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血液腫瘍遺伝子変異量がアテゾリズマブ奏効を予測

非小細胞肺がんにおけるアテゾリズマブ奏効の予測バイオマーカーとして、血液腫瘍遺伝子変異量(TMB)の有用性が示される

非小細胞肺がん(NSCLC)患者のおよそ30%では、診断時に分子検査に用いる腫瘍組織が不十分である。そのため、血液検体を用いた腫瘍遺伝子変異量(TMB)は、チェックポイント阻害剤による治療を受ける患者に対する効果予測因子として研究されているバイオマーカーである。

血液TMB高値のPD-L1未選別の患者において、局所進行または転移非小細胞肺がんへの一次治療としてのアテゾリズマブ単独療法は奏効率がより高く、生存が改善されたことが、ドイツのミュンヘンで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2018年度学術集会で報告された知見により示された。

著者らは以前にランダム化第3相OAK試験および第2相POPLAR試験による後ろ向き解析について報告している。これらの分析では、血液および組織で検出されたTMBによって、非小細胞肺がん患者への二次治療として投与されたアテゾリズマブの有用性を予測できる可能性が示された。

ESMO2018年度学術集会では、米国シャーロットにあるカロライナス・ヘルスケアシステムのアトリウム・ヘルス・レビンがん研究所の固形腫瘍学および実験的治療部門のKim教授が、前向き第2相試験であるB-F1RST(NCT02848651)試験についての主要有効性の結果を報告した。この試験は、PD-L1未選別である局所進行または転移非小細胞肺がん患者に一次治療として投与されたアテゾリズマブについての予測バイオマーカーとして、新たな血液ベースのTMB測定系の有用性を評価するものである。

B-F1RST試験では、152人の患者が治療意図による(ITT)集団に含まれ、疾患が進行するまで、または臨床的有用性が失われるまで、アテゾリズマブ1200mgを3週間ごとに経静脈投与された。この群において、119人の患者がバイオマーカー評価可能集団(BEP)に含まれた。アテゾリズマブの臨床的有用性は、事前に指定された、TMB高値とされる血液TMBカットオフ≧16、またはTMB低値とされる<16により評価された。主要評価項目は、客観的奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)であった。

ITT集団において、119人の患者は血中循環腫瘍(ct)DNAを十分に有し、体細胞の最大対立遺伝子頻度(MSAF)は≧1%であり、バイオマーカー評価可能集団に含まれた。29人の患者は腫瘍から血液中へのctDNA流出が不十分であり(MSAF<1%)、バイオマーカー評価不可能集団に含まれた。

結果
6カ月の最小フォローアップにおいて、ITT集団全体の客観的奏効率は14.5%であり、 バイオマーカー評価可能集団では10.1%であった。バイオマーカー評価不可能集団においては、予後は良好であり、客観的奏効率は34.5%であった。

事前に指定された血液TMBカットオフ≧16では、血液TMBが高値(≧16)の患者対低値(<16)の患者でアテゾリズマブ奏効を評価したところ、客観的奏効率は28.6%対4.4%であった。無増悪生存期間については、血液TMB低値の患者は無増悪生存期間中央値が3.7カ月であり、血液TMB高値の患者では4.6カ月であった。ハザード比0.66(90% CI 0.42 – 1.02)。

全生存期間(OS)中央値は血液TMB高値の患者では推定不可能(NE)であり、血液TMB低値の患者では13.1カ月であった。ハザード比0.77。90% CI, 0.41 – 1.43 (p = 0.48)。

ITT集団では、治療に関連した重篤な有害事象(AE)が患者の13%に発生し、患者の20%に治療に関連したグレード3/4の有害事象が発生した。有害事象によって患者の15%がアテゾリズマブによる治療を中止した。

事前に指定されたTMBカットオフ値によるアテゾリズマブ奏効に関する追加解析

血液TMBカットオフが10から20の範囲で上昇すると、無増悪生存期間のハザード比1.09 (血液TMB≧10)から0.48(血液TMB≧20)へと改善し、血液TMBスコアの増加と臨床転帰の改善に比例した相関関係があることが浮き彫りになった。

論点

試験の知見について議論したグスタフ・ルッシーがん研究所のがん内科学部門主任および欧州がん研究治療機関(EORTC)肺がんグループ主任のBenjamin Besse教授は、リキッドバイオプシーの役割が鍵であるだろうと語った。B-F1RSTには重要な知見があるが、血液TMBではより感受性の高い腫瘍を同定できない可能性がある。

結論

B-F1RSTの主要解析により、進行肺がん患者への一次治療としてのアテゾリズマブ単独療法に対する効果予測バイオマーカーとして、血液TMBの臨床的有用性を評価する初の前向きデータセットが示された。事前に指定されたカットオフ値の血液TMB≧16では、患者に無増悪生存期間、客観的奏効率、および全生存の数値において利益がみられ、これは中間データと一貫性があると、著者らは結論づけた。試験のフォローアップは最終解析まで継続する。

フォローアップはプロトコルの規定に従って18カ月以上継続すると、彼らは報告した。

開示

この試験はF. Hoffmann-La Roche AGから資金援助を受けた。

参照

LBA55 – Kim ES, Velcheti V, Mekhail T, et al. Primary efficacy results from B-F1RST, a prospective Phase II trial evaluating blood-based tumour mutational burden (bTMB) as a predictive biomarker for atezolizumab (atezo) in 1L non-small cell lung cancer (NSCLC)

 

 

翻訳串間貴絵

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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原文掲載日

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