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免疫療法薬+TKI併用は未治療腎がんの無増悪生存を有意に改善

第 3相試験においてアベルマブ(免疫チェックポイント阻害剤)とアキシチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬:TKI)の併用療法により、治療歴のない進行腎細胞がん(RCC)患者の無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したと、欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2018で発表された。

PFS中央値は、プログラム細胞死リガンド1陽性(PD-L1+)腫瘍を有する患者を対象とした場合、併用療法群では13.8カ月であったのに対し、スニチニブ群では7.2カ月であった(HR = 0.61; p < .0001)。一方、PD-L1発現を考慮しなかった場合、併用療法群では13.8カ月であったのに対し、スニチニブ群では8.4カ月であった(HR = 0.69; p = .0001)。客観的奏効率は併用療法群では55.2% (CI 95%:49.9, 61.2) であったのに対し、スニチニブ群では25.5 %(CI 95%:20.6, 30.9) であった。

「JAVELIN Renal 101試験は進行腎細胞がんの初回治療として、免疫チェックポイント阻害薬+チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)療法とTKI単独療法を比較した初の第3相試験となります」と、本研究を指導し、結果を発表したスローンケタリング記念がんセンター(米国、ニューヨーク州、ニューヨーク市)のRobert Motzer博士は述べた。 「本研究の知見により、進行腎細胞がん患者の新たな治療法としてアベルマブ+アキシチニブ療法が有益である可能性が裏づけられました。この併用療法が、患者サブグループすべてにおいて有益であったことが、研究者だけでなく独立審査によっても確認されました。その結果は、腫瘍細胞がPD-L1陽性である場合でも陰性である場合でも確認されたのです」、とMotzer博士は続けた。

これまでの治療法では、進行腎細胞がん患者の見通しは暗く、診断後5年の時点で生存している可能性は10%未満でした。

ですので、新たな治療法が必要です。 アベルマブは、プログラム細胞死リガンド1 PD-L1(に対するIgG1 モノクローナル抗体チェックポイント阻害薬)です。また、アキシチニブはチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の1種です。TKIはこれまでのところ、腎細胞がんの主な治療法として利用されてきました。「TKIとアベルマブのようなチェックポイント阻害薬はいずれも免疫調整機能を有すると考えられており、これらの併用によって、毒性を悪化させることなく、それぞれの治療薬単独よりも進行腎細胞がん患者に臨床的効果がもたらせる可能性があります。」と、Motzer博士は述べた。

JAVELIN Renal 101試験は国際ランダム化試験であり、すべてのMSKCC(スローンケタリング記念がんセンターMotzerスコア、試験組入れに関し、淡明細胞型腎細胞がん(mRCC)患者の選択に使用)予後サブグループ(良好、中等度、不良)を含む腎がん患者866例を組み入れ、一次治療として治療を行った。

アベルマブは442人の患者に対して10 mg/kgを2週間毎の静注(IV)でアキシチニブ5mgを1日2回の経口投与ともに投与した。対照群の患者は444人であり、スニチニブ50mgを1日1回4週間経口投与の後に2週間の休薬期間を設けた(4/2スケジュール)。主要評価項目はPD-L1+ 患者における無増悪生存期間(最長30カ月)と全生存期間(最長5年間)とした。

治療下で出現するグレード3以上の有害事象は、併用療法群の患者の71.2%、スニチニブ群の患者の71.5%が経験した。有害事象により投与中断に至った患者は併用療法群の22.8%、スニチニブ群の13.4%であった。

Barts Health NHS Trust(ロンドン、イギリス)のコンサルタント腫瘍内科医であるThomas Powles教授は本結果に関し、以下のようにコメントした。「本試験の結果には目を見張らされました。これまでの標準的な治療法と比べて奏効率が2倍であり、無増悪生存期間はランダム化試験としては非常に印象深いものです。本試験の治療法では、最も強力な治療薬を治療当初から併用投与しています。ですので、本治療法以外の免疫治療薬の併用で見られるような素晴らしい生存期間延長効果につながるかどうかは未確定です。」

翻訳三浦恵子

監修榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)

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