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ニボ+低用量イピ併用が転移大腸がんの新たな一次治療になる可能性

[ESMO 2018プレスリリース]

ニボルマブと低用量イピリムマブを併用する免疫療法が一部の転移性大腸がん(遠隔転移を有する、切除不能な大腸がん)の患者の新たな一次治療になる可能性が、CheckMate-142試験の最新結果で示された。本結果は、ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2018で報告された。(1)

この薬剤の併用療法が腫瘍を縮小させ、マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)転移性大腸がん患者の生存に有意な改善をもたらした。

転移性大腸がんの約4%はMSI-Hであり、ミスマッチ修復欠損とも呼ばれている。これは、腫瘍細胞内に通常DNAを修復する遺伝子に変異があることを意味する。一次治療として化学療法を投与した場合、MSI-H腫瘍がある患者の生存期間(14-19カ月)は、非MSI-H腫瘍の患者(17-25カ月)と比べて短い。(2、3)

第2相CheckMate-142試験により、ニボルマブ+低用量イピリムマブ併用免疫療法は化学療法に耐性を示すMSI-H転移性大腸がん患者において持続的な臨床的有用性をもたらすとともに、副作用が管理可能であることがわかったため、米国食品医薬品局(FDA)の承認につながった。

本日、MSI-H転移性大腸がんに対する治療歴のない患者を対象にしたCheckMate-142試験結果が初めて報告される。試験には45人の患者が登録された。年齢中央値は66歳であり、51%は男性であった。主要評価項目の客観的奏効率を調べるため、患者は中央値13.8カ月間、追跡調査された。

客観的奏効率は60%であり、患者の7%は完全奏効であった。およそ84%の患者では腫瘍が縮小した。治療奏効までに要した期間の中央値は2.6カ月であった。奏効期間中央値、無増悪生存期間中央値、および全奏効期間中央値はいまだ到達していない。12カ月無増悪生存率および全生存率はそれぞれ77%と83%であった。

ニボルマブ+高用量イピリムマブについては他の試験で検証されたことがあったが、CheckMate-142試験ではニボルマブと低用量のイピリムマブを併用することで毒性減少という結果を得た。治療に伴うグレード3と4の毒性は患者の16%で報告され、患者の7%が治療関連有害事象のために治療を中止した。

米国ロサンゼルス、南カリフォルニア大学ノーリス総合がんセンター消化器がんプログラム共同リーダーであり、本試験著者でもあるHeinz-Josef Lenz教授は言う。「低用量イピリムマブとニボルマブの併用投与は、MSI-H転移性大腸がんの患者に対して持続的な臨床的奏効をもたらし、一次治療として良好な忍容性を示しました。そのデータは、ニボルマブとイピリムマブの併用投与がこれらの患者に対する一次治療の選択肢となる可能性を示唆しています」。

フランスのAssistance Publique – Hôpitaux de Parisサン・タントワーヌ病院腫瘍内科部長であるThierry André教授は、ESMOの結果について次のようにコメントした。「ニボルマブと低用量のイピリムマブの併用投与は、MSI-H転移性大腸がんの大半の患者に効果があります。患者は劇的に症状が改善し、中には仕事に復帰する人もいます。それは、医療制度が資源を効果的に提供できていることを意味しています。このことは免疫療法が有効な患者の選択がより難しい他の転移がん(メラノーマ、肺、および腎臓)とは対照的です」。

この第2相試験結果により、製薬会社はこの免疫療法薬併用をMSI-H転移性大腸がんの一次治療としてFDAに承認申請するかもしれないとAndré 氏は述べた。しかし、おそらく欧州医薬品局(EMA)は第3相ランダム化比較試験を求めるだろう。MSI-H転移性大腸がんを対象とした現在進行中の第3相KEYNOTE-177試験では、一次治療として、ペンブロリズマブ治療群に対し、分子標的薬+化学療法併用群もしくは分子標的薬を使用しない化学療法群が比較検討されており、2019年に最初の結果が出る予定である。「もう一つの課題は、MSI-H転移性大腸がん患者の一次治療にニボルマブ+イピリムマブ併用群がニボルマブ単剤群よりも優位であるかどうかです。CheckMate-142試験の過去の結果から間接比較をすると、治療歴のあるMSI-H転移性大腸がん患者において、ニボルマブ+低用量イピリムマブ併用群はニボルマブ単剤群と比べ、有効性が優れていました」と、André氏は語った。

参考文献:

  1. Abstract LBA18_PR ‘Durable clinical benefit with nivolumab (NIVO) plus low-dose ipilimumab (IPI) as first-line therapy in microsatellite instability-high/mismatch repair deficient (MSI-H/dMMR) metastatic colorectal cancer (mCRC)‘ will be presented by Heinz-Josef Lenz during Proffered Paper  Session on Monday 22 October, 09:15 to 10.50 (CEST) in Hall A2 – Room 18. Annals of Oncology, Volume 29 Supplement 8 October 2018
  2. Heinemann V, et al. Somatic DNA mutations, tumor mutational burden (TMB), and MSI Status: Association with efficacy in patients (pts) with metastatic colorectal cancer (mCRC) of FIRE-3 (AIO KRK-0306). J Clin Oncol. 2018;36:3591–3591. doi: 10.1200/JCO.2018.36.15_suppl.3591
  3. Venderbosch S, et al. Mismatch repair status and BRAF mutation status in metastatic colorectal cancer patients: a pooled analysis of the CAIRO, CAIRO2, COIN, and FOCUS studies. Clin Cancer Res. 2014;20:5322–5330. doi: 10.1158/1078-0432.CCR-14-0332.
  4. Overman MJ, et al. Durable Clinical Benefit With Nivolumab Plus Ipilimumab in DNA Mismatch Repair-Deficient/Microsatellite Instability-High Metastatic Colorectal Cancer. J Clin Oncol. 2018;36:773–779. doi: 10.1200/JCO.2017.76.9901. 

詳細は原文参照のこと。

翻訳水町美和

監修野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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