エルロチニブはゲムシタビンと併用すると膵臓癌の1年間生存率を高める | 海外がん医療情報リファレンス

エルロチニブはゲムシタビンと併用すると膵臓癌の1年間生存率を高める

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エルロチニブはゲムシタビンと併用すると膵臓癌の1年間生存率を高める

Erlotinib Plus Gemcitabine Boosts One-Year Survival in Pancreatic Cancer(http://cancer.gov/clinicaltrials/results/erlotininb-and-pancreatic-cancer0505)
(Posted: 05/14/2005) 2005年ASCOの報告によると、ゲムシタビンに加えてErlotinib(タルセバ)を加えた治療を受けた患者は、ジェムシタビンのみの患者に比べ一年生存率が少し改善された。


要約
標準治療薬のゲムシタビンと併用してエルロチニブ(タルセバR)治療を受けた進行膵臓癌患者は、ゲムシタビンのみの治療を受けた患者と比べて、1年間生存率が少し改善しました。しかし、進行膵臓癌患者すべてに対し、標準治療にエルロチニブを追加するのは時期尚早です。

出典   フロリダ州オーランドで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会(2005年5月14日発表)

背景
膵臓癌患者の生存率は極めて芳しくありません。膵臓癌は通常、化学療法および放射線治療に抵抗性で、体のほかの部位へ急速に転移する傾向があります。全患者の4%のみが、膵臓癌と診断された後5年間生存します。腫瘍が小さく、(膵臓から転移する前に)早期発見された患者の15%のみが5年間生存します。残念なことに、初期段階で検出されるのは5人に1人もいません。大多数の患者は病気が進行するまで、特定の症状が現われません。

1997年以降、ゲムシタビンを併用した化学療法が、外科手術で摘出不可能な進行膵臓癌の標準治療の選択肢でした。第III相臨床試験では、5-フルオロウラシル(5-FU)と呼ばれる薬剤で治療した患者の2%に対し、ゲムシタビンで治療を行った患者の18%が1年間生存しました。

エルロチニブは、癌細胞が成長および増殖するよう刺激するシグナルを阻害するために開発された新薬です。エルロチニブの作用(の少なくともひとつ)は、上皮成長因子受容体(EGFR)と呼ばれる、癌細胞が増殖するよう刺激するたんぱく質に関連する酵素を抑制することによると考えられています。膵臓癌細胞には異常に高いレベルのEGFRが頻繁に見られます。

試験
本臨床試験に、外科手術で摘出不可能な膵臓癌の患者569例が登録されました。患者はゲムシタビンにエルロチニブか、プラセボのどちらかを併用した治療のいずれかに無作為に割り当てられました。

腫瘍に異常に高いレベルのEGFRのたんぱく質が見られるかを確認するため、患者すべてに対して検査が行われましたが、EGFRのレベルにかかわらず患者は登録されました。

多国間試験を行った調査チームは、カナダのトロントにあるプリンセス・マーガレット病院のMalcom J. Moore医師によって率いられました。試験結果は当初、2005年1月に米国臨床腫瘍学会の消化管癌シンポジウムで発表されました。

結果
プラセボ併用ゲムシタビン治療の患者の17%に対して、エルロチニブ併用ゲムシタビン治療を受けた患者の24%が1年後も生存していました。しかし、両治療群の生存期間の中央値の差は1カ月未満(プラセボ治療群の5.9カ月に対し、エルロチニブ治療群は6.4カ月)でした。

本臨床試験では、腫瘍に異常に高いレベルのEGFRのたんぱく質が見られたかどうかに関係なく、患者はエルロチニブ治療に同等に反応しました。

エルロチニブ治療を受けた患者は、下痢、感染症、口内炎および発疹などの副作用にかかる傾向が強いことが分かりました。多くの場合、このような副作用は重篤ではなく、患者の生活の質を低下させるものではありませんでした。

エルロチニブ治療群では、発疹が現われた患者は、発疹が現われなかった患者よりも長期に生存する傾向が見られました。他の癌に対して行われたエルロチニブ臨床試験で発疹と生存率に相関関係が見られたと、ASCOの発表で臨床試験結果の解説をしたヒューストンのUniversity of Texas、M.D Anderson Cancer CenterのJames Abruzzesse医師は述べました。

コメント
本臨床試験でプラセボ併用ゲムシタビン治療群の患者の生存率は、進行膵臓癌の別の臨床試験でゲムシタビン治療を受けた患者と同等であったと、Abruzzesse医師は述べました。これにより、エルロチニブ治療群の患者の結果が良好であったのは併用した治療薬のためであり、プラセボ併用ゲムシタビン治療の患者の結果が予測以上に芳しくなかったためではないことが再確認できると、Abruzzesse医師はさらに述べました。

しかし、本臨床試験で、進行膵臓癌患者のすべてがゲムシタビンを併用してエルロチニブ治療を受けるべきであると結論付けるのは時期尚早であると、Abruzzesse医師は締めくくりました。このような併用療法によって効果が得られる可能性が高い患者を、より多くの臨床試験で明らかにしなくてはならないと、Abruzzesse医師はさらに述べました。   (ポメラニアン 訳・林 正樹(血液・腫瘍科)監修)

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