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Gabapentinにより乳癌患者のホットフラッシュが減少

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Gabapentinにより乳癌患者のホットフラッシュが減少

Gabapentin (Neurotin) Reduces Hot Flashes In Breast Cancer Patients
(Posted: 09/19/2005)Lancet誌の9月3日号によると、400人以上の乳癌患者の臨床試験でgabapentin (Neurontin®)が、ホットフラッシュの度合いや期間を効果的に軽減した。


要約
400人以上の乳癌患者が参加した臨床試験の結果、ガバペンチン(ニューロンティンR)を使用するとほてり(ホットフラッシュ)の度合いと持続が減少することがわかりました。

他のほてり治療薬とその効果については比較をする必要があるものの、乳癌治療における代表的な副作用であるほてりの減少に効果を発揮する、ホルモンを使用しない代替薬となりそうです。

出典 2005年3月 The Lancetより(ジャーナル要旨参照)

背景
ほてりはホルモンレベルの変化によって体の体温調節が阻害された場合に起こります。ほてりは化学療法(卵巣機能を停止することがある)を受けている若い乳癌患者に多くみられ、また代表的なホルモン治療薬であるタモキシフェン(Nolvadexa)、あるいはアロマターゼ阻害薬であるアナストロゾール(Arimidexa)など投与によって起こる主な副作用のひとつです。またホルモン治療をうけている前立腺癌患者にもほてりの副作用がみられます。

ホルモン補充療法(HRT)は閉経に関連するほてりを治療する目的で実施されています。しかしながら、HRTはエストロゲンによって腫瘍が増殖する乳癌患者には推奨されません。

ガバペンチンはほてりの治療に有望なホルモンを使用しない治療薬です。ガバペンチンは当初てんかんを抑える薬としてFDAに承認されましたが、その後痛みを軽減する目的でより広く使用されるようになりました。ガバペンチンは2003年に実施された無作為化臨床試験で59人の健康な閉経後女性に対して投与され、その結果ほてりの頻度と度合いを軽減することがわかりました。また、2004年に実施された乳癌患者におけるパイロットスタディーでも同様の結果がえられました。

ホルモンを使用しない治療薬としては他にベンラファクシン(抗鬱剤)及びクロジニン(高血圧治療薬)があげられます。

試験
今回の第3相臨床試験では乳癌を患っている420名の女性患者を対象に2001年の6月から2003年の7月までの間、ニューヨークのRochester Community Clinical Oncology Program(CCOP)の18施設で実施されました。臨床試験当時、化学療法をうけている患者はいませんでしたが、被験者のうち9%は今回の臨床試験に参加する以前に化学療法を受けており、8%は過去に放射線治療を受けていました。患者の大半が試験当時タモキシフェンを服用しており、全員に1日に2回~54回のほてりがみられました。年齢の中央値は55歳で、被験者の大半が白人でした。

本試験は二重盲検試験です。被験者は臨床試験の担当者によって3つのうちいずれかの治療群に割り当てられます:900mg/日群が144人、300mg/日群が137人、プラセボ群が137人。被験者全員が1日に3錠の錠剤を服用しました。被験者の殆どが8週間服用を継続しましたが、何名かは副作用及びその他の理由で投与を中止しました。49人(12%)が4週目までに、24人(5%)が8週目までに投与を中止しました。

患者はほてりの発現及びその重症度と持続を記録するために日記をつけていました。また他の症状に関しては担当医から尋ねられました。それらのデータは状況を記録するため患者が服用を開始する前及び、第4週と第8週に収集されました。

本試験はニューヨーク州ロチェスターにあるRochester Cancer Center大学 のJ. Pandya 医師を中心に実施されました。また、本試験には国立がん研究所の地域臨床癌研究計画(CCOP)が出資をし、ファイザー社が治験薬の提供をしました。

結果
投与開始4週間後、900mg/日の投与群についてほてりの重症度が49%減少しました。300mg/日の投与群は33%、プラセボ群は21%の減少でした。900mg/日投与群の患者は、ほてりの発現についても41%減少し、300mg/日投与群及びプラセボ群はそれぞれ、28%、18%の減少でした。これらの結果は統計学的に有意なものです。また、すべての治療群において第4週から第8週の間で僅かではありますが更にほてりの軽減がみられました。

患者は治療期間中に発現した症状の重症度について評価をしていました。疼痛と食欲の二つについてのみ、3つの治療群間で有意差がみられました。900mg/日を投与された患者について投与第4週の期間に食欲減退及び疼痛の減少がみられました。第8週においては、これらの差はなくなり、窮迫感、傾眠、疲労感、睡眠、記憶力、息切れ、悪心、嘔気についても治療群間での有意差はみとめられませんでした。

なお、患者の年齢及び患者が治療時にタモキシフェンを服用していたかどうか、また服用していた場合はその期間、などはこの試験結果に重大な影響を及ぼしませんでした。

コメント
ほてりを抑制することは、多くの女性にとって多大な利益となりますが、長期間にわたるホルモン療法は特に乳癌を患う患者またはそのリスクがある患者にとって容易な選択とはいえなくなりました、と国立癌研究所癌研究センターの臨床医師であるEng-Wong医師は述べています。同医師は次のようにも述べています。「そのため、現在ではほてりに対してはホルモンを使用しない治療を行う傾向があります。」「また、エストロゲンの作用を避けたいという目的もあります。」

治験責任医師のPandya医師は、ガバペンチンは耐用性が高く、「ホルモンを使用しない選択肢として考えるべきだ・・・」と述べています。

制限事項
Eng-Wong医師によると、現時点では、乳癌患者におけるほてりは多くの場合抗鬱剤であるベンラファクシンを用いて有効に治療が行われています。また複数の臨床試験の結果、ベンラファクシンで治療を実施した場合、ほてりの重症度が45-60%軽減し、副作用の発現についても最小限だったことがわかっています。

「ガバペンチンを望ましい治療法として考えるには、ベンラファクシンとの直接比較試験の結果及び、ガバペンチンが多くの乳癌患者に処方されているタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬に対してどのように作用するかについての試験結果をみたい」とEng-Wong医師は話しています。現行の研究はアロマターゼ阻害薬がアジュバントのホルモン治療として普及する以前に実施されたものです。

治験責任医師のPandya医師もより多くの臨床試験を実施する必要があると考えています。「“ガバペンチンとその他のほてり治療薬を比較する”臨床試験を実施するまでは、どの薬剤が最も効果があるのか、またそれぞれの薬剤によって生じる副作用の比較ができない」と医師は話しています。しかしながら、医師らはこれまでの研究ではクロニジンを投与するとほてりが37%減少し、ベンラファクシンでは61%減少することがわかっており、一方ガバペンチンではこの試験で46-48%の減少がみられたということに言及しています。

(てらしま 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

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