[ 記事 ]

オラパリブの維持療法、進行卵巣がんの無増悪生存を3年延長の見込み

第3相SOLO-1試験の結果から、BRCA1または2の遺伝子変異を有する、新たに進行卵巣がんと診断された患者において、PARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害剤であるオラパリブを用いた2年間の維持療法により、無増悪生存期間(PFS)に前例のない顕著な改善が示された。(1)

「PFSの中央値は、プラセボ群の患者ではわずか13.8カ月であるのに対し、オラパリブ群の患者では未到達ですが、プラセボ群と比較して約3年間長くなると考えられています[ハザード比:0.30(95%信頼区間:0.23, 0.41)、p<0.0001]」と、米国オクラホマ大学Stephenson Cancer Centerの准教授であるKathleen Moore医師は2018年のESMO学術大会で結果を報告した。

「初回治療によって患者の一部に治癒をもたらすことができたかどうかを結論づけるにはまだ早いのですが、4年無増悪生存率がプラセボ群ではわずか11%であるのに対し、オラパリブ群の女性患者では50%以上と予測されているという事実が、この療法による『治癒の望み』を示しています」とMoore医師は述べた。「SOLO-1試験の結果は、BRCA遺伝子変異(BRCA1および2のいずれも)を有する進行卵巣がんと診断された女性患者に対する治療の新しい時代の到来を告げています。この試験では、プラセボと比べてオラパリブでPFSの注目すべき改善が示され、その効果がオラパリブ投与終了後2年も維持されていることが確認されました」とMoore医師は続けた。

SOLO-1試験は、BRCA変異を有し、新たに進行卵巣がん(FIGO病期分類III~IV期)と診断された患者を対象とした、プラチナ製剤ベース化学療法後のオラパリブによる維持療法を評価する初めての二重盲検前向き第3相ランダム化試験である。「この試験により、この女性患者集団の転帰を前向きに収集した最初の大規模なデータセットが示されます」とMoore医師は述べた。

試験参加時点で化学療法完了後に完全奏効または部分奏効している、高悪性度の漿液性卵巣がんまたは類内膜性卵巣がん患者計391人を、2年間、オラパリブ300 mg 1日2回を投与する群またはプラセボを投与する群に2:1(260人:131人)の比率で無作為割り付けした。主要評価項目は、無作為割り付け時からのPFS(治験責任医師による評価)であった。副次的アウトカムには、無作為割り付けから二次進行までの時間であるPFS2、全生存期間、およびQOLが含まれた。追跡期間の中央値は41カ月であった。

オラパリブの維持療法を受けた患者ではPFS2が顕著に改善され、PFS2の中央値はプラセボ群で41.9カ月、オラパリブ群では未到達[ハザード比:0.50(95%信頼区間:0.35, 0.72)、p=0.0002]であった。

オラパリブで最も多くみられたグレード3以上の有害事象は、貧血(22%)および好中球減少症(8%)であった。投与群の間で、臨床的上問題となるQOLの変化は認められず、病勢の進行ではなく毒性によりオラパリブの投与を中止した患者がわずか12%であったことが示すとおり、オラパリブ投与の忍容性は良好であった。

また、QOLに何ら影響を及ぼすことはなかった。

「病勢進行状態において特筆すべき結果が得られています。オラパリブは効果的であっただけでなく、その忍容性も良好でした」と、Université Claude Bernard Lyon Est(フランス、リヨン)のIsabelle Ray-Coquard教授はESMOでの報告結果に対してコメントした。「この所見は、BRCA変異を有する患者サブグループにおける臨床治療をきっと変えることでしょう」。

「現在、2つの問題が残っています。この試験で認められた有益性を、すべての高悪性度の漿液性卵巣腫瘍に適用させることはできるでしょうか。PARP阻害剤を用いた維持治療を受けた全患者の再発に関する既存の結果を鑑みますと、高悪性度の漿液性卵巣がんまたは類内膜性卵巣がんを有するすべての患者に対して、非常に優れた結果が期待できます」と、Ray-Coquard氏は続けた。「また、最善の維持療法は何でしょうか。多くの国において、大部分の進行がんに対する標準的な一次治療は、化学療法とベバシズマブの維持療法です。しかし、オラパリブ単独による維持療法と、ベバシズマブとオラパリブの併用療法の、いずれが望ましいか、という問題が残っています。PAOLA 1試験により一部の情報が提供され、来年に明らかになるでしょう」。

参考文献

  1. Abstract LBA7_PR ‘Olaparib maintenance therapy following first-line platinum-based chemotherapy in patients with FIGO stage III–IV ovarian cancer (OC) with a BRCA1/2 mutation (BRCAm): Phase III SOLO1 trial‘ will be presented by Kathleen Moore during Presidential Symposium on Sunday, 21 October, 16:30-18:10 in Room 18 – Hall A2. Annals of Oncology, Volume 29 Supplement 8 October 2018

翻訳瀧井希純

監修原野謙一(乳腺・婦人科腫瘍内科/国立がん研究センター東病院)

原文を見る

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事