2010/11/30号「世界との連携」特別号◆メディケア・メディケイドセンター(CMS)情報 | 海外がん医療情報リファレンス

2010/11/30号「世界との連携」特別号◆メディケア・メディケイドセンター(CMS)情報

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2010/11/30号「世界との連携」特別号◆メディケア・メディケイドセンター(CMS)情報

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年11月30日「世界との連携」特別号(Volume 7 / Number 23)


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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◇◆◇ メディケア・メディケイドセンター(CMS)情報解説 ◇◆◇
メディケア諮問委員会、プロベンジ(前立腺癌免疫療法薬)データを審議

11月17日、メディケア諮問委員会は前立腺癌免疫療法薬sipuleucel-T[シプロイセルT](市販名:プロベンジ[Provenge])に対して比較的強く支持することに合意した。メディケアの科学的根拠開発・保険適用範囲諮問委員会(Medicare Evidence Development & Coverage Advisory Committee;MEDCAC)は、現存のデータによりプロベンジが米国食品医薬品局(FDA)の承認した適応において有効であることを概ね認めた。FDAの承認したプロベンジの適応は、疾患症状がほとんどないか皆無である転移性前立腺がん患者男性への治療に対してである。委員会の決定は今年前半に設立された米国全国保険適用範囲分析会議(National Coverage Analysis;NCA)の一部として行われたものであり、NCAがシプロイセルT治療をメディケアの保険適用範囲内に収めるかどうかを判断することになる。

2010年4月にFDAはシプロイセルTを承認した。この承認はIMPACT試験と呼ばれる第3相臨床試験結果に基づいて行われた。この治療は患者自身から採取した白血球から調整した細胞を用いた治療であるため、自己由来細胞免疫療法と呼ばれるが、転移性のホルモン不応性前立腺癌患者男性の全生存期間の中央値を、プラセボ投与の対照群よりも4.1カ月延長させた。またこの治療による重篤な副作用はほとんど認められなかった。

担当者によれば、この治療では4〜6週間に3回行われるワクチン接種が行われ、その総費用は93,000ドルであるが、この治療を全国のメディケアを扱う保険業者すべてに対し保険適用範囲として扱わせるかどうかという問題についていくつかの疑問が生じたため、NCAが発足したという。

委員会では当該治療に関する一連の提議案に対して、1から5までの評価点をつけるやり方で投票が行われた。賛同しかねると思われる場合は1、高く評価する場合は5と評価する。症状のないか軽度の転移性前立腺癌患者男性における全生存期間の延長を裏づける科学的根拠の正当性に関する提議案では、委員会の平均評価点は3.6であった。また、ブルークロス・ブルーシールド技術評価センターによって独自に行われた技術評価では、シプロイセルTの有効性を裏づける科学的根拠は「中等度」であった。

委員会はシプロイセルTの全生存期間延長を示す臨床試験結果により、重度症候性の転移性前立腺癌患者男性や非転移性前立腺癌患者男性などに対する、いわゆる適応外使用が期待されるかという点に関しては否定的であった。この提議案に対する委員会の平均評価点は1.2であった。

会議のパブリックコメントの間、医学的専門家や患者団体代表はシプロイセルTへの支援強化を口々に訴えた。シプロイセルT以外の転移性ホルモン製剤不応性前立腺癌に対する唯一の承認薬である化学療法治療薬のドセタキセルには強い毒性があり、使用をためらう患者が多いと何人かの発表者がコメントした。カリフォルニアの前立腺癌専門医グループのDr. Mark Scholz氏は、「今や比較的全身状態が悪い患者に対しても、生活の質を落とすことなく投与できる効果的な治療薬が存在するのです」と述べた。

しかし委員会での議論のなかで、委員からはシプロイセルTとFDA承認を得た臨床試験に関する数々の質問が出された。そのなかで、IMPACT試験のシプロイセルT投与群に含まれる多くの男性患者が最終的にドセタキセル投与へと移行したという事実は全生存期間の数値を混乱させるものではないかといった疑念があった。しかし、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で示された試験データの追加解析によれば、シプロイセルT治療による全生存期間への影響はドセタキセル投与とは独立してみとめられるものであると、コロンビア大学のハーバート・アーヴィング総合がんセンターのDr. Daniel Petrylak氏は委員会に対して述べた。

また、プラセボ投与群のうち約3分の2が(増悪所見が認められた時点で)シプロイセル投与に移っており(「クロスオーバー」)、将来の使用可能性のため試験への登録時に採取・凍結保存されていた自己細胞から調整した免疫治療薬の投与を受けているため、これが全生存期間にどのような影響を与えているかは不明であるとの意見を表明した委員も数名いた。しかし、デューク大学総合がんセンターのDr. Daniel George氏は、今後予定されている会議で発表される解析結果で凍結製剤の投与を受けた患者で生存期間の延長が認められたことが示されるだろうと述べた。

「いずれにせよ、プロベンジの[生存期間]延長効果は低くなるでしょう」とGeorge氏は述べた。

FDAとの合意に基づいて、シプロイセルTの製造業者であるDendreon社はシプロイセルTの有効性と副作用を監視するため、1,500人以上の患者を対象とした「登録試験」を実施していると、同社の医学担当責任者であるDr. Mark Frohlich氏は述べた。

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窪田 美穂 訳
榎本 裕 (泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修
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