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ALL-2/急性リンパ性白血病の2つの治療を無作為比較した試験において生存率の優位性がみられた

  • 2005年5月1日

原文 
急性リンパ性白血病の2つの治療を無作為比較した試験において生存率の優位性がみられた
Randomized Trial of Two Therapies for Acute Lymphocytic Leukemia Finds Survival Advantage
メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター
2005/5/16
ASCO報告

オーランド、2005年5月16日 - 成人の急性リンパ性白血病(ALL)患者の標準的な治療と新しいレジメンを比較している無作為化前向き試験において、試験治療の群が明らかな優位性を示し、3年目、4年目、5年目で優位性を示し続けました。薬は、患者の白血病を完全寛解にすることを目的とした初期化学療法である導入療法として与えられました。高用量ミトキサントロンとシタラビンの併用の試験レジメンの投与を受けた患者は、ビンクリスチンとプレドニゾンベースレジメンの標準薬の投与を受けた患者と比較してより多く完全寛解となりました。メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの白血病の専門医であり、8年間にわたる多施設研究の主導著者であるMark A. Weiss医師は、米国臨床腫瘍学会の年次総会で、研究結果を発表しました。

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「成人のALLで行われた無作為化試験はほとんどありません。これは多分、この20年間で導入療法に焦点をあてた初めての研究です。そして、ある治療が他の治療より疾患を寛解させるのに優れていることが示されているように思われます」と、Weiss医師は説明しました。「これらの患者の生存率は初期の時点、両アームで同様でしたが、結果は2年後に分かれました。シタラビンと高用量ミトキサントロンで治療された患者は、3年目、4年目、5年目に生存率に優位性があるように思われました。生存率の違いは、患者群の一部の、治療がもっと難しい疾患になる遺伝子異常であるフィラデルフィア染色体陽性のALL患者により顕著なようでした」と彼は言いました。

 

試験は、導入療法として使用される2つのレジメンを調べました。試験に参加できたALLの患者164人は無作為化され、ビンクリスチン、プレドニゾン、シクロホスファミド、ドキソルビシンの標準レジメン(L-20)、あるいは高用量ミトキサントロンとシタラビンのALL-2レジメンのいずれかの投与を受けました。治療の24ヵ月後、ALL-2レジメンを受けた患者78人の83パーセントが完全寛解したのに対し、L-20を受けた患者86人では71パーセントでした。生存率中央値は、ALL-2で治療を受けた患者の24ヵ月に対し、L-20で治療を受けた患者は22ヵ月で同等でした。
しかし、患者が試験で2年目を迎えた後、生存曲線は変化をみせ始めます。この傾向は、治療の開始後、5年間を通して続きます。

 

  • 3年後、ALL-2患者の45パーセントが生存していたのに対し、L-20患者では33パーセントでした。
  • 4年後、ALL-2患者の35パーセントが生存していたのに対し、L-20患者では24パーセントでした。
  • 5年後、ALL-2患者の34パーセントが生存していたのに対し、L-20患者では21パーセントでした。

ALL-2レジメンによる治療は、フィラデルフィア染色体のALL患者30人においても優れた結果でした。それは完全緩解の頻度を改善し、そのうえ6年後の生存率も優れた結果のようでした。ALL-2のフィラデルフィア染色体をもつ患者の85パーセントが完全寛解を成し遂げたのに対し、L-20では47パーセントでした。フィラデルフィア染色体をもつ患者の6年間生存率はALL-2患者で26パーセント、もう一つのレジメンを受けた患者で6年後の生存はありませんでした。

 

Weiss医師に加え、この試験に参加したALL-4 Consortiumのメンバーはメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター、クリーブランドクリニック財団、デューク大学医療センター、エモリー大学医療センター、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、スタンフォード大学医療センター、ウェストチェスター医療センターからの医師たちです。
研究は、Victoria’s Smile Foundation、 Immunex社(Amgen社), Rhone-Poulenc社 (Sanofi-Aventis社), Berlex社, OSI Pharmaceuticals社からの補助金によって資金の一部が供給されました。

 

急性リンパ芽球性白血病とも呼ばれる急性リンパ性白血病は子供の中でみられる白血病の最も一般的なタイプですが、成人ではそれほど一般的ではありません。米国癌学会の推測によると、今年およそ3,970人がALLと診断されていて、1,490人はこの病気で死亡します。成人の白血病の治療アプローチは、一般的に化学療法で、幹細胞移植が行われるばあいもあります。

メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターは、癌の防止、患者ケアー、研究、教育を専門とする施設として世界で最も古く、最も大きな所です。我々の科学者と臨床医は、よりよく癌を理解し、診断し、治療するために、革新的なアプローチを生み出しています。我々の専門家は、生物医学研究のリーダーで、世界中で癌治療の標準を進めるために最新の研究を適用することの最先端にいます。

 

(HAJI 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

 

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