞肺がん患者の約60~70%は診断時に病気が広範囲に及んでいる。これは片側肺および隣接リンパ節以外にも転移しており、放射線療法では治療できないことを意味している。多くの患者は化学療法が奏効するが、奏効期間は通常短く、がんは短期間のうちに増殖する。化学療法後の標準的なアプローチは、がんが増殖してからの介入である。本試験では、化学療法が奏効した後、維持療法として免疫療法薬の投与を行い、標準的アプローチより早く対処する方法が全生存を改善するかどうか検証した。

本試験には、化学療法4サイクル実施後、がんが増悪しなかった進展型小細胞肺がん患者834人が登録された。患者は、ニボルマブ+イピリムマブ併用免疫療法群、ニボルマブ単剤投与群、プラセボ投与群の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。患者は、2年間もしくはがん増悪、死亡、または許容できない毒性が生じるまで治療を受けた。

プラセボ群に比べて、免疫療法併用群(こちらの比較が本試験の主要評価項目)もニボルマブ単剤投与群も全生存の有意な延長はみられなかった。本試験の著者である、米国アトランタのエモリー大学ウィンシップがん研究所Clinical and Translational Review Committeeの共同議長であるTaofeek Owonikoko教授は、この結果について「全く期待外れの結果に終わりました」と述べた。

しかし、Owonikoko教授は続けた。「プラセボ群と比べ、免疫療法併用群またはニボルマブ単剤投与群の患者ではがんが増悪するまでの時間が長くなりました。これは本試験の主要評価項目ではなかったため、確定的な結論を出すことはできませんが、特に免疫療法が奏効している患者において、この戦略が期待できることが示されました。化学療法完了後すぐに維持療法を開始した患者の方が利益が大きいとみられたため、免疫療法が奏効する患者をいかに選択し特定するかが課題となるでしょう」。

有害事象率は、ニボルマブ+イピリムマブ併用投与群で86%であったのに対し、ニボルマブ単剤投与群では61%、プラセボ投与群では50%であった。毒性による試験中止率は、免疫療法併用群で31%であったのに対し、ニボルマブ単剤投与群では9%、プラセボ投与群では1%未満であった。治療による死亡は、ニボルマブ+イピリムマブ併用投与群で7人(2.5%)、ニボルマブ単剤投与群とプラセボ投与群で各1人であった。

この結果へのコメントとして、今年度のELCC共同議長であるPilar Garrido医師は次のように述べた。「これは患者選択をしないで小細胞肺がんを対象とした場合の維持免疫療法の限界だと思われます。これ以前に行われた比較的小規模な試験でも否定的な結果でした(2)。無増悪生存の結果は肯定的なようですが、本試験のデザインでは、主要評価項目が否定的な結果であるため無増悪生存の結果を考慮に入れることはできません。さらに、毒性による死亡や試験中止に関して問題があります」。

スペインのマドリッドにあるRamón y Cajal大学病院腫瘍内科学部、胸部腫瘍科長であるGarrido氏は、小細胞肺がんのトランスレーショナルリサーチに関しては明確な課題があると言う。「小細胞肺がんは『難治性』疾患であり、この領域の研究は特に困難です。その理由として、疾患の増悪が非常に速く進むこと、組織が入手困難であることなどがあります」。肯定的なデータもいくつかあるが、免疫チェックポイント阻害薬の最終的な役割は、進行中の試験結果により明らかになるであろう。

効果予測バイオマーカ―は、免疫チェックポイント阻害薬での治療が有効な小細胞肺がん患者の特定に不可欠であり、前向き試験で評価して免疫応答の複雑性の理解を深めるべきである。

維持療法が奏効する患者集団が存在するかどうかに関して、Garrido氏は「本試験では否定的であり、現在の知見からは明言するのが難しいと思われます。小細胞肺がん患者に対する新たな治療選択肢が切望されているため、質の高い研究への取組が鍵となります」とまとめた。

参考文献
1. Abstract LBA-1_PR ‘Nivolumab (nivo) plus ipilimumab (ipi), nivo, or placebo (pbo) as maintenance therapy in patients (pts) with extensive disease small cell lung cancer (ED-SCLC) after first-line (1L) platinum-based chemotherapy (chemo): Results from the double-blind, randomized phase III CheckMate 451 study‘ will be presented by Taofeek Owonikoko during the Proffered Paper Session on Thursday, 11 April, 14:45 to 16:15 (CEST) in Room B.
Annals of Oncology, Volume 30, 20019 Supplement 2. doi:10.1093/annonc/mdz072
2. Gadgeel SM, Ventimiglia J, Kalemkerian GP, et al.
Phase II study of maintenance pembrolizumab (pembro) in extensive stage small cell lung cancer (ES-SCLC) patients (pts). J Clin Oncol. 2017;35:8504. doi:10.1200/JCO.2017.35.15_suppl.8504.

翻訳太田奈津美

監修後藤 悌(呼吸器内科/国立がん研究センター)

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