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カボザンチニブがPD-L1未選別の転移腎がん患者の生存を改善

転移を有する淡明細胞型腎細胞がん(mRCC)患者を対象にした2件のランダム化比較試験において、cabozantinib[カボザンチニブ](Cabometyx)による治療は、エベロリムス(アフィニトール)およびスニチニブ(スーテント)による治療よりも、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を一貫して延長したことが示された。この結果はドイツのミュンヘンで開催されたESMO 2018で試験責任医師らにより報告された。米国ボストンのダナファーバーがん研究所Genitourinary Medical Oncology部門のToni K. Choueiri氏らは、転移腎細胞がんにおいて、カボザンチニブ活性の有望な予後バイオマーカーまたは効果予測バイオマーカー、あるいはその両方として、免疫組織化学的検査により評価したPD-L1状態の有用性を検討した。Sabina Signoretti氏が本研究の統括著者である。

Choueiri教授は、CheckMate 214試験に基づき、腫瘍細胞のPD-L1発現が、ニボルマブ(オプジーボ)およびイピリムマブ(ヤーボイ)による治療を受けた患者で、スニチニブによる治療に比べて良好な転帰と関連していることに言及した(Motzer, ESMO 2017 Presidential session and NEJM 2018)。Choueiri氏およびSignoretti氏によるこれまでの試験により、転移腎細胞がん患者においてPD-L1発現はスニチニブによる治療の不良な転帰と関連していることが示されている(Choueiri,Clin Cancer Res 2015)。カボザンチニブは、ランダム化臨床試験CABOSUN(Alliance A031203; NCT01865747)およびMETEOR(NCT01835158)で示された抗腫瘍活性に基づく、転移腎細胞がん患者の一次治療および二次治療の選択肢の1つである経口キナーゼ阻害剤である。

CABOSUN試験に参加した患者110人およびMETEOR試験の患者306人から得られたホルマリン固定パラフィン包埋ベースライン腫瘍組織を用いて、試験責任医師らはPD-L1およびCD45 / CD163(免疫細胞マーカー)の免疫組織化学的二重染色を行い、腫瘍細胞と免疫細胞の双方のPD-L1発現を評価した。

PD-L1陽性の腫瘍細胞や免疫細胞の割合は、画像分析により評価された。分けたPD-L1発現が1%以上かどうかで判定した陽性腫瘍と陰性腫瘍のRECIST基準による全奏効率(ORR)の比較は、フィッシャーの直接確率法によって行い、コックス回帰を用いて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を各治療群の腫瘍PD-L1発現との相互関係を比較した。全奏効率、無増悪生存期間および全生存期間は、独立中央判定(ICR)によって評価した。

 

カボザンチニブは、PD-L1発現とは無関係に、エベロリムスまたはスニチニブと比べて
無増悪生存期間および全生存期間を延長した
METEOR試験検体の29%およびCABOSUN試験検体の23%にPD-L1陽性腫瘍細胞が含まれていた。

METEOR試験におけるカボザンチニブ治療とエベロリムス治療の比較では、独立評価委員会(IRC)による無増悪生存期間中央値はそれぞれ8.5カ月対5.6カ月(p = 0.027)であり、全生存期間中央値はそれぞれ21.3カ月対15.1カ月、p = 0.003であった。CABOSUN試験におけるカボザンチニブ治療とスニチニブ治療の独立評価委員会による無増悪生存期間中央値は、8.3カ月対5.5カ月であり(p = 0.059)、全生存期間中央値は28.1カ月対20.8カ月(p = 0.05)であった。

PD-L1発現状態別に無増悪生存期間について治療群を比較したところ、免疫細胞PD-L1、複合 PD-L1スコア、および異なるPD-L1判定閾値の使用など、さまざまなPD-L1測定において一貫した結果を示した。

単変量解析により、治療内容にかかわらず、両試験において腫瘍細胞のPD-L1値が1%未満の患者は、PD-L1陽性の患者よりも無増悪生存期間および全生存期間が長かった。

腫瘍細胞のPD-L1発現が1%未満の患者の無増悪生存期間中央値は、カボザンチニブ対エベロリムスで、8.5カ月(95%信頼区間[CI]、7.2 – 13.5)対4.1カ月(95%CI、3.7 – 6.0)であり、ハザード比(HR)は0.46(95%CI、0.32 – 0.66)であった。PD-L1発現が1%以上の患者の無増悪生存期間中央値は、カボザンチニブ対エベロリムスで、5.6カ月(95% CI、4.5 – 7.4)対3.7カ月(95%CI、2.5 – 5.3)であり、ハザード比は0.66(95%CI、0.40 – 1.11)であった。

CABOSUN試験では、PD-L1発現が1%未満の患者の無増悪生存期間中央値は、カボザンチニブ対スニチニブで、11.0カ月(95%CI、6.8 – 15.6)対5.0カ月(95%CI、3.0 – 12.9)、ハザード比は0.47(95% CI、0.26 – 0.86)であった。PD-L1の発現が1%以上の患者におけるそれぞれの治療群の無増悪生存期間中央値は、8.4カ月(95%CI、1.1 – 16.6)対3.1カ月(95%CI、1.6 – 10.1)であり、ハザード比は0.46(95%CI、0.18 – 1.21)であった。

いずれの試験においても、国際転移性腎細胞がんデータベースコンソーシアム(IMDC)予後リスク群および骨転移で調整した多変量解析では、統計学的有意差はなかった。

ディスカッションポイント
本試験結果のディスカッションに参加したスペイン、バルセロナVall d’Heebron Institute of OncologyのCristina Suárez氏は、単変量解析において、腫瘍細胞のPD-L1発現陽性の患者では無増悪生存および全生存が不良であると述べた。腫瘍細胞のPD-L1発現と全生存期間の関連は、双方の試験を組み合わせた多変量解析において統計的に有意であった。PD-L1陽性および陰性の双方の患者において、カボザンチニブはエベロリムスおよびスニチニブそれぞれと比較して優れた臨床的有効性を示した。免疫組織二重染色は、腫瘍細胞および免疫細胞のPD-L1状態を特徴づける安定で効率的な方法である。

結論

Choueiri教授らは、これらのデータにより、PD-L1非選別集団におけるカボザンチニブの使用、またおそらく、PD-L1の状態に無関係にチェックポイント阻害剤との併用が支持されると結論付けた。

参考文献

LBA 34 -Choueiri TK, Flaifel A, Xie W, et al. PD-L1 status and clinical outcomes to cabozantinib, sunitinib and everolimus in patients with metastatic clear-cell RCC treated on CABOSUN and METEOR clinical trials.

本試験は、Alliance for Clinical trials、Kidney Cancer SPORE and Program at Dana-Farber/Harvard Cancer Center、ExelixisおよびPhilantropic Fundsから支援を受けた。

 

 

 

 

翻訳坂下美保子

監修榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)

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