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デュルバルマブ治療でPD-L1発現レベルとQOLに関連性は認められず

デュルバルマブまたはプラセボを投与された3期非小細胞肺がん患者において、患者報告転帰(PRO)はいずれのPD-L1発現グループにおいてもITT集団と一致

PD-L1発現レベルは、概して生活の質に影響を与えず

局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者(ITT集団*試験開始時の治療意図に基づく集団)を対象としたPACIFIC試験において、デュルバルマブがプラセボとの比較で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に延長し、かつ、安全性は同等であり、患者報告転帰(PRO)は劣っていなかった。第3相PACIFIC試験におけるPD-L1発現状態別の患者報告転帰(PRO)の解析によると、PD-L1発現別の患者報告転帰は、ITT集団の患者報告転帰と概ね一致しており、このことは、患者の症状、機能、および全般的健康(global health status/生活の質(QoL))がPD-L1発現にかかわらず維持されたことを示唆していた。これらの結果は、4月10~13日にスイスのジュネーブで開催された2019年度欧州肺がん学会(ELCC)で発表された。

PACIFIC試験は、切除不能3期局所進行非小細胞肺がんを有し、プラチナベースの同時化学放射線療法(cCRT)後に疾患の進行が認められなかった患者に対して実施された。デュルバルマブにより、プラセボと比較して、無増悪生存期間および全生存期間が有意に延長され、試験の主要評価項目を達成した。患者報告転帰では、デュルバルマブでもプラセボでも有害作用は報告されなかった。このことから、イタリアのミラノにあるFondazione IRCCS – Istituto Nazionale dei Tumoriの胸部科に所属するMarina C. Garassino氏らは、すべてのPD-L1発現グループにわたるデュルバルマブの利益/リスクプロファイルをより明らかにするため、腫瘍のPD-L1発現が患者報告転帰に与える影響についての後ろ向き研究を実施した。

PACIFIC試験では、患者に2サイクル以上の化学療法を含む同時化学放射線療法を実施した。その後、患者を、デュルバルマブ10 mg/kg投与群またはプラセボ投与群に2:1で無作為に割り付け、最長12カ月まで2週間ごとに静脈内投与を行った。可能な場合には、VENTANA SP263免疫組織化学アッセイを使用して、同時化学放射線療法前の任意の腫瘍組織にPD-L1腫瘍細胞(TC)発現についての試験を行い、事前指定されたカットオフ(25%)および事後のカットオフ(1%)を設定した。患者は、以下のようなPD-L1発現にしたがって解析された。腫瘍細胞の25%での状態(PD-L1発現が腫瘍細胞の25%未満か25%以上かどうか)、腫瘍細胞の1%での状態(PD-L1発現が腫瘍細胞の1%未満か1%以上かどうか)、およびPD-L1は不明。

患者報告転帰は、EORTC Quality of Life Questionnaire 30(QLQ-C30)およびlung cancer specific EORTC QLQ-LC13を使用して評価され、スコア範囲は両者の質問票で1~100であった。症状スケールのスコアが高いほど症状が重度であり、全般的健康スケールと機能スケールのスコアが高いほど健康状態や機能が良好であることを示している。

ベースラインからの変化を、全体、およびPD-L1状態別に、導出して集計した。悪化までの時間(TTD)のハザード比(HR)は、Cox比例ハザードモデルを使用して決定し、改善率のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰により決定した。

嚥下障害および脱毛症の改善は、両試験群で認められた

無作為に割り付けられた患者713人のうち、63%からPD-L1発現を測定するのに十分な質と量の組織試料が得られ、37%はPD-L1状態が不明であった。

PD-L1腫瘍細胞25%、腫瘍細胞1%、およびPD-L1不明のグループにおいてデュルバルマブとプラセボを比較した患者報告転帰の解析結果は、ITT集団で報告された結果と概して同様であった。大半の患者報告転帰(PRO)は、5つすべてのPD-L1発現別グループにおいてベースラインから経時的に安定のままであった。ベースラインから10ポイント以上の変化と定義された臨床的に意義のある差異は、デュルバルマブ群とプラセボ群間では認められなかった。

しかしITT集団と同様に、大半のPD-L1発現別グループで、48週目に開始時から臨床的意義のある以下のような改善が認められた。デュルバルマブ群における嚥下障害(平均的変化-8.1~-20.9)および脱毛症(平均的変化-15.5~-26.9)、プラセボ群における嚥下障害(平均的変化-10.4~-19.4)および脱毛症(平均的変化-15.8~-31.3)。

悪化までの時間についてPD-L1グループ別に患者報告転帰を解析した事前指定および事後の結果も、ITT集団の結果と概して同様であり、ハザード比と95%信頼区間はほぼ一致していた。

また、PD-L1グループ別の改善率によれば、患者報告転帰はITT集団と概して同様であり、オッズ比と95%信頼区間はほぼ一致していた。

結論

これらの結果に基づき、PD-L1サブグループ別の患者報告転帰の結果がITT集団の結果と概して一致しており、患者の症状、機能、および全般的健康が、PD-L1発現が腫瘍細胞1%未満の患者を含めてPD-L1発現にかかわらず維持されたことを示唆していたと、研究者らは結論づけることができた。

参照
LBA2 – Garassino MC, Paz-Ares L, Hui R, et al. Patient-reported outcomes (PROs) with durvalumab by PD-L1 expression in unresectable, stage III NSCLC (PACIFIC)

 

翻訳串間貴絵

監修川上正敬(肺癌・分子生物学/米国国立がん研究所)

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