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EGFR変異肺がん(NSCLC)の一次治療にナザルチニブが顕著な効果

ナザルチニブは、EGFRの活性化および耐性変異を選択的に標的とする
第3世代の上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であるナザルチニブ(EGF816)の投与により、治療歴のないEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者で持続した効果が得られた。

このナザルチニブ単剤の第2相臨床試験からの主要な有効性および安全性のデータは、2018年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)(ドイツ、ミュンヘン)で発表された。

ナザルチニブは、T790M耐性変異に加え、L858Rおよびエクソン19欠失(ex19del)活性型変異を選択的に標的とし、野生型EGFR(変異無し)は標的としないと、シンガポール国立がんセンター(シンガポール)腫瘍内科部門のDaniel SW Tan氏は説明した。

ナザルチニブの第1/2相多施設共同臨床試験(NCT02108964:EUDRACT番号 2013-004482-14)は、EGFR L858Rやex19del活性型変異を含むEGFR変異を有する未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象として実施された。

45人すべての患者に、第2相臨床試験の推奨経口量である150mgを1日1回、連日投与した。

盲検独立中央審査(BICR)によって、主要評価項目であるRECIST v1.1に基づく全奏効率(ORR)を含む抗腫瘍効果を評価し、副次評価項目として安全性、忍容性および薬物動態を評価した。

試験において、年齢中央値64歳、患者の60%が女性、62%がアジア人であった。試験開始時点で58%の患者はECOGパフォーマンスステータス(全身状態評価)が 1であり、18人(45%)の患者に脳転移があった。EGFR変異は56%の患者がex19del、40%がL858Rであり、4%の患者には他のEGFR変異があった。

ナザルチニブによる高い奏効率および疾患制御率
45人の患者のうち29人が、ナザルチニブに効果を示し、全奏効率は64%(95%信頼区間[CI]、49%~78%)であった。1人の患者が完全奏効に達した。

2018年3月22日のデータカットオフ(症例登録締め切り)時点で、29人の奏効患者のうち27人は奏効が継続していた。6カ月奏効期間(DoR)を示した割合は91%、DoR中央値は未到達で評価不能(NE)であった。疾患制御率は93%であった。

ナザルチニブによる6カ月無増悪生存率(PFS)は83%であり(中央値は評価不能)、6カ月全生存率(OS)は95%であった(中央値は評価不能)。

試験開始時点において非標的病変で脳転移がある17人の患者の評価から、9人(53%)の患者の脳転移が消失したことが示された。試験開始時点で脳転移がない27人の患者のうち1人に、試験中に新規の脳転移が発現した。

ナザルチニブの忍容性は良好
45人の患者のナザルチニブ投与期間中央値は43.3週であった。

因果関係にかかわらず、高い頻度で報告された有害事象(いずれかのグレードで20%以上に発現)として、下痢(38%)、斑点状丘疹(31%)、口内炎(24%)、咳嗽(22%)、食欲低下(22%)、搔痒(そうよう)症(20%)および発熱(20%)があった。

最も高い頻度で発現したグレード3~4の有害事象(≧5%)は斑点状丘疹で、患者の9%でみとめられた。

ナザルチニブによる治療を中止した理由の内訳は、病態進行9人、有害事象(斑点状丘疹)1人、患者自身の選択1人、死亡1人であった。

論点
試験結果を考察した、クリスティ・アンド・マンチェスター大学病院(英国、マンチェスター)腫瘍内科部門のRaffaele Califano医師は、試験結果からナザルチニブが血液脳関門通過性にすぐれた有効な第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であることが示されると述べた。ナザルチニブは、無増悪生存率(PFS)、奏効期間(DoR)および生存率(OS)に関するデータがまだ十分でなく、オシメルチニブに比べてグレード3以上の発疹の発生率が高い。しかしながら、Raffaele Califano医師は、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬がさらに必要かどうかを問題提起した。

結論
投与開始時点で脳転移がある患者を含む、EGFR変異陽性の未治療進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ナザルチニブは有望な奏効を示し、持続した効果をもたらすと、研究者は結論づけた。

またナザルチニブは、忍容できる安全性プロファイルを示した。

開示
本試験はノバルティス社の助成を受けた。

参考文献

LBA61 – Tan DS, Kim SW, Sequist LV, et al. Phase II results for single-agent nazartinib (EGF816) in adult patients (pts) with treatment-naive EGFR-mutant non-small cell lung cancer (NSCLC).

翻訳木下秀文

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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原文掲載日

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