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NSCLCとEGFR変異陽性肺がんに対する一次治療オシメルチニブを裏づける新データ

EGFR変異陽性NSCLC患者の一次治療選択に際して、オシメルチニブは標準治療のEGFR-TKIよりも進行後の有益性が高く、FLAURAからの中間OSデータの有望性を裏づけている

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ELCC 2018ニュース

第3相FLAURA試験(NCT02296125)で新たに発表されたデータは、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)突然変異を有する進行した非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした一次治療で、オシメルチニブが現行の標準治療よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したという早期報告の知見に基づいている。4月11~14日にスイス・ジュネーブで開催された欧州肺がん学会(European Lung Cancer Congress:ELCC)2018で、NSCLC患者とEGFR変異患者に対して一次治療に用いるオシメルチニブを裏づける新しいデータが発表された。

 

現在、オシメルチニブはEGFR T790M変異を有する進行したNSCLC患者の治療薬として欧州で承認されている。

 

フランス・ヴィルジュイフ市のグスタフ・ルッシーがん研究所腫瘍内科のDavid Planchard教授は、FLAURA試験の試験責任医師に代わって探索的な進行後転帰を報告した。この試験では、EGFR変異陽性(エクソン19欠損またはL858R)局所進行性または転移NSCLC患者に用いる一次治療として、オシメルチニブ、または標準治療のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療(ゲフィチニブまたはエルロチニブ)を比較検討した。

 

FLAURA試験では、患者556人を均等に無作為化し、経口オシメルチニブ群1日1回80mg(279人)、または標準治療のEGFR-TKI群(277人、経口ゲフィチニブ250mgまたは経口エルロチニブ150mgを1日1回)のいずれかを投与した。疾患の進行、容認できない副作用の発現、同意の撤回のいずれかの時点まで、患者に継続的に投与を行った。疾患進行後の治療は治験責任医師の判断で行うものとし、標準治療EGFR-TKI群の患者は、進行後のT790M陽性変異が認められた場合にはオシメルチニブにクロスオーバーできることとした。

 

FLAURA試験でのオシメルチニブ治療群は、標準治療EGFR-TKI群に比べて、PFSが有意に延長した(ハザード比(HR)0.46、95%信頼区間[CI] 0.37~0.57、p<0.001)。中間全生存期間(OS)データは有望ではあったが、統計学的に有意ではなかった(HR 0.63、95% CI:0.45~0.88、p=0.007)。

 

進行後のデータ解析によると、オシメルチニブ治療群の患者のほうが、治療中止、疾患進行、死亡が少数

2017年6月12日のデータカットオフ時点で、オシメルチニブ治療群138人(49%)、標準治療であるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)群213人(77%)が治験薬投与を中止した。最初の後治療を行ったのは、オシメルチニブ群82人(29%)、標準治療EGFR-TKI群129人(47%)であった。各群のうち、EGFR-TKI系治療を受けたのは29人(10%)対97人(35%)(55人(20%)は標準治療EGFR-TKI群で後にオシメルチニブ投与を受けた)、プラチナ化学療法系治療を受けたのは46人(16%)対27人(10%)であった。

 

治験薬投与の中止または死亡までの時間の中央値は、オシメルチニブ群20.8カ月(95% CI:17.2~24.1)、標準治療EGFR-TKI群11.5カ月(95% CI:10.3~12.8)であった。EGFR-TKI治療(試験治療と後に続けてEGFR-TKI治療を受け、非EGFR-TKI治療で中断されなかったもの)の中止または死亡までの時間は、オシメルチニブ群23.0カ月(95% CI:19.5~算出不能)に対し、標準治療EGFR-TKI群は16.0カ月(95% CI:14.8~18.6)であった。

 

試験責任医師による進行評価後に7日間以上治験薬投与を継続したのは、オシメルチニブ群91人(67%)、標準治療EGFR-TKI群206人(74%)であった。各群の進行後治験薬投与期間の中央値は、オシメルチニブ群8.1週間(95% CI:6.3~12.3)対標準治療群7.0週間(95% CI:5.9~8.1)であった。

 

進行後の事象発生までの評価項目、いずれもオシメルチニブ群が良好

最初の後治療または死亡までの時間の中央値は、オシメルチニブ群23.5カ月(95% CI:22.0~算出不能)、標準治療EGFR-TKI群13.8カ月(95% CI:12.3~15.7)であった(HR 0.51、95% CI:0.40~0.64、p<0.0001)。

 

二次進行または死亡を呈したのは、オシメルチニブ群73人(26%)、標準治療EGFR-TKI群106人(38%)であった。無作為化から後治療中の二次進行までの時間(PFS2)の中央値は、20.0カ月(95% CI:18.2~算出不能)対20.0カ月(95% CI:18.2~算出不能)であった(HR 0.58、95% CI:0.44~0.78、p=0.0004)。

 

2回目の後治療を開始または死亡したのは、オシメルチニブ群74人(27%)、標準治療EGFR-TKI群110人(40%)であった。その内訳は、SST開始が24人(9%)対39人(14%)、死亡が50人(18%)対71人(26%)であった。

 

2回目の後治療または死亡までの時間の中央値は、オシメルチニブ群は算出不能、標準治療EGFR-TKI群では25.9カ月(95% CI:20.0~算出不能)であった(HR 0.60、95% CI:0.45~0.80、p=0.0005)。

 

抄録データのディスカッサントを務めた光冨徹哉医師は、研究の評価項目として、全生存(OS)はもっとも信頼できる明確な基準であり、バイアスがかかりがちな変数から独立していると述べた。 ただし、臨床試験の期間、費用、規模を考慮すると、これは実用的ではない。後治療の影響を把握するという点で言えばOSは有益でもあり有害でもあるが、OSには治療群別の後治療の寄与は考慮に入らない。無増悪生存(PFS)は評価が容易であるが、評価頻度や進行の定義などバイアス傾向がある変数によって変動する。また、PFSの利点はOSの利点に盛り込まれないことが多い。臨床的・財政的な理由でOSが測定できない場合には、応答を惹起しない薬剤の臨床的利点、維持療法の効果、OS評価におけるクロスオーバーの影響、治験療法が後療法の有効性にプラスまたはマイナスに影響するかどうか(波及効果)、の評価にPFS2を用いることが推奨される。

 

FLAURA試験では、進行後の転帰評価項目(TFST、PFS2、TSST)はOSに関連する傾向が高くなる。オシメルチニブ対標準治療EGFR-TKI治療では、進行後の転帰評価項目はすべて延長し、中間OSデータの信頼性が向上した。さらに、TKI中断までの時間は、標準治療からオシメルチニブへの妥当なクロスオーバーを考慮しても、オシメルチニブ群のほうが長かった。こうしたデータによって、EGFR変異陽性、非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一次治療にはオシメルチニブが最善の治療選択の1つであることがさらに裏づけられている。

 

FLAURA試験のQOLデータ、オシメルチニブと標準治療で同様

 

ELCC 2018会期中に、カナダ・トロントのプリンストンマーガレット病院腫瘍内科のNatasha Leighl医師はQoL(生活の質)に関する明白なデータを発表し、オシメルチニブによるQoLの改善が標準治療と同等であることを示した。FLAURA試験の患者にも、咳嗽、呼吸困難、胸痛、食欲減退、疲労に関して同様の改善が報告された。

 

両治療コホートとも、患者の60%以上が全時間点でQoL調査票に記入した。実施したアンケート調査は、欧州癌研究治療機関(European Organisation for Research and Treatment of Cancer)QoL調査票コア30項目(EORTC-QLQ-C30)(開始前ベースライン時、その後は6週間ごとに実施)、肺がん13項目(QLQ-LC13)(開始前ベースライン時、以降6週目まで毎週、その後は3週間ごとに実施)であった。スコア範囲は0~100で、数値が高いほど症状の負担が大きくなる。差が10ポイント以上ある場合に臨床的に重要であるとみなした。事前に指定した主要症状は、咳嗽(がいそう)、呼吸困難、胸痛、疲労、食欲減退であった。

 

臨床的に重要な咳嗽(がいそう:咳)の改善、両治療群から報告あり

 

主要症状のベースライン平均スコアはオシメルチニブ群と標準治療群で同等であり、咳嗽(32.8対33.5)、呼吸困難(22.5対25.0)、胸痛(19.5対20.8)、疲労(32.2対35.8)、食欲減退(22.7対25.6)であった。

 

ベースラインから無作為化した治療を中止するまで、主要症状の改善は両治療群ともに認められたが、臨床的に重要とみられる改善はオシメルチニブ群の咳嗽のみ(-10.14)であった。標準治療群では咳嗽の改善は-8.18であった。その他の主要症状に関するベースラインからの変化は、オシメルチニブ群対標準治療群で、胸痛(-6.8対-3.9)、食欲減退(-5.8対-4.4)、疲労(-3.3対-3.3)、呼吸困難(-3.2対-1.2)であった。胸痛(p=0.021)を除き、オシメルチニブ群と標準治療群に有意差はみられなかった。

 

QLQ-C30では機能・全般的健康状態/QOLスコアの改善も報告され、コホート間に臨床的に重要な差異は示されなかった。

 

無作為化から最初に主な肺がん症状の臨床的に重要な悪化が記録されるまでの平均時間は、両治療群とも同様であった。

 

ポスター発表のディスカッサントを務めたSimon Ekman医師は、両治療群ともほとんどの時点でコンプライアンスは70%以上であり、ベースライン時のQLQ-LC13はオシメルチニブ群90.8%、標準治療EGFR-TKI群92.0%であり、QLQ-C30では95.2%対94.1%であったと述べた。患者報告による主要症状についても、両治療群ともベースラインから無作為化治療の中止までに改善がみられたが、臨床的に重要なものはオシメルチニブ群の咳嗽のみであった。Ekman医師は、どの程度の変化を臨床的に重要とみなすかについては、対象集団や患者ごとに大きく異なる可能性があると指摘した。胸痛、感情・認知・社会機能については、オシメルチニブにやや利点が認められた。主要症状が悪化するまでの時間は、治療群間で同様であった。

 

Ekman医師は、患者報告転帰(PRO)の検討が非常に重要であり、特にTKIは治療期間が長く、1日量が患者の負担になり薬剤に関連する有害事象をもたらす可能性があることを強調した。従来の治験転帰をさらに収集することに加えて、標準化した手法で収集した患者経験、そのデータの統合、報告について、さらなる研究が必要である。診療で定期的にPROを評価することで、さらにタイムリーで支持的な介入が可能になり、症状や副作用が軽減できる。PFSや、別紙での発表がないその他の従来の転帰とともに、PRO報告も奨励することが重要である。

 

結論:FLAURA試験では、これまでに報告されたPFSの利点に関して、オシメルチニブ群と標準治療群は、進行後の事象発生までの全時間点の評価項目にわたって維持された(PFS HR 0.46、TFST HR 0.51、PFS2 HR 0.58、TSST 0.60)と結論付けられた。ハザード比(HR)が統計学的に有意に段階的な増加を示したことから、暫定の全生存(OS)データに対する信頼性が得られた。

 

Leighl医師は、ベースラインから治療中止までにわたって両治療群で主要な患者報告症状が改善し、オシメルチニブ群の咳嗽は臨床的に重要な改善であったと述べた。

 

開示:本FLAURA試験にはアストラゼネカ社から資金提供を得たことが開示された。

翻訳久保優子

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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